こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。

「原子力防災計画」は命を守れるか

8月24日(日)に行われた「原発と避難問題を考える集いinかごしま」に参加してきました。

原子力発電所から30キロ圏内の自治体には、原子力防災計画の策定が義務付けられ、現在多くの自治体で策定・改訂作業中です。

今、自治体が机上で作成した計画を、市民が歩いて、あるいは避難する市民の受け入れとなる自治体に話しを聞くなどして計画の実効性を問う作業が行われています。

その経験を学びあおうと、原発の地元の市民グループや首都圏のNGOなどが実行委員会*をつくり、「原発と避難問題を考える集いinかごしま」が企画されました。

 

川内原発再稼働を止めている人たち

110名が参加し、川内原発地元の薩摩川内市、いちき串木野市、鹿児島市、出水市、姶良市、日置市や、熊本や佐賀、関西、東京から、さまざまな取り組みが報告されました。

報告を聞いて、「この人たちが川内原発再稼働を止めているんだ」と思いました。

中には、初めて行動した人たちもいました。

 

姶良市で行動した松尾さん

「姶良市職員の方に避難計画について話しを聞きたいと申し込んだら、時間をとってくれて、『市長にも申し入れをしたら?』とアドバイスもくれた。(反原発)運動とかしたことのない私にもできた。今、申し入れの手紙を書いています」 

 

水俣で行動した「原発避難計画を考える水俣の会」

同会では、川内原発からの「避難先」となる水俣市の5000世帯に避難問題についてのアンケートを配布、602通の回答を得ています。

避難先となっている水俣市でアンケート回答者の67%が「水俣市独自の避難計画が必要」と考えていることがわかり、アンケートの結果を元に、水俣市議会への陳情を行うそう。

 

佐賀で行動した「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」

玄海原発の30キロ圏市町とその県内避難先全20市町などに質問を出し、面談をしてきた同会。活動から、受け入れ先のスペースは一人あたり2平方メートル、避難者が受け入れ先市町の3割、4割、多いところで8割など、策定された避難計画が非現実的であることを明らかにしました。

「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」

 

福井・関西で行動した「避難計画を案ずる関西連絡会」

兵庫、京都、大阪の市民グループで結成された同連絡会では、府県市町・関西広域連合などへ、のべ40回の訪問・申し入れをしてきたそう。調査から、避難元と避難先の自治体の連携がとれていないことなどが明らかになっています。また、除染(スクリーニング)基準が高すぎる(汚染を許容する)ことに、反対を表明する自治体もでてきたそうです。

参考:「美浜の会」のサイトに関連資料があります。

 

首都圏からも参加 

また、首都圏でも原発地元でも行動するFoE Japanから8月21日に行われた原発と避難問題の政府交渉について報告がありました。(8月21日の資料などは「原子力規制を監視する市民の会のサイトをご覧ください)

火山問題にも取り組んでいる福島老朽原発を考える会は避難ルートをたどってみた経験を報告してくれました。

わたしも、薩摩川内市の避難計画の実地検証をしたときのことを報告しました。(詳しくはこちら

 

「要援護者避難計画策定者は、要援護者の声を聞いていない」

自らも障がい者であり、東電福島原発事故からの避難を経験し、京都に避難された鈴木絹江さんが「要援護者にも、アンケートを取ってほしい」と要望されていました。

会場からも「要援護者避難計画を作るときに、要援護者の声を聞いていない」という指摘がありました。

実際、避難することになる市民の声も、避難計画に反映されていませんが、もっとも避難が困難になるだろう要援護者の声には、もっとも声を傾けるべきだと思います。

事故は起こりうる。それが福島原発事故の教訓です。

そして、誰でもが避難しなければならない可能性があります。

集いでこんな報告もありました。

「京都では避難にバスを使うことが決まっている。ちゃんと体制ができているのか疑問に思って、京都のバス会社すべてに電話をしてみた人がいる。準備など、できていないことがわかった」 

避難計画の検証は、誰でも、どこでも、一人でもできます。

あるいは、仲間を募ってもいいですし、すでにある市民グループに加わるのもいいと思います。

あなたも、ぜひ、一番近い原発の避難計画を調べてみませんか。

*「原発と避難問題を考える集い」実行委員会構成団体

 反原発・かごしまネット/川内原発建設反対連絡協議会/避難問題を考える緊急署名の会/原発避難計画を考える水俣の会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/脱原発福島ネットワーク/ハイロアクション福島/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会/さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト/浜岡原発を考える静岡ネットワーク/さよなら島根原発ネットワーク/脱原発をめざす女たちの会・北海道/ベクレルフリー北海道/SHUT泊/泊原発廃炉をめざす会/福島老朽原発を考える会/原子力規制を監視する市民の会/グリーンピース・ジャパン/eシフト(脱原発・エネルギーシフトを実現する会)/FoE Japan


#とめよう再稼働 オンライン署名継続中!

再稼働申請が出された原発立地県知事あてのオンライン署名です。
まだ署名されていない方は、ぜひ、ご参加ください

署名された方は、ぜひ、まわりの方に広めてくださいますようお願いいたします。


【関連ブログ】

>> 川内原発おとなりの市で人口過半数が再稼働反対で署名

>>大飯原発差し止め判決を世界に!英訳できました

>> 原発ゼロ9か月を伝えよう!地元でも半分弱が知りません。川内原発地元住民意識調査

>> 原発事故!そのときあなたは逃げられる?川内原発編

>> #とめよう再稼働 14,360筆+あなたの声、手渡しました。鹿児島編

>> もう一度、週末鹿児島へ行ってきました。とめよう川内原発再稼働

>> 週末は鹿児島へ! とめよう川内原発再稼働

>> 原発メルトダウンまで20分--避難時間は2日半!?

>> くまモンも40km圏! 鹿児島の川内原発を止めておくべき4つの理由

>> いいね!原発ゼロ6か月。各地で再稼働をとめているグループとつながろう

>> 鹿児島の川内原発——住民の安全守る準備なく、再稼働?

【関連項目】 原発フリーの明日>>