こんにちは、エネルギー担当の高田です。11月末、ロシアのサハリンでロシア船籍のタンカーが座礁、積まれていた油の一部が漏れ出す事故が発生しました。

現場は、北海道の稚内の北、約100キロにある町ネベリスク沖。事故発生の知らせを受けたグリーンピース・ロシアの担当者が急行し、油の帯が海面を漂ったり海岸に漂着し、カツオドリやヒメウなどの海鳥100羽以上が油まみれになっている姿を確認しました。

油によって羽毛同士が張り付いてしまっているため、鳥たちは飛ぶことも泳ぐこともできず、現場で50羽ほどがすでに死んでいるのが見つかりました。

突然自由を奪われたり、命を落とした鳥たちの写真をみると、悲しい気持ちになります。

「残念ながら、今回が最後の油流出事故になるとは言えません。秋から冬の間に、極東地方でこうした事故がしばしば発生しますが、そのたびにもっと環境の厳しい場所、例えば北極海で計画が進む石油採掘場などで事故が発生した場合のことを考えずにはいられません。(今回の事故はネベリスク町の150メートルほど沖合で発生しましたが)ロシア領の北極海には、数千キロに数カ所の港しかなく、事故に迅速に対応できる十分な準備があるとは言えないからです」と、現地を訪れたグリーンピース・ロシアの担当者は話しています。

 

地球温暖化の影響は、もう各地で起きています

北極海は氷に閉ざされた海、とのイメージがありますよね。ところが、ここ数年、海を覆う氷がどんどん減り、船が航行できる「新航路」が開拓されるほどになっています。地球全体の平均気温が上昇する地球温暖化の影響と考えられており、日本でも異常気象など、気候変動の兆しや被害が現れ始めています。

地球温暖化とそれによって引き起こされる地球規模の気候変動をどうにか食い止めようと、11月30日から先週末までの日程で、フランスのパリでは、世界中の政府関係者が集まって話し合う国連の会議COP21が開催されました。

各国首脳も参加しているこの会議では、すべての国が温暖化の原因である温室効果ガスを、それぞれの国でどのくらい減らすかを提出し、世界全体の温室効果ガスの減り具合をチェックする仕組みを導入することが議論されました。

こうした仕組みの導入で、産業革命前からの地球全体の気温上昇を、取り返しのつかない影響が出るとされる2度未満にとどめる目標が達成できるかどうかがはっきりしてきます。

温室効果ガスは、一度排出されるとなかなか消えません。たとえ、いますぐ排出を大きく減らしても、すでに排出されてしまっているガスの影響が数十年にわたって続きます。一刻も早く、対策を始めなければいけません。

温室効果ガスの多くは、私たちの日常を支えるエネルギーを生みだす時に排出されています。地球温暖化や気候変動だけでなく、油流出事故で傷つく海鳥のように、私たちが地球を汚すエネルギー源に頼り続けることは、私たち自身だけでなく、地球の生き物たちの将来をも危うくしているのです。

 

そして12日、2020年以降の気候変動対策の国際的な枠組み『パリ協定』が採択されました。気温上昇を1.5度に抑えるため、21世紀後半からは、温室効果ガスの排出をゼロにすることをめざす協定です。各国が歩み寄って協定を結ぶことができたのは、世界中で"気候を守って!"と声をあげ続けた、市民の後押しがあってこそ。

各国が表明した排出量削減目標をふまえると、1.5度に抑えるという目標を達成することは難しいのが現状。それでも、希望はあります。それは省エネや自然エネルギーの利用が、世界中でどんどん進んでいること。自然エネルギー分野は、スマートフォンやコンピューター業界のように、数ヶ月前のデータが古くなってしまうほど、着々と進化を遂げているからです。パリ協定は、さらに自然エネルギーへの追い風になるでしょう。

私たちが、新しいエネルギーを選ぶことで、新しい未来が開けていきます。エネルギーチームでは担当の柏木が、自然エネルギーの先進地ヨーロッパに11月に視察にいってきました。ぜひ、はじまりつつある新しい未来の様子を、以下の柏木ブログでご覧ください。

【ヨーロッパ自然エネルギー現地レポート1】40%を自然エネルギーでまかなうための”制御”の仕組みを学べ!スペイン・REE社

【ヨーロッパ自然エネルギー現地レポート2】自然エネルギーの普及を妨げる、”政治の問題”を乗り越えろ!@スペイン・自然エネルギー財団

【ヨーロッパ自然エネルギー現地レポート3】自然エネルギー100%の電力会社の可能性を探れ!@ドイツ・グリーンピースエナジー社