2017/11/29 グリーンピース、『環境に優しい電子機器企業ガイド』発表 ーー自然エネわずか1%のサムスンに、気候変動を悪化させないよう求める活動スタート

プレスリリース - 2017-11-29
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日29日、スマホなどIT製品を製造・販売するグローバルIT企業17社の環境への取り組みを評価した『環境に優しい電子機器企業ガイド』第19版(注1)の日本語訳を発表しました。高評価だったのはフェアフォンとアップルで、スマートフォンの世界市場トップを占めるサムスンとファーウェイは、環境負荷低減に取り組む責任を果たしていないことが明らかになりました。

なかでも、スマートフォンの最大メーカーであり、半導体等の最大サプライヤーの1社でもあるサムスンは、業界の中心的な存在であるにも関わらず、製造過程においてはいまだに化石燃料に大きく依存しています。同社は、2016年に16,000GWh以上のエネルギーを使用していますが、そのうち自然エネルギーの使用はわずか1%でした。サムスンのITおよび関連業界への多大な影響力を考えれば、どこよりも大規模な改革に乗り出す必要があります。同社は、これ以上気候変動を悪化させないよう一刻も早くサプライチェーン全体で自然エネルギー100%にシフトするべきです。グリーンピースは、賛同者のメッセージをサムスン電子CEOに直接届けるメールアクションを、世界各地で本日より開始しました。(注2)

グリーンピースUSAの上級ITアナリスト、ギャリー・クックは「多くのIT企業は、イノベーションの最前線にいると主張していますが、彼らのサプライチェーンは古い時代の製造方法にとどまっています。IT企業は変化を起こすことが可能です。気候変動の悪化に加担するのではなく、グーグルやアップルなどが自然エネルギーでデータセンターを稼働させているように、環境にとっても革新的な方法をとるべきです」と述べました。

急成長を続けるIT業界によって、サプライチェーンも含めた環境負荷が急増し、今後も増加が見込まれます。本ガイドでは、世界のトップIT企業を、持続可能性に重要な3つの分野(1)自然エネルギーの導入による温室効果ガス排出量の削減、(2)リサイクル材料の使用、(3)有害化学物質の削減について、透明性、実績、政策提言の取り組みに基づき評価しました。日本企業ではソニーが対象となっています。グリーンピースは、2006年から2012年にかけて同ガイドを定期的に発表、その結果、有害化学物質の廃止や、電子機器のエネルギー効率化といった確実な成果が見られました。

【主な調査結果】

  • サプライチェーンも含めた石炭などの環境汚染エネルギー需要:電子機器のライフサイクルで発生する温室効果ガスの80%が製造時に発生する。アップル、グーグルなどのIT企業はデータセンターの稼働電源を自然エネルギーに移行しているが、一方、ほぼすべての企業が、増加するサプライチェーン全体の排出量や、石炭などの汚染エネルギーに大きく依存している状況の改善には着手していない。現時点で、サプライチェーンの100%自然エネルギー化に取り組むことを宣言したのはアップルのみ。
  • 計画的旧式化:頻繁な買い替えを必要とするような、持続可能ではない設計が増加している。例えば、アップル、マイクロソフト、サムスンの最新製品の多くは修理やアップグレードが難しい。 一方、HP、デル、フェアフォンは修理、アップグレード可能な製品を製造している。
  • サプライチェーンに関する透明性の欠如アマゾン、グーグルやファーウェイなど多くの企業はサプライチェーンの環境フットプリント(地球温暖化以外の複数の環境影響指標)を公表しておらず、透明性に欠ける。
  • 工場等での化学物質のモニタリングと透明性の欠如:すべての企業は、製造に使用される有害化学物質の特定と排除を行い、作業従事者の健康と安全性を改善する必要がある。評価した企業のうち、電子機器の製造において制限されなければならない物質リスト(製造時使用制限対象物質、MRSL)を公開していたのは アップル、デル、グーグル、HP、マイクロソフトのみ。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当 石川せりは、「増え続ける電子機器廃棄物(eウェイスト)の問題にとどまらず、採取・生産・廃棄という直線型のビジネスモデルが限界を迎えることは明らかです。今回の調査では、世界のIT企業17社を対象としましたが、技術力を誇る日本の企業にこそ、クリーンなエネルギーを使う循環型ビジネスモデルへの転換をリードする役割を担うことを期待します。気候変動は国境を越えた問題であり、緊急な対策が求められるなか、より野心的な目標とさらなる透明性、そしてサプライチェーン全体の環境負荷削減に取り組むことが必要です」と述べました。

グリーンピースは、急速に拡大する自らの環境影響に対して責任を果たすよう、以下をIT企業に求めます。

  • サプライチェーン全体で自然エネルギーの電力にシフトする
  • より多くのリサイクル材料を使用した長持ちする製品設計をし、鉱物や他の資源の消費を抑えること
  • 製品とサプライチェーンで使用される有害化学物質を除去し、代替品を見つけること

なお、本ガイドの執筆者の1人でもあるギャリー・クックは12月初旬に来日、12月7日に『Rethink IT:直線型から循環型ビジネスモデルへの転換ーー世界のITトップ企業が自然エネルギー100%を目指す理由』と題したビジネスセミナーを開催いたします(注3)。

 
注1)『環境に優しい電子機器企業ガイド』第19版(英語版は2017年10月17日にグリーンピースUSAより発表)
注2)メールアクション「サムスン、気候変動を悪化させないで」
注3)  ご参加申し込みはこちら 

 

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