みなさんこんにちは。
食と農業問題を担当している関根です。

ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの食品への残留基準を決める再検討が、昨年暮れに厚生労働省で再開(注1)され、新たな残留基準案に対して再びパブリックコメントの募集がはじまりました。締め切りは2月21日(土)です。グリーンピースもパブコメ出しました

新たな基準案は、どう見ても、前回の1600通を超すパブリックコメントの意見を反映していません。実際、厚生労働省の説明も、食品安全委員会の検討結果を踏まえて、厚生労働省で計算した結果この数字になりました、というもの。

まるで、市民、消費者の無関心を誘うかのように、複雑な推定をいくついくつも重ねて計算されています。 

 

「僕らは政治に無関心なわけじゃないんだ。ただ政治家がつまらないだけさ」--ジョン・レノン 

「政治家が」を「政府が」とすれば、この状況にぴったりです。

そんな今、大事なのは当事者であるわたしたちが無関心にならないこと。ぜひ、いま一度、基準緩和をしないで、という意見を厚生労働省に送りましょう。

締め切りは221日(土)必着です。送り方はこのページの下の方にあります。

 

さて、今回の残留基準案には、以前の基準案にも増して問題が満載です。

 1.残留基準案の問題点:

(1) パブコメをまったく無視して、残留基準値は高いまま

一昨年(2013年)の最初の基準値案では、ほうれん草やカブの葉に高い残留基準(ほうれん草では従来の13倍、カブの葉では2000倍も高い)が設定され、市民は1656通もの反対意見を送りました。しかし、それらは全く反映されず、同じ40ppmという高い基準案のままです。

ほうれん草のように栄養価が高く、子どもや妊婦さんや、授乳中の人にも奨励される食品に、特別に高い残留基準を設定するとは、とても健康や安全の側にたっているとはいえません。

 

 

(2) ほかの主要な食品の残留農薬も上がっている

その他の食品も、前回提案されたよりもさらに高い残留基準が提案されています。反農薬東京グループのまとめによると、お米やサツマイモ、サトイモ、大根、ごぼう、にんじんなど、主要な食品で追加の緩和が行われていました(注2

3)急性毒性の考え方もEUより6倍ゆるい

厚生労働省は、今回新たに、短期間に食べると推定される量(短期推定摂取量 ESTI)を食品ごとに推定し、その量ならば、基準案にあるような濃度で農薬が残留していたとしても、急性の影響が出ないと推定される範囲(急性参照用量 ARfDに収まると推定されるから残留基準の案は高いままでもいい、としました。でも、この範囲(ARfD)自体、がEUで決めている値と比べて6倍も高いのです。

 

 

(4) 残留基準の緩和はだれのため?

特に問題なのは、誰のためにこんなに残留基準を緩和するのかということです。基準緩和は、農薬メーカー(住友化学)が農林水産省に申請し、農林水産省が厚生労働省に依頼するというプロセスをたどります。

たとえば、どうしてほうれん草に高い残留基準をみとめる必要があるのか、グリーンピースが農林水産省に聞いたところ、その答えは「ほうれん草の茎をアブラムシが噛むと黒い小さい点がついて、商品価値が下がるから」というものでした。でも、根拠になるデータはないそうです。こんなにあいまいな理由で、消費者の意見を聞かずに残留基準が緩和されようとしているのです。

しかも収穫の前日まで、このネオニコ農薬クロチアニジンをまいてもよいことになっています。

茎に点のあるほうれん草と、きのう農薬をまいたほうれん草、あなたはどちらを選びますか?

 

(5) ミツバチや環境にも影響が増す恐れ

この基準案は、いままでネオニコチノイド系農薬を使っていなかった農作物にも新たに使うという申請を含んでいます。ネオニコチノイド系農薬をまく機会がふえることは、ミツバチや土壌生物などが影響を受ける可能性が高くなることにつながります。ヨーロッパ、韓国、アメリカの州の一部や自然保護区などではすでに規制が始まっています。

ネオニコの使用の拡大は、世界の流れに逆行しています。

 

国が決める基準は、生産者、流通者、消費者の目安となるはずのもの。それが、審議する専門家さえ「高すぎる」というようなものであっては、基準の信頼そのものが損なわれます。

 

2.パブコメを出そう!

この問題に、当事者みんなが関心をもつことが大事です。

前回出した人も、あきらめずにパブコメを出しましょう。

「残留農薬を緩和しないで」とか、「各国で規制が始まっているネオニコチノイドの使用を拡大しないで」、「ミツバチを守って」とか、また「パブコメをしっかり反映してください」とつけたすのもいいと思います。

 

★残留基準の案を見るには、こちらをクリック。

★送り先は以下です:

・ウェブサイトから送る場合:パブコメ募集ページの下のボタンをクリックして意見提出フォームから送ります。

・郵送の場合:〒100-8916 東京都千代田区霞が関 1-2-2 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係宛て * 封筒に「クロチアニジンの残留基準設定について」と朱書きします。

・ FAXの場合 :FAX番号03-3501-4868 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係宛て * 表題に「クロチアニジンの残留基準設定について」と書きます。

締め切りは2月21日(土)必着です。

 

 

1 1224日の審議会の様子は1225日のブログをご覧ください

2 反農薬東京グループのウェブサイト

※  グリーンピースで提出したパブコメ

 

 

「ネオニコの基準緩和しないで!」緊急署名も実施中

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