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雨に恵まれた沖縄本島北部のやんばるは、そのほとんどがスダジイなどの木々に覆われた亜熱帯の照葉樹林。一歩山に入れば、そこはみずみずしい緑が美しい、命の楽園です。 

たくさんの命を育むだけなく、その種類もバラエティに富んでいるのがやんばるの森の魅力。たとえば日本にいる鳥類の約半分の種が、そして在来種のカエルの4分の1の種が、やんばるでみつかっています。

天然記念物のヤンバルクイナもこの森の住民。やんばるの森のなかにある高江では、飛べない鳥として有名なヤンバルクイナが、チョコチョコ移動するかわいい姿を見せてくれます。

いつもやんばるの森にいて「わたし自身がやんばるの生きものみたいですよね~(笑)」とおっしゃる宮城秋乃さんは、やんばるの森に魅せられた生きものハカセ。

チョウ類の専門家として、やんばるの森をヘリパッド建設からまもるために、活動しています。私たちグリーンピースも、宮城さんにやんばるの森を案内していただきました。(文:沖縄プロジェクトチーム 林) 

やんばるの森に直径75メートルの穴

やんばるの森に穴を開けるように建設される6つの米軍のヘリパッドは、ひとつが直径75メートル。25メートルプールの3つ分の長さです。森の生きものたちへの影響が心配になりますが、宮城さんは、森への影響は空いた穴の分だけではないと言います。

「ヘリパッドは75メートルの大きな円を森の中に作るので、いくつも作ったら森が分断されますよね。森の中を通らないと移動できない動物たちもいるので、移動できる範囲が制限されてしまうと、異性に出会って繁殖する機会が減ってしまうんです。

この森は絶滅危惧種や準絶滅危惧種が多く生息し、ひとつのつがいができなかったことで、未来の個体数が減ってしまうことを意味します。森にとって生息地を分断されるのは、とても大きなダメージなんです」

絶滅危惧種なのに絶滅促進

ヘリパッドの建設地のひとつ、N1地区に続く林道は、沖縄県の固有種、リュウキュウウラナミジャノメという蝶の多産地です。私たちがやんばるを訪れた9月上旬は、ちょうどリュウキュウウラナミジャノメがサナギから羽化する時期でした。

「リュウキュウウラナミジャノメは、環境省から準絶滅危惧種に指定されている、沖縄県の固有種です。ヘリパッド建設の森林伐採で、8月の終わりから羽化するサナギが刈り取られてしまったかもしれません。

準絶滅危惧種に指定されているのに、絶滅を促進させる行動をとってしまっているということです。 

そういった希少な生きものの生息地が破壊されているけれど、どういう対応を取るのか、環境省に電話で聞いてみたんですね。

そうしたら『絶滅危惧種の指定というのは保護に配慮を促すのみなので、保護して下さい、と強制するような力は無い、だから環境省としては動けない』という回答でした。でも、それっておかしいですよね」

やんばるをまもる「想像力」のパワー

今回、沖縄でさまざまな方にお話を伺って、よく出てきた言葉が「想像力」でした。宮城さんも、「想像力」という言葉を使ってこうおっしゃいました。

「やんばるに希少な動物が生息しているのを知っている人はたくさんいます。だけど、だからどうだっていうことまでは考えていない人も多いんじゃないかと思うんです。

想像力がないと、自分の行動がどこにつながっていくのか分からないまま過ごしてしまいます。それって楽なんですけど、でも結果的にその影響を受けるのは自分や子どもたちですよね。だから動物をまもることが何につながるのか、ということまで、ちょっとでいいから想像してほしいです。

自分たちの知らない動物だとしても、ヤンバルクイナってこういう感じかなって、とても大きい虫がいるって聞いたけどこんな感じかなって、まずは想像してもらえたらうれしいですね。

 小さい生きものも、写真で大きく写すと表情があるように見えたりしてかわいいんですよ。

たとえば、求愛しているオスとメスのチョウチョがいたら『結婚して下さい』というセリフをつけてみたりして(笑)」

今年9月、この豊かな森、やんばる地域が国立公園に認定されました。

政府は、国立公園にしたことを弾みに、やんばるを含めた「奄美・琉球」を、世界自然遺産に登録することを目指しています。でも、今回国立公園に指定された区域には、米軍北部訓練場は含まれていませんでした。そして、ヘリパッド建設のために森林伐採が続く、安波周辺の森も当然のように含まれていません。

ヘリパッド建設のためにやんばるの森が切り開かれてしまっているという事実を見てみぬふりできたら、もしかしたら楽かもしれません。

でも、美しいやんばるの森が世界遺産に登録されたとき、本当に誇りを持って世界にやんばるを紹介できるように、やっぱりヘリパッド建設はやめて命の森をまもってほしい、そう思います。

やんばるで暮らす小さな命を、あなたも一緒にまもってください。

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