太平洋クロマグロ(本マグロ)がピンチ!シリーズ
残り4%!
■ 太平洋クロマグロ漁、赤ちゃんの大量虐殺??
妊婦さんマグロ」も一網打尽
「養殖」表示に隠された真実
ルールを作ろうとしない韓国
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こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。 

私の初ブログでも少しお話しましたが、マグロを絶滅に追い込んでいる大きな要因の一つに、育ちきっていない若いマグロが養殖(蓄養)のために乱獲されていることが上げられます。今日は、マグロ界の次世代を担う若者たちに何が起っているのか、もう少し詳しく探ってみましょう!

 

スーパーの商品棚はさながら子供たちが並んで横になる幼稚園のお昼寝の時間…

皆さんは、太平洋クロマグロ(本マグロ)と聞くと、大間で獲られて築地でセリにかかる巨大な魚を想像したりしませんか? ところが、主な流通先であるスーパーや回転寿司などに売られている太平洋クロマグロは、まだまだ若いお魚たちで、人間に例えてみると幼稚園児や学生といったところでしょうか。そう考えると、スーパーの商品棚はさながら子供たちが並んで横になる幼稚園のお昼寝の時間。ちょっと怖いですよね。太平洋クロマグロの国内総漁獲量の98%が、卵を海に産んだことのない未成魚で占められています。

 

赤ちゃんマグロを獲り続けると…

子供や若いマグロを大量に獲ると何がいけないんでしょうか? とっても基本的なことですが、マグロも私たち人間や他の動物と同じで、赤ちゃんから成長して大人になり、子ども(卵)を産んで次世代に繋げます。全ての生き物はこうして増えていきますよね。ということは、未成魚を大量に獲ると、産まれてくるべき次世代の魚の数が激減し、さらに獲り続けると、世代が進むほどどんどん減っていくという図式ができあがるのです。このような漁業を数十年続けてきた結果、マグロは今、絶滅への道へと追いやられているのです。ちょっとよく考えてみると、私たち人間の次世代もマグロを食べられなくなってしまうということですよね。

  

なんで赤ちゃんマグロばかり獲られるの?

そもそもどうして若いマグロばかりを獲るようになってしまったんでしょう? 大きな理由として、スーパーや回転寿司などが安いクロマグロを求めはじめた結果(裏を返すと私たち消費者のマグロをより安い値段でいっぱい食べたい!という欲求に応えているわけなんですが)、メジマグロ(クロマグロの未成魚)や蓄養マグロ(未成魚クロマグロを海から獲って育てる)の需要が大きくなったからです。

 

太平洋クロマグロを次の世代に残すには?

では、どうやったら太平洋マグロを絶滅の危機から救い、また資源として私たちの未来の世代に残せるのでしょう? まずは、私たち一人ひとりがこの事実を知ること、またお話してきたような漁業と市場の仕組みを変えることが必要ですよね。なんだかもの凄くスケールの大きな話に聞こえますが、思い出して下さい、今の過剰なマグロ需要は私たち消費者の欲求から生まれたものでしたよね? ということは、今私たちが必要としているのは、「どの魚が持続可能な方法で獲られたものなのか分かるようにしてほしい」、「次世代にもお魚を残したい」ということを伝えることで、いい方向に変えるきっかけになるのではないでしょうか。グリーンピース・ジャパンでは、そんな私たち消費者ひとりひとりの声を、日本で消費される魚の70%が売られているスーパーマーケットに届ける署名「おさかな貯金」をおこなっています。

また、どのお魚が過剰漁獲されているのかなど、お魚情報いっぱいのアプリ「グリーンお買い物ガイド」もご用意しております。 

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