こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

1月21日、「原発避難計画全国集会in 東京」*が開かれました。

「万全な避難計画を作ることは不可能」

冒頭、司会をつとめたFoE Japanの満田夏花さんが、福島から北海道に避難・移住された宍戸俊則さんからの報告を紹介されました。

宍戸さんは、「万全な避難計画を作ることは不可能」と結んでいました。

集会で登壇されたみなさんの報告内容を、手短にレポートします。


 

避難所ギュウギュウ問題を市民が指摘、計画の見直しも。

玄海原発(佐賀県)

報告:永野浩二さん (玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)

 

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(google mapより)

 

唐津市の避難計画を検証。

避難計画書には、地区ごとに人口やどこに避難するかなどが掲載されている。

会の代表の地元の公民館が避難所となっており、300人収容となっている。

代表があんなに小さいところに300人入るんだろうかとつぶやいた。

そこから調査が始まり、県内の自治体をまわった。そうしたら、避難者一人あたりのスペースが2平米しかないことがわかった。

太良町。町の避難所に8000人避難する計画となっていたが、太良町の担当者はそれを把握しておらず、「桁が違うんじゃないか」と。受け入れ自治体がわかっていないのは、どこでもあることだった。

避難スペースや経路の不備など調査結果を市町村にも報告し、その結果、30キロ圏の伊万里市民の避難先が全面見直しとなった。

避難元から避難先までルートを辿ると土砂災害、がけくずれ、など見つかる。

調査結果を市議会議員に報告し、唐津市では議会で問題にしてもらった。

「避難所は、安全なところにあるのが大原則」という答弁を得たが、見直しにはいたっていない。

ヨウ素剤は、30キロ圏内の役所に備蓄されることに決まっており、佐賀市は50キロ圏なので、備蓄の義務はない。これも議会でとりあげてもらい、「佐賀市としても研究したい」との答弁を得た。

各地で座談会や議員勉強会なども開き、自民党系議員も参加している。また、議員のほうからの勉強会の要望もある。

避難問題は、自治体の担当者を引き寄せることのできる問題だ。

 

 

 

最悪を考えない避難計画 伊方原発

阿部悦子さん(元愛媛県議会議員)

 

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(googlemap より)

 

昨年の12月DAYS JAPANで伊方原発の特集をしてくれた。

取材を集約したものを地図にしてくれた。ここにすべてのことがかいてある。

伊方原発は、佐田岬半島のつけねに位置し、伊方町には1万人が住む。

その半分が、避難のときには伊方原発のすぐそばを通らなければならない。

避難計画の重要性を認識したのは、「あなたはここから逃げられますか」という

チラシを配布したとき、小さな5つの集落をまわった。200人弱の集落群を3人でまわり、6時間かかった。行っても行っても空き家ばかり。子どもにあったのは6時間でひとり。

(こうした集落の孤立が心配されるが)愛媛県議会で追求しても、答弁は「孤立集落はゼロ」。

しかし、土砂災害、危険渓流、崩壊危険地域など、(孤立集落となってしまうリスクのある)危険箇所がたくさんある。

 (海側への避難に関し)県は、フェリーやそれぞれが持っている船でにげろという。しかし、5000人の人口に対し、フェリーの定員は250人。

市民グループの調査では53%の伊方町民が再稼働に反対。

伊方原発で仕事している人が多くても、再稼働に反対。

県の資料では、南海トラフ大地震で、断水人口90万人とある。県議会で質問したら、「県民には一週間分の水の備蓄を義務付けている」と。

最悪を考えない愛媛県。人々の命をないがしろにしている。

 

 

国と自治体で食い違い 避難汚染所の問題について 高浜原発

島田清子さん(避難計画を案ずる関西連絡会)

 

 

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事故に避難者の汚染を調べる汚染検査所の場所が12月に発表された。現地に行き、調べた。

30キロ圏内にあり、狭い。

内閣府の資料では、綾部球場というのがある。行ってみると屋内施設はない。

どうやって人の検査や、除染をするのか。

高速のパーキングエリアから綾部球場へ行くと、柵があり、ナンキン錠がかかっている。

このナンキン錠を誰が開けるのかもわからない。

ここを最大で8800人が使うことになっている。自家用車で乗り合わせ、3000台が押し寄せる。避難計画では、ここで兵庫県のバスに乗り換え、自分の車はいったん置くことになっている。

