こんばんは。海洋生態系担当の小松原です。

実はわたくし、8/31〜9/3まで札幌で開催された、中西部太平洋まぐろ類委員会 (WCPFC) の北小委員会(以下、北小)にオブザーバーとして参加してきました。

本当は昨日、委員会で決まった内容をブログやプレスリリースで大々的にお伝えするつもりだったのですが、びっくりするぐらい何も決まらなかったので、がっかりするあまりレポートが遅くなってしまいました。すみません。せめてもの抵抗で閉幕後に出したプレスリリースはこちら

どうもこの業界、日本語でも英語でも文字が多いし、意味わからない専門用語ばかりの太平洋クロマグロ問題、今日はなるべくゆるーく分かりやすくお伝えしたいと思います。

 

WCPFCって何?

太平洋をぐるーっと回遊しているまぐろ類を資源としてどうやって守っていくかを考える国際機関です。

北小委員会って何?

WCPFCの中で北緯20度より北に位置する国、もしくはその海域で漁業をおこなう国だけが参加できます。

この地域で主に生息・漁獲されている魚、太平洋クロマグロ、ビンナガマグロ、メカジキについて、話し合う委員会です。

というわけで、私たちが絶滅の心配をしている太平洋クロマグロは、この北小でどうやって守っていくかを真剣に決めていただかないと困るわけです。

 

ところが、今回のWCPFCは.....

委員会のルールでメンバー国が8カ国以上参加しないと正式な決議ができないのですが、今回は6カ国(カナダ、フィジー、日本、韓国、台湾、アメリカ)しか参加していなかったため、話し合われた内容は全て、年末に行われる年次総会に持ち越しです。

 

決まったのは「緊急ルール」を来年作ること。ずっと緊急事態なんだけど......

今回、日本が提案して、参加国からの同意が得られた「緊急ルール」ですが、今のままでは褒められたものではないのです。

生まれた赤ちゃんの数を「加入量」と言って、日本は、「もしも加入量が急激に下がってしまった時の緊急措置を決めましょう」という提案したのですが、この加入量は既に歴史的に見ても低い状態が続いているので、何を言っているんだかという感じです。

しかも、決まったのは「来年、緊急ルールを作りましょうね」ということだけです。

ただ、このルールを発動させる条件や内容によっては、マグロ達にとっては最後の希望になり得るので、どれだけ厳しい内容に落とし込めるか、が来年の争点になるかと思います。

 

長期の回復計画は、宙ぶらりんのまま終わる。

今年から始まった未成魚 (30kg未満の子ども) を獲る量を2002年から2004年の平均漁獲量の50%にするという対策があります。

これは2024年までに歴史的中間値(太平洋クロマグロの漁獲量を記録しはじめてからの平均値)までに回復させようという「暫定的」な目標を達成するためのもの。

ところが、あくまでも暫定計画なので、その後どこを目指すのかという計画はまだ白紙です。北小では、長期回復計画を来年までに決めなければいけないのですが、それについての議論は宙ぶらりんのままに終わりました。

 

頼みの綱は、私たち消費者。

北小は太平洋クロマグロを絶滅から救う頼みの綱。でもあまりにも動きが遅いので、私たちが動きましょ!太平洋クロマグロたちはそんなに待ってられませんもの。

まずは、彼らの産卵場所が日本の海にあること、卵を産む前のお母さんマグロたちも獲ってしまっていることを、まだ知らないスーパーやデパートなど、あなたがいつもお魚を買うお店に教えてあげてください。

海にも人にもハッピーな方法でお魚とおつきあいをする方法、「持続可能な調達方針」が日本でも当たり前のものにしたい。日本では80%の太平洋クロマグロが消費されています。でも彼らを守ろうという声はまだまだ小さく、私のひとりの力では到底立ち向かえません。みなさまからの応援でご支援いただけると嬉しいです。


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