ツイート
 

こんにちは、エネルギーチームのケンドラ・ウルリッチです。

明後日331日は、福島原発事故で被害を受けたたくさんの人々にとって、大きな分岐点となります。

この日を持って、避難区域以外から避難した方々への唯一の支援である住宅支援が打ち切られます。そして飯舘村、川俣町、そして浪江町、翌1日には富岡町の、避難指示が解除されます。*1年後には、この地域の住民へ賠償が打ち切りとなります。

*帰還困難区域を除く

「もう安全なんじゃないの?」

「避難指示が解除になるのだから、もう安全なんじゃないの?」そんな疑問も耳にします。

グリーンピースの最新の放射線調査では、いま飯舘村に戻れば生涯で最大183ミリシーベルト被ばくするなど、まだ安全に暮らせる放射線レベルではないことが明らかになっています。

安倍政権は、除染作業の実情や被ばくのリスクについて、正しい情報を提供していません。

例えば飯舘村は、政府発表の情報では「除染完了」となっています。それだけ見れば、除染が終わっているように見えてしまいます。しかし飯舘村の75%は森に覆われていて、除染することができません。台風や雪解け水などによって、森から放射性物質が流れ出し、除染が終わった地域も再汚染してしまうリスクが今後何十年にもわたってあることには触れていないのです。

避難指示を解除して、避難区域を小さくしたり、賠償や住宅支援が打ち切られることで、経済的に避難を続けられなくなった人々がふるさとに帰れば、避難者の数が減ります。そうすることで、政府は「原発事故は収束した」と格好をつけたいのでしょう。

帰りたくない人はいない。

私たちがお会いしてきた原発事故被害者のみなさんが口々におっしゃるのは、「ふるさとに帰りたい」という想いです。

「避難指示解除後は飯舘村のご自宅へ帰りますか?」とお聞きすると、飯舘村から避難した菅野哲さんはこうおっしゃいました。 

「そういう質問が一番つらいんです。誰でもそうだと思うんですよ。帰りたくない人はいない。もともと自分のうちを捨ててよそに行かなきゃいけない状況は、自分でつくったんじゃない。だから、帰りたくても帰れない。私は二重生活をせざるをえないと思っています」

 

ふるさとを思う気持ちさえ、政府は政治利用しようというのでしょうか。 

みんなが笑顔に戻る日まで

原発事故の直後から、被害者の人権は侵害され続けてきました。特に、女性や子どもは、放射能の影響を受けやすいにも関わらず、政府の失策によって不要な被ばくさせられる、不透明な情報で不安な日々を過ごすなど、特に深刻な被害を受けてきました。 

子どもを被ばくからまもるために、ふるさとを離れて母子避難した家庭もたくさんいます。南相馬市から京都へ避難している福島さんは、京都に避難したお母さんたちと一緒に、国と東京電力を相手に裁判を起こしました。

「みんなが幸せに戻るまで、事故前のふるさとに戻るまで避難を続けたい。みんなが笑顔になったら、私も田舎に戻りたいと思っています。そんな日が来るのを心に期待しながら、自分は活動していきたいと思っています」

 

安倍首相は、今年の3.11の式辞で「原発事故」という言葉を使いませんでした。菅野さんや福島さんのように、いまも声をあげ続けている人たちがいるのに、原発事故を”収束”させることなどできません。 

グリーンピースは明日、国連人権理事会に書面で意見を提出し、「住宅支援や賠償の打ち切りは、人権侵害である」と訴える予定です。 

あなたも、被害者の人権を守ることを求めたこの国際署名に、ぜひ名前を連ねてください。

来月、あなたの署名を日本政府に提出します。 

みんなが笑顔に戻れる日まで、賠償と住宅支援の継続を。

「被害者の人権をまもって」今すぐ署名する >

ツイート
 

グリーンピースは、政府や企業ではなく、個人の方の寄付のみで活動しています。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?

寄付する 

<こちらもおすすめ>

格差ある被害 ー 女性と子どもの原発事故

放射線管理区域で暮らせますか?

話そう、女性と環境 ー 福島、キルギス 女性たちの強い意志