甲子園のグラウンド二個以上必要だが、そんなスペースはない。

綾部市役所は「グラウンドは使わせない」と言っている。

 

 

 

「アレルギーありますか?」安定ヨウ素剤の配布について 高浜原発

アイリーン・スミスさん(グリーンアクション)

 

ヨウ素剤は5キロ圏内が事前配布。30キロ圏内で服用。

5キロ圏に8806人、30キロ圏で17万人以上。

(30キロ圏外の)兵庫県のシミュレーションでは兵庫もヨウ素剤の服用が必要なほど汚染されることになった。本当ならもっとすごい人数となる。

高浜町で防災訓練が行われた。ヨウ素剤を、屋外で、「アレルギーありますか?」と聞いて渡す。ヨウ素剤は早く服用しなければ効果がない。

24時間前から服用していると90%以上の抑止効果。

京都のどこにヨウ素剤が備蓄されているかというと非常に少ない。

そして配布方法は未定。

滋賀県は高島市と長浜市の学校、幼稚園で保管し、避難する場合は学校で服用、

3歳未満には粉やシロップが処方される。

ヨウ素剤備蓄について調査をした。

  配布場所が少ない

  滋賀県以外は学校で保管していない

  3歳児未満の子供の対策は具体化していない

  屋外で立ちながら配る。被曝しながら配る

ということがわかった。

50キロ圏の兵庫県篠山市は今年から事前配布、説明会も行われる。

これは市民のはたらきかけの成果。

 

 

新潟県の放射性物質拡散シミュレーション 柏崎刈羽原発

金子貞男さん(原発からいのちとふるさとを守る県民の会)

 

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(新潟県のシミュレーションより)

 “事故の検証がおわらなければ、再稼働の議論に入らない”というのが

新潟県泉田知事のスタンス。彼は東京電力には原発を運転する能力がないともいう。

新潟県は、柏崎刈羽原発事故のシミュレーションを発表した。

100キロ圏は、すぐに避難しなければならない結果もあった。

シミュレーションの作成には、東電も入れて、2年くらい議論を重ねた。

 

 

 

要援護者の避難について 高浜原発

アイリーン・スミスさん(グリーンアクション)

福井県では、どちらに風が流れるのかにより、避難を県内か県外かが選べることになっているが、要援護者は県内避難のみ。

京都府も同じ。府内避難。

では、府内のどこの施設か。府に聞くと、「複数選んでいるが、関係団体に示して確認しているので」という。

そういう状況で再稼働は進んでしまう。

要援護者の場合、屋内退避が国の方針だが、屋内退避は、要援護者にとって過酷で、ある要援護者は「屋内退避は、座して死を待つようなもの」と言っている。

—   ヘルパーはくるか

  薬はくるか

  移動手段が決まっていない

  車の台数が足りない

屋内退避施設を訪問した。しかしディーゼル発電機の燃料は3−5日間 その後はどうするかわからない。

園児・幼児の対応については、府は、親との連絡なども確認していない。




避難計画は机上の空論

報告をお伺いして、実際に、自治体の避難計画を見てみることがとても大事だと思いました。

避難経路、場所、人数などなど、すぐにたくさんの疑問が湧いてきます。

そして、近場から実際に行ってみると、避難計画が机上のものということがわかります。

そんな避難計画を、国は次々に「合理的である」として「了承」しています。

グリーンピースは、今度も避難計画の検証に関わっていきたいと思っています。

よろしくお願いします。

当日のプログラムはこちらをご覧ください

 

*主催 原発からいのちとふるさとを守る県民の会(新潟)、 川内原発30キロ 圏住民ネットワーク 、 避難計画を案ずる関西連絡会、グリーン・アクション 、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会、玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会、 原子力規制を監視する市民の会、FoE Japan グリーンピース・ジャパン


 

 

とめよう再稼働 オンライン署名

 

 

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