2012/11/16 新レポート発表「電気をたくさん使っているのは誰?」 ――企業に求められる「省エネ」と「電源責任」

プレスリリース - 2012-11-16
国際環境NGO グリーンピース・ジャパンは16日、新レポート「電気をたくさん使っているのは誰?」を発表しました(注1)。このレポートでは、電力消費の内訳を明らかにし、大口消費者である経済界と、電力消費が今後急増すると予想されるIT・携帯電話などの情報通信分野に着目し、積極的な「省エネ」と「電源責任」を求めるものです。

日本の電力消費の3分の2は、産業部門と業務部門からなる経済界が消費しています。中でも製造業は、産業部門全体の電力消費の約8割を占め、日本全体の電力の28%を消費しています。このレポートでは、製造業の99%の業種が、生産額に占める電気代の割合は5%未満と低く、電力コスト上昇が製造業全体に与える影響は限定的で、業種によっても大きく異なる点も指摘しています。一方で、今後電力消費量の大きな増加が予想される情報通信分野では、2006年に約500億kWhだった消費電力が2025年には5.2倍となり国内総発電量の20%に達するとされています(注2)。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当 高田久代は、「原子力発電には人や自然を傷つけるリスクがあることが、東京電力福島第一原発事故で改めて明らかになりました。電気をたくさん使う企業には、どのような発電方法でつくられた電気を使うかの責任があります。省エネはもちろんのこと、できるだけリスクの少ない発電方法を選ぶ『電源責任』が今後ますます問われるでしょう」と語りました。

さらに、「グリーンピースが2012年2月に行った意識調査(注3)では、約65%の回答者が『企業がどんな電気を使っているか気になる』と答え、約81%の人が『自然エネルギーを企業に選んで欲しい電気』と選ぶなど『原発の電気を使いたくない』ということは、消費者の多くが抱いている企業に対する要望です」と訴えました。

レポートを監修した島根大学法文学部教授の上園昌武氏は、「福島原発事故を受けて、大口の電力ユーザーの工場や企業は、省エネと電源責任という義務を果たさなければなりません。電気をできるだけ使わずに、いかに経済を発展させるかというビジネスモデルをつくり出すために、省エネや自然エネルギーは大きな可能性をもっています」と語りました。

注1) レポート「電気をたくさん使っているのは誰?」(PDF)
注2) 経済産業省・グリーンIT推進協議会試算(2008年)
注3) 電力についての意識調査(2012年2月実施)
ベイサグリーンピース・ジャパンがサーンプリングジャパン合同会社に委託し、日本全国の15才以上の男女合わせて3,000人を対象に、同社がインターネット上で実施し回答を得たもの。

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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