こんにちは、気候変動・エネルギー担当の高田です。自然エネルギーの現場を訪ね、そのしくみや成果、課題を直接お聞きする「自然エネルギー現場紀行」。 今回の舞台は、鹿児島県いちき串木野市です。


合同会社「さつま自然エネルギー」
事務局の漆原さんにお話を伺い、現地をご案内いただきました。(下記は、2013年12月の訪問時点の情報。写真は、事務局のみなさんとの記念撮影です) 

かまぼこ屋さんや焼酎醸造所など中小企業が集結して発電所に
食品関係の中小企業がいくつも集まる、いちき串木野市の西薩中核工業団地。ここを拠点とする社長さんたちが中心となって、工業団地での太陽光発電プロジェクト「さつま自然エネルギー」が始まりました。

きっかけは、2012年7月に始まった「固定価格買取制度」。自分たちが持つ工業団地の工場の大きな屋根を活用できないか? 地域のために何ができるだろう? 地元で商売をする社長さんたちのそんな発想が発端でした。

屋根が収入源に変身
さつま揚げやかまぼこ、焼酎などの工場の屋根に太陽光パネルが並んでいます(ちなみに、いちき串木野市は、さつま揚げ発祥の地なんですって)。

(写真:さつま自然エネルギーより)

発電された電気は、自然エネルギーで発電された電気を、電力会社が20年間一定の金額で買い取ることを政府が約束する「固定価格買取制度」を利用して、すべて九州電力に売却しています。この仕組によって、何の変哲もない食品加工場の屋根が、収入源に変身しました。

「さつま自然エネルギー」が導入した太陽光パネルは工業団地内で10カ所、その他市内各所。そのうち、一番大きいものは、工業団地にある焼酎工場の屋根に設置された730kWの太陽光パネルです。
実際に、屋根に上がって見せていただいたのが、この写真。ふんわり香るさつまいもが発酵の匂いと、団地のすぐ目の前に広がる海からの潮風。気分爽快でした。


12年後からは年間840万円の収入見込み
プロジェクトの仕組みを簡単にご紹介します。

  •     太陽光パネルの設置者(=屋根を貸す人)は1kWあたり2万円を出資(太陽光パネルの費用負担なし)
  •     「さつま自然エネルギー」は、太陽光パネルの設置者に屋根を借りて太陽光パネルを設置する
  •     太陽光パネルの設置者は屋根の賃料として1kWあたり1,200円/年を受け取る予定
  •     「さつま自然エネルギー」は、約12年間で太陽光パネル費用を金融機関に返済予定
  •   約12年間の費用返済後、太陽光パネル設備は設置者に無償譲渡される

たとえば、200kWの太陽光パネルを設置すると、屋根を提供した太陽光パネルの設置者には、年間24万円の収入(200kW×1,200円)があります。
その後、約12年後から20年目までは、九州電力に売電した年間約840万円の収入が見込まれる計算になるそうです(参考例)。

「まちの再生は今しかない」
「シャッター街」、それはいちき串木野市でも例外ではありません。疲弊するまちの経済と地域のこれからを考えた時、「今どうにかしないと」という共通の志が、今回プロジェクトの中心となった地元のみなさんにありました。

同時に、いちき串木野市は、いま再稼働に揺れる九州電力の川内原発の30キロ圏内に位置します。地域のこれからを考えた時、「(原発は)人間の手に負えない」、「福島原発事故のようになっては大変だ」という話もでるそうです。

「人口3万人の自治体の地域活性化モデルになりたい」
「いちき串木野市は人口3万人。同規模の自治体は全国に160カ所ある。このプロジェクトが成功すれば、そうした自治体の希望になれる」と話す漆原さん。地元企業が「合同会社」を設立し、地元銀行や行政も後押しする「さつま自然エネルギー」の今後に注目です。

さつま自然エネルギーのウェブサイトはこちら
丁寧にご案内くださったプロジェクト事務局のみなさん、どうもありがとうございました。


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