2016/11/22 グリーンピース声明:規制委は強度不足問題を矮小化と批判ーー 日本の原発に「規格超える炭素濃度のおそれなし」との評価を受けて

プレスリリース - 2016-11-22
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、本日、第45回原子力規制委員会において、フランスの原子力安全局で確認された原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査の結果について、規制委が日本の原発について「製品中に規格で定められた炭素濃度を超えるような部分が残っているおそれはないと評価できる」としたことを受けて、以下の声明を発表しました。

「原子力規制委員会が、電力会社からの報告を受け取ったのはわずか3週間前のことです。2年近くも調査を続け、非破壊検査だけでなく破壊検査も命じたフランス原子力安全局(ASN)とは対照的に、規制委は、電力会社の『炭素偏析部残存の可能性はないことが確認できた』という不十分な報告書の結論を鵜呑みにしました。規制委が、この問題のリスクを理解できていなことは明らかです。フランス原子力規制機関による調査は、日本企業が製造した鋼材を含め、進行中であることを考えれば、「今後も検討を進める」としたのは当然です。しかし、調査対象を『鍛造製品』だけに限定し、独自の調査も行わずに、不十分な電力会社とメーカーの報告書を拠り所にして評価を下すのは、責任放棄も甚だしいと言わざるをえません。今すぐ、調査対象を、すべての原発の原子炉圧力容器、蒸気発生器、加圧器に広げ、実機での非破壊検査を行うべきです」

金属材料学が専門の東京大学名誉教授 井野博満氏も、現在の調査が、過去の分析データや解析結果だけで、実物の検査をしていないことについて「超音波による非破壊検査は表面の組成分析は、実物の機器ですぐにもできるはず」とコメントしています。

尚、本日11月22日13時頃、参議院議員会館B101会議室にて、緊急署名『強度不安の疑いのある川内原発・伊方原発、いますぐ検査を』(12,078筆)を、原子力規制委員会の田中俊一委員長に宛てに、原子力規制庁職員に手渡しで提出する予定です(注1)。 本署名は、2016年11月8日からグリーンピース・ジャパンのウェブサイトで緊急実施しており、本日、一次集計分(11月21日集計)を提出します。本署名の目的は、原子力規制委員会に強度不足の疑いがある部品を使用している原発の検査を求めるもので、具体的には以下の3点を要請しています。

1) 運転中の川内原発2号機、伊方原発3号機については、即時停止して問題の部品の非破壊検査を行わせること

2) 12月に再稼働が予定される川内原発1号機をはじめ、定期検査中の原発については、定期検査を延長して問題の部品の非破壊検査を行わせること

3) 廃炉が決まった原発について、問題の部品の破壊検査を行わせること 

11月16日、グリーンピース・ジャパンは鹿児島県知事宛てにも要請書を提出しています(注2)。

注1) 『強度不安の疑いのある川内原発・伊方原発、いますぐ検査を』 URL: http://bit.ly/2fBFx2j

注2) http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/Demand_to_Kagoshima.pdf

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

 

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