2016/06/28 グリーンピース、関西電力の株主総会でアピール行動 〜原発再稼動は「危険なギャンブル」と批判〜

プレスリリース - 2016-06-28
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは6月28日、関西電力株式会社の第92回定時株主総会にて関電株主行動の会に参加し、同社に原発の廃炉の速やかな決定と安全な廃炉のために検証委員会を設置することを提案しました(注1)。同時に、会場前で株主に向けてアピールをしました。

兵庫県神戸市の会場前に集まったグリーンピースのスタッフ5人は、「KEPCO: やめて! 危険な老朽原発ギャンブル」と書かれたメッセージを掲げ、日本の「原子力ムラ」が進める原発再稼働は市民の安全や環境を賭けた「危険なギャンブル」だと批判しました。また、関西電力の八木誠社長、原子力規制委員会の田中俊一委員長、そして安倍晋三首相が2個の大きなサイコロを転がし、原発再稼動に伴ってどのような原発事故が起こるか、どのような被害が生じるかというゲームに興じている様子を演じるパフォーマンスを行いました。総会内ではグリーンピースも一株主として参加し、複数の株主から「老朽原発再稼動の危険性」と「投資の経済性」を問う質問や、「自然エネルギーへの転換」を求める提案が上がりましたが、脱原発株主提案はすべて否決されました。

関西電力は日本の電力会社の中で最大の負債を抱えており、純有利子負債は純資産の約328%です(注2)。2015年度の財務レポートでは、東京電力福島第一原発事故以来、初めて黒字になったとしていますが、アナリストは今後3年間の売上は2015年度を下回ると予測しています。電力需要の減少、自然エネルギーのコスト低下とシェア拡大、そして電力自由化で競争が激化する中で、老朽原発の追加の安全対策費用のためにさらなる巨額の借金を負うことは同社と株主の双方に大きなリスクです。

高浜1、2号機における追加安全対策費用の推定額は2,165億円で、美浜3号機など関西電力の他の原発をあわせると5,000億円を超えると報じられています。高浜1、2号機の安全対策工事には少なくとも3年かかり、2基の運転期間はそれぞれ15、16年程度にすぎません。また、高浜3、4号機は、重大な安全上の問題があるとして、裁判所が運転を差し止めたにもかかわらず、関西電力はより古い同原発1、2号機の再稼働に躍起となっています。これらの原発が安全対策工事を終え、再稼働まで進んだとしても、裁判の決定や技術的な問題で運転できないことも十分考えられます。

世界の原発の平均寿命は24.7年です。世界最古のスイスのベツナウ原発でも、その運転期間は47年にすぎず、現在、技術的問題で運転を停止しています。欧米では電力自由化以降、電力会社が大型の石炭火力や原子力発電所に巨額の投資をして失敗し、大損をしています。今月、米国の電力会社PG&Eは、経済性を優先してディアブロ・キャニオン原発の延長認可申請をせずに2025年での閉鎖を決め、自然エネルギーで代替すると発表しました。

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の柏木愛は、「関西電力は今すぐに、廃炉を決断するべきです。巨額の負債を抱えながら、運転期間など不確実性の大きい老朽原発を動かそうとするのは、同社にとっても、株主にとっても危険なギャンブルです。関西圏はすでに原発ゼロを達成し、原発なしで電気が足りることは実証されています。関西電力は、市民と環境を大きなリスクにさらす『原発ギャンブル』をやめ、エネルギー効率化と自然エネルギーによって、株主も顧客も満足できる道を探すべきです」と訴えました。

注1)グリーンピース・ジャパンは脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、東京電力と関西電力の株式を最小単位で(100株)購入しています。

注2)関西電力「決算関係データ集」(2016年5月)

※当日の写真はこちらからダウンロードできます。

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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