第19回 海洋調査 -地元の漁業や流通に携わる方の声を聞いて-

記事 - 2013-05-31
2013年5月8日~10日に宮城、福島、茨城、千葉の漁港をたずね、魚や海藻のサンプリング調査を行い、地元の方にお話を伺った記録です。
 

第19回 海洋調査
- 地元の漁業や流通に携わる方の声を聞いて -

東電福島第一原発事故から2年、放射能に汚染された魚介類が依然として広く流通し、福島県の漁業者は休業を強いられているにも関わらず、東京電力は同原発施設内に増え続ける放射能汚染水の海への放出を計画しています。

そこでグリーンピースは、海の状況を知るため、2013年5月8日~10日の日程で、宮城、福島、茨城、千葉の漁港を訪れ、地域の漁業や流通に携わる方々の協力のもと、魚や海藻のサンプリング調査を行い、その際に地元の方からもお話を伺いました。

 
 
 

2013年5月9日
福島県 いわき市 久之浜港

サンプリング:ワカメ、アカモク、マコンブ
調査結果:ワカメ:9ベクレル/キログラム、アカモク:8ベクレル/キログラム

釣りを楽しんでいた男性
ここら辺では漁は一切していませんよ。
趣味で釣りをしている人がちらほらいる程度です。
あとは、船と港を修理するのに忙しい感じですね。
この港は震災の後に海藻が大量に発生しはじめました。
(グリーンピースが調査をしている事を伝えると)調査をもっとしてほしいね。

港の近くにいた元漁師
汚染水だろうが、地下水だろうが嫌だね。
これ以上海を汚してほしくない。

第19回放射線調査対象漁港の地図
久之浜港写真

※測定値は便宜上セシウム134とセシウム137を合算し、小数点以下を四捨五入しました。
詳細は調査報告ページをご覧ください。 調査結果はこちら >>

第20回海洋調査 -地元の方の声を聞いて- >>

photos (c)Greenpeace

 
 

2013年5月9日
福島県 いわき市 豊間港

サンプリング:アカモク、マコンブ
調査結果:全て不検出

港で釣りをしていた小名浜在住の男性
ここら辺の港では原発事故前に比べて魚が大きくなってよく釣れますよ。
釣れた魚は、回遊している魚であれば自分で食べます。
汚染水についてはみんな恐怖心を持っていると思いますね。
漁師もイライラしていますし。
でも漁業を一日でも早く再開したいから、船も港も手入れしているんですよ。
ここら辺は普段通りの生活には戻っていますけど、二度と同じような事故は起こしてほしくないです。

第19回放射線調査対象漁港の地図
豊間港写真

※測定値は便宜上セシウム134とセシウム137を合算し、小数点以下を四捨五入しました。
詳細は調査報告ページをご覧ください。 調査結果はこちら >>

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photos (c)Greenpeace

 
 

2013年5月9日
福島県 いわき市 小名浜港

サンプリング:クロダイ、ドンコ(エゾイソアイナメ)、ヒラメ、アイナメ
調査結果:クロダイ:9ベクレル/キログラム、ヒラメ:11ベクレル/キログラム、アイナメ:41ベクレル/キログラム

魚を提供して下さった釣り船の船長
今は福島の魚は売れないんですよ。
食べるのは自由、でも売ることは絶対できません。
自分で釣ったものに関しては食べたりしますがね。
よっぽど(高い数値が)出たって言われない限りはついつい食べちゃいますね。

汚染水を海に流すのは、いい加減にしてくれって思います。
今後、(東電・政府が)何言ってももう信用性がないのでね。
県外のお客さんは福島県をそういう目で見る人が多いんじゃないですかね。
我々が払拭しようとしても、信じてもらえないっていう思いはありますよ。
薄いから大丈夫だと言われてもわかんないですよね。グリーンピースさんみたいな民間人が立ち会った検査があればね。
国のお偉方だけやってこうですよって言われたって信用できないですよね。
(漁業を立て直すためには)東電のきちんとした対応と正確な情報、小まめなサンプルの検査でしょうね。

第19回放射線調査対象漁港の地図
小名浜港写真

※測定値は便宜上セシウム134とセシウム137を合算し、小数点以下を四捨五入しました。
詳細は調査報告ページをご覧ください。 調査結果はこちら >>

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photos (c)Greenpeace

 
 

2013年5月9日
茨城県 北茨城市 大津港

サンプリング:サワラ
調査結果:全て不検出

北茨城で魚の加工販売をしている男性
震災前に並んでいたものは地元で獲れた魚ばかりで、それをブランドにして販売していました。
事故の後は港が壊れ、風評被害や放射能の影響などでまったく売れなくなりました。
新しいビジネスプランを求められたので、世界中から美味しい魚を集めて、お客様に提供することにしました。
北茨城周辺の船は陸に上がっている状態で、漁はしていませんね。
実質的に魚が売れないというのは、福島の状況と同じなんですが、福島のように漁に出られない状態の所とは補償が違いますね。
昔のように地魚ブランドを売っていくには、何年も何十年も期間が必要です。
正直、私たちの世代は細々とやっていけばいいかもしれませんが、将来の世代の事が心配ですね。

第19回放射線調査対象漁港の地図
大津港写真

※測定値は便宜上セシウム134とセシウム137を合算し、小数点以下を四捨五入しました。
詳細は調査報告ページをご覧ください。 調査結果はこちら >>

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photos (c)Greenpeace

 
 

2013年5月10日
千葉県 鴨川市 鴨川港
千葉県 南房総市 千倉港

サンプリング:ブリ(ワラサ)、アコウダイ、ヒラメ、カタクチイワシ(セグロイワシ)、メダイ、マダイ、ヒラマサ
調査結果:全て不検出

水産業を営む大野さん
放射能は視覚や味覚で判断することができません。
検査を続け、数値を公表し続けていくことでしか、消費者に水産品への安心感を持ってもらうこと、漁業者や加工・流通業者の職を守ることはできないと思っています。

第19回放射線調査対象漁港の地図
千倉港写真

※測定値は便宜上セシウム134とセシウム137を合算し、小数点以下を四捨五入しました。
詳細は調査報告ページをご覧ください。 調査結果はこちら >>

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