2012/11/20 『環境に優しい電機メーカー・ランキング』第18版発表 ――首位はインドのウィプロ、日本企業最高は8位のソニー

プレスリリース - 2012-11-20
国際環境NGO グリーンピースは、『環境に優しい電機メーカー・ランキング(第18版)』(注1)を発表し、グローバル電機メーカーは、製造およびサプライチェーンにおける原子力と化石燃料の使用をやめるために一層の取り組みを行う必要があることを指摘しました。

ランキングの対象となっている16社のグローバル電機メーカーは、携帯電話、コンピューター、テレビ、モバイルIT機器などの自社製品に有害化学物質を含まないようにする点で着実な進歩を遂げていますが、製造およびサプライチェーン(生産過程)では、原子力や気候変動を引き起こす化石燃料など「汚染エネルギー」への依存が続いています。

今回のランキングで1位となったのは、インドのITサービス大手ウィプロ (Wipro)で、インド政府に対して自然エネルギー推進を政策に盛り込むよう積極的な働きかけを行ったことや、製品中の有害化学物質の削減および製品リサイクルについての同社の取り組みを評価し、高得点となっています。

日本企業4社の最高位はソニーの8位で以下、パナソニック11位、シャープ13位、東芝15位と続きました。日本企業は、有害化学物質の削減面で一定の評価ができる一方、エネルギー面では課題を抱えており、温室効果ガス削減や自然エネルギーの導入に積極的で明確な目標を定めることがまず求められます。

前回1位だったヒューレット・パッカード(HP)は2位に転落した一方、今回もっともスコアを伸ばしたのは台湾の大手パソコンメーカーのエイサー(Acer)です。 同社はサプライヤーに対して、温室効果ガス排出量の削減や有害化学物質および紛争鉱物を使用しないよう働きかけを行っている点が評価され、13位から4位(注2)に急上昇しました。

グリーンピース・インターナショナルのITアナリスト、ケイシー・ハレルは、「コンピューターやスマートフォンなど電子機器が組み立てられる過程では、多くのエネルギーが使われています。電機メーカーの次の大きな環境課題は、原発や化石燃料の使用を減らすことです」と訴えました。

また、グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当の高田久代は、「世界中でエレクトロニクス製品の使用が急増するなか、電機メーカーがどのような電源を選ぶかという『電源責任』は、省エネと並んで非常に重要な問題です。電機メーカーは、有害化学物質の削減に成功してきた例のように、自然エネルギー利用でもリーダーシップを発揮できるはずです」と語りました。

グリーンピースの「環境に優しい電機メーカー・ランキング」は、製品からの有害化学物質の段階的廃止などを電機メーカーに求めるために2006年から発表されています。2011年の第17版からは、エネルギー分野の取り組みを評価観点に加える改訂を行いました。この取り組みは、グローバルな自然エネルギー革命のために必要なソリューションを提供できるIT業界に着目したグリーンピースのキャンペーンの一環です。

『環境に優しい電機メーカー・ランキング』

このランキングは、携帯電話、パソコン、テレビの世界的な製造企業16社を対象に、エネルギー、有害化学物質の削減、持続可能な製造の3部門について公開されている情報をもとに比較し、各企業の環境への取り組みを評価したものです。

注1) 環境に優しい電機メーカー・ランキング(第18版 英語「Guide to Greener Electronics 18

日本語版要約(PDF)

注2) ウィプロとHCLインフォシステムズは前回インド版のみにランキングを掲載していたが、ここでは第17版の国際版のランキングに組み込んで比較。

<参考>
環境に優しい電機メーカー・ランキング(第17版・英語・2011年11月9日発表) 
評価項目・ランキング表(日本語)
ランキングの評価基準について(英語)



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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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