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食と農業担当の石原です。今日から平昌オリンピックが始まりました!日々トレーニングに励む選手達にとって食はとても大事なことですね。

2012年のロンドン大会以降、選手村で提供される食材は環境や人権に配慮したものでなければいけないという基準が引き継がれています。2020年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますが、食材を提供するために、東京はもちろん全国で様々な動きがあります。 

先日グリーンピースが開催したワークショップ「オーガニックを身近にする方法」では、基調講演で一般社団法人オーガニックヴィレッジジャパン事務局長、「ORGANIC VISION」編集長の山口タカさんが、2020 年の東京オリンピックに向けてオーガニック業界がどのように動いていく可能性があるか、消費者・生産者・販売者の動きは今後どう変わっていくのか講演してくださいました。その内容をレポートします。

オリンピックのキャンプ地にオーガニック食材を届けよう!

山口さんは20年間オーガニックの仕事に携わり、現在はオーガニックと食育をテーマに出版活動を主とした活動を行っています。その中で、山口さんは、オリンピックをオーガニックを広める機会にしたいと考え、選手達の事前キャンプ地にオーガニックを取り入れるよう働きかけています。オリンピックは主に東京が会場となりますが、選手たちが事前準備のために宿泊し、最終調整するキャンプ地は全国に点在します。東京オリンピックには200国以上が参加すると推定されているうえに、選手の多い国はキャンプ地を何カ所も作るので、キャンプ地は最低でも250、場合によっては300もの市町村にできるそうです。

選手にとって最後に大事なのは「食」

そのため、今、全国の自治体はキャンプ地誘致のため奔走しています。誘致をするにあたり、練習する競技場や宿泊施設を重視しがちですが、キャンプ地は基本的に全てを任されるので、「食」も欠かすことができません。選手は様々なトレーニングを4年間やってきて、最後の調整を行うのがキャンプ地なので、食はメンタル・体力的にも非常に重要です。海外ではベジタリアンのアスリートも多くいて、オーガニックに関しての意識も高いです。オリンピックは、前半が水泳、後半が陸上なので、選手は入れ替わりやってきます。さらにパラリンピックもあるので、キャンプ地は1カ月〜2カ月稼働することになります。この期間、選手たちにどのような食を提供できるかというのはキャンプ地を運営する自治体にとって、とても重要な課題です。

食材をオーガニックにするかは自治体次第!地方創生にもつながる

それでは、各自治体は食に関してどういう対応するのでしょうか。ごく少数、かなり意識している自治体もありますが、現時点では、ほとんどの自治体が、食に関してまだ思いが至っていません。そこで山口さんは、オーガニックの食材を提供することで、食のホスピタリティをあげようという取り組みを行っています。キャンプ地はオリンピック組織委員会や東京都ではなく、市町村が選手団を送り込む国と直接交渉して、予算や内容決めることができるそうです。なので、食に関しても自治体の頑張りによってはオーガニックに全部切り替えることは可能と言います。

例えば、自治体がオーガニックタウン宣言をして、キャンプ地の選手の食はすべてオーガニックでまかなうとしたら、世界に向けて国産オーガニックを印象付けることができます。オリンピックをきっかけに、国内だけでなく、海外に輸出する道が開けることも考えられます。キャンプ地がオーガニックを提供することは、日本のオーガニックの未来も広げる可能性があると山口さんは言います。

写真:講師の山口タカさん

日本の消費者の意識も変わってきている

オリンピックが近づくことに加えて、消費者の間でもオーガニックの意識はますます高くなってきています。 

山口さんが事務局長を務めるオーガニックヴィレッジジャパンは消費者の意識調査をしており、消費者の意識は確実に変わってきていると言います。ただ美味しいからではなく、それぞれの商品の生産過程にどのようなストーリーがあるのかも付加価値として考えながら、消費の行動が深くなってきているそうです。

例えば、以前アンケートをしたところ、「どこに買いに行けば良いのかわからない」というのがオーガニックを買わない理由の一つでした。しかし今は大手スーパーでも販売されるようになったので、どこにあるかわからないとは言えなくなったし、実際、買いに行く人もいます。オーガニックを求める消費者、オーガニックの生産を増やしたい生産者、流通や販売方法を改善している販売者の相乗効果が加速度を増してきているいま、さらに2020年のオリンピックがスピード感を加え、市場規模が大きくなることが予想されます。そうすれば、さらに価格も下がるかもしれません。

つながりを広げて、化学反応を起こそう!

積極的にオーガニックを選ぶ、農家さんと繋がる、など、みなさんもオーガニックや環境にやさしい農業を身近にするために何ができるか、それぞれ考えてみませんか?スーパーマーケットに「オーガニックを増やして」という消費者の声を届けることも、オーガニックを増やすためにできることの一つ。ぜひあなたも署名に参加してください。2月12日が締切なので、ぜひ参加して周りの方にもシェアしてください。

「国産オーガニックを全国に!」いますぐ署名する >

 


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