2018/07/27 グリーンピース声明:世界の異常気象は、気候変動予測の現象と一致 ーー日本は石炭火力発電所建設をやめるべき

プレスリリース - 2018-07-27
国際環境NGOグリーンピースは、世界中で森林火災や熱波が頻発し、多くの人々の命が奪われている状況について、以下の声明を発表しました。森林火災が発生しているギリシャでは死者は80人に上り、さらに増える可能性があります。また、日本ではこの熱波の影響で7月16日から22日までに65人の方が亡くなり(注1)、ロシアやカナダなどでも記録的な高温が観測されています。

グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長 バニー・マクダーミッド

「各地で続いているこの世界的な悲劇の中で苦しむすべての方々に、お見舞いを申し上げます。異常気象の背景には複雑な要因の関与がありますが、私たちが経験していることは、『気候変動後の世界の状況予測』と一致しています(注2)。

激しい熱波の世界的な広がりは、気候変動が明らかな要因と考えられます。これは産業革命以前と比べ、平均気温がまだ1度に届かないほどしか上昇していない状況での出来事です。パリ協定で合意された世界の平均気温を1.5度または2度未満に抑えるという目標を超えて気温が上昇した場合、どのようなことが起きてしまうのか、私たちには想像さえできません。世界中で非常に悲惨な形で人々の命が失われていますが、このような状況が起こらないようにし、さらに極端な気象災害を未然に防ぐためには、緊急に気候変動対策を講じる必要があります。」

グリーンピース・ジャパン、エネルギープロジェクトリーダーの高田久代

「この夏の気象災害によって日本各地でお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々の安全と被災地の1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。豪雨災害がまさに起こっている西日本をはじめ、熱波が襲う日本全国に、30基以上も新たに石炭火力発電所が建設されようとしています。石炭による発電は、たとえ最新型であっても、もっとも多くの温室効果ガスを排出する発電方法です。極端な気象災害を少しでも減らすために日本が今すぐにできる対策は、石炭火力発電をやめ、これ以上新しくつくらないことです

報道によれば、経済産業省は、発電効率の低い石炭火力発電所の新設を規制する方針を固めました。これは歓迎すべきことですが、政府は一方で『高効率』で大型の火力発電所を推進する方針を示しています(注3)。しかし、『高効率』であっても1-2割程度の温室効果ガス削減効果しかありません。

パリ協定達成のために、日本は電力部門の完全な脱炭素化を2030 年までに成し遂げる必要があります(注4)。新規の石炭火力発電所を建設する余地など全くありません。省エネを最大化し、全てのエネルギーを持続可能な自然エネルギーでまかなっていく社会をつくっていくことが求められています。」

(注1)消防庁資料

(注2)July sees extreme weather with high impacts

(注3)石炭火力の新設規制、小型は事実上禁止に 経産省 (日本経済新聞)

(注4)パリ協定に基づく日本の石炭火力フェーズアウト 政策決定者と投資家への示唆(自然エネルギー財団)

関連する写真はこちら

トピックス