こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。
 
原発事故子ども・被災者支援法案が14日、東日本大震災復興特別委員会で審議されました。

この法案は、原発事故で避難した方には国の避難指示あるなしにかかわらず、移動・住宅・就学・就業、移動先自治体による役務の提供を、
避難しない方には、医療・就学・食の安全・放射線量の低減・保養を支援すること、さらに家族と離れてくらすことになった子どもに対する支援を定めたものです。

国会では以下の答弁(一部質問より)がありました。

・子ども・妊婦の医療費の減免について、被災者に立証責任を負わせない
鼻血の診察、足が弱くなって転んでの骨折、肥満、ストレスによる障害なども原則として含まれていく
国に立証責任を求めるネガティブリスト方式である
早期発見と完全な治療を阻害しない範囲でリスト化していく

・施策の実現においては、議連または委員会内に小委員会をつくって国会がチェック、政府へのはたらきかけを行う

・この法律に基づく政省令、ガイドラインの策定前に立法者の意思を確認するとともに国会の機関に報告を求める

・施策の実現においては、被災地でタウンミーティングを開いて、状況を確認していく

・事故当時子ども(および胎児)であったものは、生涯免除していく

・福島県の子どもは当然全額免除、それ以外も支援の対象としていく

・すでに買った検査機器、医療機器などについても、遡って支援を働きかけていく根拠となる

・国がこれまで原子力政策を推進してきたことから、国は今回の事故について社会的な責任を負っている

・国の責務の規定によって事故の直接の原因者である東京電力の第一義的責任はいささかも軽減されるものではない

・政府が基本計画を定めるというのは、予算をきちんと組んでいくために必要なこと

・法案の「内部被ばく」への言及は、健康影響について、外部被ばくと内部被ばくの双方合わせて考慮する必要があるため
内部被ばくという、体の中から放射線の影響を体が受けていくという、どの法にも明記されていない言葉を使うことが重要であるため

・食品は全量検査をめざすが、最初からは難しいので、スケジュールをたてて、全量検査ができる体制をつくっていく

・具体策の法律もすすめていきたい

・保育園の給食についてもしっかりやっていきたい

・未然に体の中に放射能を入れない施策、未然防止策を国がとっていく必要がある

・この法案は、福島を始めとする子どもたちを放射線被害から守りたいお母さん、お父さんたちの声と、被災地のみなさんの運動が政治を動かしてできたもの

・ICRPの一般市民の年間の被ばく量は1ミリシーベルト以下。その目的に向かってこの法律を動かしていかなければならない

・国が一方的に線を引いてきた愚を繰り返してはならない、タウンミーティングで当事者が決めていく仕組みをつくる

・福島復興再生特別措置法に規定されている健康管理調査は、福島県の自治事務だが、この法案の健康調査は、福島県以外の被災者も対象となる
健康調査の実施主体の変更があるのかは、国の施策としてどうするかの検討次第
健康診断は、福島県の自治事務という位置づけを国の法定受託事務とするなどの見直しも含めて検討されるべき
健康診断について、実施法を作っていく必要がある

・福島県の健康調査などの結果は受検された方々に対して還元されることが重要

・健康調査や健康診断の項目、手法等の具体的内容を定めるにあたっては被災者の意見を反映、過程の透明化を図る

・健康手帳の交付については、被災者の意見を反映しつつ検討していくべきもの

・健康検査結果を早く適切に提供していく仕組みを適宜検討していくことが期待される

・汚染により、どこにいる、どこに行く、それを自己決定するのは当然の権利であり、最大限支援するのが国の義務
国が地方公表団体とともに、支援体制をつくる
雇用促進住宅、福祉住宅を優先的に使うとか、ハローワークで優先的に扱うなど予算がなくてもできることがある

・家族と離れて暮らすことになった子どもの支援には、親子面会のための移動、宿泊費支援は、被災者の意見を反映しつつ、国民の理解の得られる形を期待


国会での質問と答弁により、草案段階であった懸念がだいぶ解消されたと思いますが、これまで、そして今でも国は、避難基準を年20ミリシーベルトと設定するなど、低線量被ばくのリスクを軽視しています。

答弁の中で発議者の谷岡郁子議員は「ともにこの法律を作ってくださった市民の多くの方々が、またこれを実効性のあるものに一緒にしていただきますように心からお願い申し上げたい」と述べましたが、この法律、それに伴う施策の実行には、今まで以上に市民の参加が必要と思います。

6月19日火曜日、衆議院東日本大震災復興特別委員会で審議が行われます。
法案を読んで、明らかにしてもらいたい点など、ぜひ委員会の議員に伝えましょう(末尾参照)。
また、委員会を傍聴をすることで、市民は関心を持って見ているよ、というメッセージが伝わります。
(衆議院議員さんにお電話をして、委員会を傍聴したい旨を伝えると、傍聴券を手配してくれます)

参考

法案名:東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律案

提案者
谷岡郁子議員、金子恵美議員、益子輝彦議員、徳永エリ議員、森まさこ議員、佐藤正久議員、藤井孝男議員、加藤修一議員、谷合正明議員、川田龍平議員、紙智子議員、吉田忠智議員、荒井広幸議員

法案要綱
法案
法案概要(ポンチ絵)



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東日本大震災復興特別委員会 委員

委員長 古賀 一成 民主党
理事 近藤 洋介 民主党
理事 田嶋 要 民主党
理事 中川 治議員 民主
理事 橋本 清仁議員 民主党
理事 谷 公一君議員 自民党
理事 額賀 福志郎議員 自民党
理事 石田 祝稔議員 公明党
委員 石津 政雄議員 民主党
委員 石原 洋三郎議員 民主党
委員 石山 敬貴議員 民主党
委員 市村 浩一郎議員 民主党
委員 太田 和美議員 民主党
委員 菊池 長右ェ門議員 民主党
委員 沓掛 哲男議員 民主党
委員 小室 寿明議員 民主党
委員 近藤 昭一議員 民主党
委員 斉藤 進議員 民主党
委員 階 猛議員 民主党
委員 白石 洋一議員 民主党
委員 菅川 洋議員 民主党
委員 辻元 清美議員 民主党
委員 中野渡 詔子議員 民主党
委員 長尾 敬議員 民主党
委員 畑 浩治議員 民主党
委員 森本 和義議員 民主党
委員 谷田川 元議員 民主党
委員 柳田 和己議員 民主党
委員 山口 和之議員 民主党
委員 若井 康彦議員 民主党
委員 秋葉 賢也議員 自民党
委員 井上 信治議員 自民党
委員 小里 泰弘議員 自民党
委員 小野寺 五典議員 自民党
委員 加藤 勝信議員 自民党
委員 梶山 弘志議員 自民党
委員 長島 忠美議員 自民党
委員 吉野 正芳議員 自民党
委員 高木 美智代議員 公明党
委員 高橋 千鶴子議員 共産党
委員 斎藤 やすのり議員 新党きづな
委員 吉泉 秀男議員  社民党
委員 柿澤 未途議員 みんなの党
委員 下地 幹郎議員  国民新党
委員 園田 博之議員  たちあがれ日本