2018/08/31 <CAN-Japan声明・防災の日に寄せて>今夏の気候災害を受けて、気候変動対策強化を求めます 〜パリ協定の排出ゼロに向けて、脱石炭・再エネ100%へ舵を切るべき〜

プレスリリース - 2018-08-31
今夏に発生した豪雨、猛暑、台風、雷雨等の気候災害によって深刻な被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、気候災害からの復興にあたっておられる皆様に敬意を表します。

四半世紀前より、世界中の気候学者は、石炭等の化石燃料の燃焼や森林減少による温室効果ガス排出増によって地球温暖化が進み、極端な気象災害が深刻化する恐れがあると繰り返し指摘してきました。気象庁の異常気象分析検討会は、今夏の豪雨について「地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあった」、猛暑については「地球温暖化を反映した気温の長期的な上昇傾向」が記録的な高温に影響したと指摘しています。また、今夏の災害を受けて、著名な気候学者も「災害の拡大を抑制するために地球温暖化を止めることが、日本人にとっても死活問題になってきた」と述べています。

気候災害発生後の対応だけでは、人々の生命・暮らしや産業を十分に守ることはできません。気候災害からの救援・避難・復興のさなかにまた別の気候災害が襲うことも珍しくなくなりました。今夏の一連の気候災害を警告と受け止め、深刻な気候災害の発生を未然に防ぐ観点から、防災・適応策に加え、排出削減対策を強化しなければ、気候災害がますます猛威を振るうことになるでしょう。すでに地球平均気温は産業革命前から約1℃上昇していますが、これをパリ協定がめざす1.5〜2℃未満に抑制することは地球のすべての生きものにとって死活的に重要です。

日本において気候変動問題に取り組む13団体で構成するCAN-Japanは、日本政府に対し、次の事項に取り組み、気候変動対策を強化することを求めます。

●気候変動対策を日本政府の最優先課題と位置づけ、対策を抜本的に強化する政治的意思を示すこと

●政府が現在検討を行っている、パリ協定に基づく長期低排出発展戦略について、最大のCO2排出源である石炭火力発電ゼロと、再生可能エネルギー100%をめざすビジョンを明確にすること

●国連のプロセスで行われているタラノア対話に鑑みて、日本政府の2030年に向けた温室効果ガス排出削減目標(NDC)を見直し、目標を引き上げて2020年に国連に再提出するための検討を始めること

●2019年に日本政府が開催国を務めるG20大阪サミットにおいては、気候変動問題を最重要議題に位置づけるよう調整を進めること

CAN-Japanのメンバー団体のリーダーは、今夏の気候災害を受けて、次のコメントを発表しています:

浅岡美恵(気候ネットワーク・代表、弁護士):
「私たちは、現下の気候災害を直視し、被災者へ多層の支援はもとより、災害防止の教訓を得て次に備えることはいうまでもないが、ここで改めて、パリ協定と整合しないエネルギー政策はありえないことを確認したい。本気で再生可能エネルギーへの転換に舵を切らなければならない。何よりもまず取り組むべきは、パリ協定に逆行する石炭火力発電所の新増設計画の中止及び既設の石炭火力発電所の閉鎖だ。」

日比保史(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン・代表理事):「世界の気温上昇を2度未満に抑えるために必要な排出削減の30%は、熱帯雨林の減少を止め、劣化した森林を回復させることで実現できます。また、健全な森林は土壌に雨水を溜め、洪水や土砂災害の発生を抑えることができます。今すぐ実践可能で、費用対効果の高い気候変動の緩和策であり適応策でもある「自然の力を活用した気候変動対策」に、全力で取り組むことが重要です。」

 

CAN (Climate Action Network) は、世界で気候変動問題の解決のために活動する120ヶ国以上の1300以上の団体からなるNGOのネットワークです。CAN-Japanは、CANの日本での集まりで、12団体からなり、国連気候変動交渉に参加し、国際的NGOネットワークと連携しながら政策提言や情報発信に取り組んでいます。グリーンピース・ジャパンはメンバー団体の一つです。

 

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