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こんにちは。グリーンピース・アメリカ 上級ITアナリストのギャリー・クックです。

いまこのブログを読むために使っているスマホやパソコン、タブレットがどのようにしてあなたの手元に届いたか、知っていますか?

きっとおしゃれな箱に入っていたでしょうが、そのかっこいいIT製品が作られた時までスクロールバックしてみると、「おしゃれな」姿とは程遠い景色が見えてきます。

サプライチェーン(原料から製品ができるまでの製造過程)は石炭や原発などの環境を汚染するエネルギーに頼っていて、気候変動を悪化させています。さらには、原料の金属を掘る方法が危険だったり、有害化学物質が使われていたり、限りある地球資源の消費を加速させる製品設計だったり。 

知っていましたか?

  • IT機器の電源を入れる前、つまり製造段階ですでに8割の温室効果ガスが発生していること
  • スマホ1台に使われる鉱物100gをとるために、炭鉱労働者はその340倍以上の岩を掘らなければいけないこと
  • 2017年、世界のeウェイスト(電子廃棄物)の量は、6,500万トンに達すると予測されていて、これは面積121㎢のサンフランシスコが4メートル以上の深さまで埋まってしまう量だということ

でも、こんな方法でつくらなくてもいいのです。実際に、数社は少なくとも製品のデザインやサプライチェーンを改善し、地球への環境負荷を減らす努力をしています。

地元の修理愛好家 Fix Friendsとグリーンピースのボランティア数名がスマートフォンを分解する様子 グリーンピース・メキシコ事務所で行われたリペア教室にて

より薄い製品や、もっと高画質の製品よりも、もっと私たちに必要なのは、私たちが使うIT機器の作られ方の根本的な転換です。つまり、現在のIT機器の設計のトレンドになっている、使い捨てを前提とした設計をいますぐにやめることです。

どの企業がこのシフトチェンジをすでに始めているのか知るために、私たちは『環境に優しい電子機器企業ガイド』を発表しました。

グリーンピース・アメリカは、過去2年間にわたり、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのIT機器を作る大手グローバルIT企業17社の環境負荷に対する取り組みを評価しました。地球をまもっていくために、これらの企業が製品設計やサプライチェーンで必要な転換を始めているのか、次の3点について評価しました。

1. 自然エネルギーへの転換 2. 消費資源の削減 3. 有害化学物質の除去

今回のガイドでわかったこと

1. 自然エネルギーへの転換

IT業界が使う電力は、世界の電力需要の712%と推定され、さらに拡大する見込みです。アップルをはじめ、グーグル、マイクロソフトやアマゾンなどのIT企業は、高まる世間の声にこたえ、各データセンターを自然エネルギーに転換し始めています。しかし、データセンターの運営を100%自然エネルギーにし、サプライチェーンにもそれを適用すると約束しているのは、アップルだけ。 

大企業であるサムスンやファーウェイ、アマゾンの3社は、サプライチェーンを通して排出される温室効果ガスについてすら公開していません。

2. 資源消費の削減

私たちが使うIT製品には、世界各地から集められた資源がどんどん使われるようになっいます。IT製品が使われる期間はほんの短い間だけで、あとには世界中で毎年6,500万トンものeウェイスト(電子機器廃棄物)が残されます。IT企業には、「資源を採取し、生産し、廃棄する」サイクルから抜け出し、すぐ使えなくなるような製品設計をやめるべきです。 そして、簡単に修理ができて長持ちする製品をつくることで消費サイクルを減速させ、リサイクル材料をもっと多く使うことに注力すべきです。フェアフォンやデル、そしてヒューレット・パッカードといった企業は、環境に優しい製品設計をリードしています。一方、サムスン、アップルやマイクロソフトは望ましくない方向へ向かっています。

3. 有害化学物質の除去

有害化学物質の除去は、2007年から2012年にかけてグリーンピースが発表した『環境に優しい電機メーカーガイド』の主な着目点でした。10年後、アップルによるリーダーシップは明らかですが、サムスンやそのほかのIT企業は20092010年にかけて立てたポリ塩化ビニル(PVC)および臭素系難焼剤(BFRs)を製品内から除去するという目標を達成していません。製造過程で使用される有害化学物質の除去、まずは、発がん性や神経毒、ホルモンに影響を与える可能性がある物質の除去が今すぐ必要です。

今回評価した17社の全体的な平均スコアは、D+でした。環境に優しい電子機器をつくる企業になるまでは、ほとんどの企業において長い道のりであるということがわかりました。フェアフォンは総合評価でB(全17社中の最高スコア)で、修理可能でアップグレードもできる製品設計が高い評価につながりました。

あなたにできること  

IT企業はこれまで、市民からの声にこたえてきました。増え続ける自社の地球への環境負荷に対して、責任があるということにも耳を傾けてほしいと思います。これまでの「資源を採取し、生産し、廃棄する」というビジネスモデルから、地球の資源を守り、自然エネルギーを利用するビジネスモデルに転換を遂げなければなりません。

自然エネルギーで作られ、長持ちするIT製品。それこそが真の革命的な製品ではないでしょうか。あなたの思いをぜひ企業に伝えてください。

世界のスマホシェアNo1、そして電子機器部品のトップメーカーなのに、たった1%しか自然エネルギーを使っていないサムスン。気候変動を悪化させないよう、自然エネルギー100%を利用するよう求めるメールアクションに参加してください! 

『環境に優しい電子機器企業ガイド』はこちらから読んでいただけます。

ギャリー・クック 上級ITアナリスト(グリーンピース・アメリカ)

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