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2010/10/25 レポート発表:『PNG is not ready for REDD』 REDD資金受け取りは森林保護の準備ができてから - パプアニューギニア政府に呼びかけ

プレスリリース - 2010-10-25
レポート発表:『PNG is not ready for REDD』 REDD資金受け取りは森林保護の準備ができてから - パプアニューギニア政府に呼びかけ

2010年10月25日

【10月25日 名古屋】グリーンピースは本日、国連の生物多様性条約第10回締約国会議 (CBD-COP10)が開催されている名古屋で、レポート『PNG is not ready for REDD』(注1)を発表しました。「森林減少と劣化の防止による温室効果ガスの排出削減策(REDD)」において、なぜパプアニューギニア政府が国際的な資金提供の受け取りにふさわしい状況ではないのかを説明したものです。

またグリーンピースは本日、“ゴールデンチェーンソー賞”をパプアニューギニア政府代表団に森林保全と気候変動に関する閣僚級会合のステークホルダーとの対話が行われたANAクラウンプラザホテル(名古屋)で手渡しました。同政府が、森林の破壊を止めていないにもかかわらずREDDを利用して無条件かつ迅速な資金提供を国際社会に要求していることが、この不名誉な受賞の理由です。

(c)Greenpeace/Masaya Noda
パプアニューギニアの政府代表(左)に“ゴールデンチェーンソー賞”をわたすグリーンピースの森林問題担当(右)
©Greenpeace/Masaya Noda
パプアニューギニアの政府代表団(左)に“ゴールデンチェーンソー賞”をわたすグリーンピースの森林問題担当(右)

パプアニューギニアで活動するグリーンピースの森林問題担当者で、今回のレポート発表のために名古屋を訪れているサム・モコは、次のように同国の現状を批判しています。「パプアニューギニア政府はREDDからの国際資金提供を得ようと躍起になっている。しかし、資金と交換になるはずの森林減少を止める計画も立てておらず、国内の温室効果ガス排出削減にも取り組んでいない。このような状況では、パプアニューギニアがREDD資金を受け取る準備ができているとは言えない」

「これまで何十年も伐採を続けている木材業界は、国民に雇用や健康・教育の改善を約束したが実現していない。森林を保護するためにも、私たちの未来を明るく照らすためにも、現状を早急に変えることが必要だ。REDDは大きな希望をパプアニューギニアにもたらすが、森と人々をよい方向にリードしていかなければ、政府は資金への欲望によって動いているだけになってしまう」

今月、中国の天津で開かれたREDD+パートナーシップの会合で、パプアニューギニアは国際交渉の進展を遅らせたとして非難されました。11月末にメキシコ・カンクンで開かれる第16回気候変動枠組条約締約国会議(COP16)が数週間後に迫ったなかで、パプアニューギニアが同パートナーシップの共同議長という立場を自国の利益のために使い続けるなら、REDDの短期資金の仕組みを確立しようとする国際社会の努力が実を結ぶことはありません。また、同国と共に共同議長を務める日本政府に対しても、強いリーダーシップが期待されています。

『PNG is not ready for REDD』はパプアニューギニア政府に対して、REDD資金を受け取る前に、まずすべての木材伐採と森林破壊にモラトリアムを設けることを求めています。一方で資金提供をする国に対しては、パプアニューギニアにおける生物多様性や先住民などの権利保護と不正や違法な伐採を一掃することを含めた厳格な前提条件を同国へのREDD資金提供に求めることを呼びかけています。

注1:レポート『PNG is not ready for REDD』(英語版 PDF 3.21MB)

<お問い合わせ>
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン