こんにちは、食と農業担当の関根です。

昨年の署名開始から皆さんから、たくさんのご意見とともに寄せられたメッセージ、「子どもには安全なものを食べさせたい」、「残留農薬の基準が高くて心配」、「ミツバチを守って!」。「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」23655筆を、9月2日に厚生労働省に提出してきました(*1)。

 

 

提出は、グリーンピースのほか、ネオニコチノイド系農薬の問題を早くから警告してきた市民グループ「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」や「ネオニコネット」の皆さんと一緒に行きました。

 農薬の規制は農林水産省が担当していますが、残留農薬の基準を決めるのが厚生労働省。食品の安全や子どもの健康にも責任があります。しかし、厚生労働省からは、その認識が本当にあるのか、と疑うような言葉が相次ぎ、危機感の募る交渉となりました。

 

 

またもネオニコの残留基準引き上げ?

昨年から、ネオニコ系農薬の残留基準の引き上げが相次いでいますが、この日確認したところでは、ネオニコの中でもとくにミツバチへの毒性が強いイミダクロプリドという農薬についても、今後使用できる作物の範囲拡大や残留基準の引き上げが検討されているとのこと!

今年の7月には、農水省の調査でもミツバチの大量死は農薬が原因である可能性が高い、という結論がでたばかりだというのに(*2)。

厚生労働省は、「人の健康が担当だからハチのことは…」といいますが、人にとっても摂取する農薬は少ないほうがもちろん良いはず。

フランスでは2018年からネオニコ全廃をする、と決めるなど、世界中でネオニコの規制が進んでいます。(*3)使用の拡大をしている場合ではありません。

 

農薬の複合汚染には打つ手なし

食品には、除草剤から殺菌、殺虫剤までさまざまな農薬が使われていて、私たちはそれらが混ぜ合わさったものを日々に口にしています。でも農薬の安全審査は1つの物質ごとにしか行われていません。では、さまざまな農薬が私たちの健康に与える複合的な影響はどうなのか、厚生労働省はどんな対応をしているのか、尋ねました。すると…

「800種類くらいある農薬の複合した影響を一つ一つ調べていくのは効率的ではないと考えている」(黒羽室長)

つまり、効率的でないから複合影響は調査していない、というのです!

どんな影響があるか、調査もできず、誰も責任をとれないなら、農薬の摂取を最小限にする政策をとるよう強く要請しました。                                                                                                        

 

子どもの発達障害と農薬についてどう考えているの?

農薬の影響を特に受けやすいのは子どもたちです(*4)。アメリカでは小児科学会が2012年に発達障害と農薬の危険性について公式見解を出して警告を発しています(*5)。

しかし、厚生労働省は「発達障害が増えているかどうかはわからない」、農薬との関連についても厚生労働省として「調査はしていない」と...。

科学的なデータが集まるのを待っていたら手遅れになってしまいます。医療分野からも警告が出されている今、予防原則にもとづいて、農薬を最小化していくことを基本とすべきです。

 

 

みんなの署名の声、どう受けとめていますか?

 「これだけの署名や意見は今後、厚生労働省の業務の中でどのように活かされるのですか?」

最後に、グリーンピースのスタッフで、署名活動の経過を皆さんに報告し寄付サポーターのご案内をさせていただいている村山が、署名参加者の視点から、こう問いかけました。

厚生労働省は最初、「科学的なご意見は参考にさせていただく」との答え。でも、重要なのは科学的情報だけではありませんし、最初は問題がないと思われていたけれどあとになって重大な影響がでてきた例は数知れません。そうなっては遅いんです、とみんなで問いただしたところ、

「確かに、たとえばポジティブリスト制度が導入されたのは、生協などからの署名などたくさんの声が背景にあった。そうした署名と同じように今日の署名も価値があると思っている、皆さんの気持ちは行政として受け止めている。」とのこと。

市民の声がどう活かされていくのか、引き続き動きをしっかり見守っていきましょう。

 

 

そして、私たちの健康や環境を守る動きを消費者の側からもつくっていきましょう。

そのためには、化学農薬に頼らないオーガニックの野菜やお米がもっともっと増えていくことがカギ。

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1 「子ども・ミツバチ保護法を求める署名」は4月に国会議員、7月に農林水産省、そして今回厚生労働省に提出しました。

   2農林水産省 蜜蜂被害事例調査報告書(平成27年度)

   3ミツバチと食の危機 ー世界のネオニコチノイド系農薬規制から見える日本の課題

   4グリーンピース ブログ 農薬は、特に子どもの健康にとって脅威:グリーンピースレポート『農薬と健康』

   5グリーンピース ブログ「保育園 ☓有機農家 = オーガニック給食」より発達障害と農薬の関係は...

 

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