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2008/12/03 EU諸国首脳は決断を!――2020年までに5兆ユーロの燃料コスト削減が可能

プレスリリース - 2008-12-03
EU諸国首脳は決断を! ――2020年までに5兆ユーロの燃料コスト削減が可能

2008年12月3日

2008年12月2日、ポーランド西部コニンのポズナニ石炭火力発電所の前で石炭による発電に反対するグリーンピースの若者

【ベルギー、ブリュッセル】国際環境NGOグリーンピースは2日、ヨーロッパ各国首脳に持続可能なエネルギーの世界シナリオ『エネルギー[r]eボリューション』(注1)を示し、首脳たちが審議中の「気候変動包括指令案」を可決すれば、ヨーロッパは経済発展しながら二酸化炭素排出量の大量削減が可能であることを訴えた。「気候変動包括指令案」(注2)はEU域内の炭素排出量削減を目的とする一連の法案。

「ヨーロッパには、自然エネルギーの使用とエネルギーの効率化、排出量削減のために、大胆な政策が必要だ。『エネルギー[r]eボリューション』は、欧州連合(EU)は気候変動に今よりもさらに挑戦できるし、しなければならないことを証明している」と、グリーンピースのEUエネルギー問題担当のフラウカ・ティーズは語った。

『エネルギー[r]eボリューション』は、欧州議会内で同案に難色を示す国があるなか、EUは原子力と石炭を大幅に減らしながら、二酸化炭素排出量を2020年までに30%、2050年まで80%削減する方法を示している。同シナリオの中で、ドイツ航空宇宙センター熱力学技術研究所が行った調査報告では、EUの自然エネルギー目標20%の断固たる実施、排出権取引制度の実行、エネルギー効率化の義務化を強く主張している。

「危険な気候変動を避けるために大胆な政策は必須だ。そうした政策は不安定なヨーロッパ経済に強固な基盤をつくるばかりでなく、消費者にとっての障壁も取り除くユニークな機会をあたえるものだ」

「『エネルギー[r]eボリューション』は、発電部門のみでも、自然エネルギーとエネルギー効率化への投資により、2020年までに5兆ユーロ(約700兆円)以上のコスト削減ができるとしている。この燃料コスト削減により、電力分野にとって2020年までに必要な追加投資が2.5倍以上も可能になる」と、グリーンピース・インターナショナル、エネルギー担当で『エネルギー[r]eボリューション』編集担当のスベン・テスケは語る。

2050年までに第一次エネルギー需要の56%が自然エネルギーでまかなえることを、『エネルギー[r]eボリューション』は示している。同シナリオによると、今世紀の半ばまでに自然エネルギーは電力の88%、熱供給部門の56%を提供でき、車輌の自然エネルギー使用増加と一部の持続可能なバイオ燃料により交通部門における二酸化炭素排出量の70%もの削減が可能となる。

「今世紀半ばまでに、EUのエネルギー関連CO2排出量は80%近く削減が可能だ。この目標達成には危険な炭素地中隔離技術実験や原子力発電はまったく必要ない。実績のある自然エネルギー技術の使用と私たちがエネルギーを賢く使うだけでそれは充分なのだ」と、スベン・テスケ。


『エネルギー[r]eボリューション』(英文)は下記からダウンロードできます。
http://www.greenpeace.org/energyrevolution/

注1:『エネルギー[r]eボリューション』は、グリーンピース・インターナショナルと欧州再生可能エネルギー評議会(EREC)が共同で研究・発表した持続可能なエネルギーの世界シナリオ。2050年までに温室効果ガス(主にCO2)の排出量を半減しつつ、エネルギーの安定供給と世界経済の着実な発展が可能であることを示した報告書。世界シナリオの初版は2007年11月。世界シナリオ第2版と各地域のシナリオがすでに発表されている。

注2:国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)がポーランドのボズナニで開催されるなか、欧州議会は「気候変動包括指令案」として知られる一連の法案の審議に日にちを費やしている。同包括指令案にはEUの排出目標、加盟国の新しい排出権取引システムの設定、EUにおける自然エネルギーの支援、炭素地中隔離技術の規制などが含まれている。EU首脳はまた、自動車排出量削減に関する新法をも可決しつつある。

お問い合わせ:
特定非営利活動法人グリーンピース・ジャパン
広報:城川