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今年もまた、花粉症に悩まされていますか?(幸運にも)まだ花粉症でないというあなたも、家族や友達の誰かにはマスクやティッシュが手放せないという人がきっといるはずです。しかも東京、神奈川、愛知、千葉、大阪あたりにお住まいという方は?

残念なことに、特にこの辺りのエリアで、花粉症やもっと深刻な健康問題が、この先さらに悪化していく恐れがあります。スギやヒノキのせいだけではありません。実はエネルギー問題が関係しています。

拡大する石炭火力発電

有害な大気汚染物質を排出する石炭火力発電所が、現在日本におよそ100基運転中です。いまだに石炭を利用している国はたくさんありますが、一つ大きな違いがあります。それは、先進国の大半は、大気を汚染する石炭火力発電から自然エネルギーへと急ピッチで切り替えている一方で、日本は石炭火力発電所をさらに40基以上も新設することを考えているということです。

冒頭で、花粉症が悪化するかもしれないというお話をしました。大気汚染によって花粉症が悪化するということは、専門家からも指摘されています。* 石炭火力発電からは、大気を汚染するPM2.5や窒素酸化物、硫黄酸化物などが排出されます。こうした汚染物質は花粉症以外にも、より深刻な肺炎や気管支炎、心臓血管疾患などの原因になります。

私たちの健康にどのくらい影響が出るのか当然気になりますよね。新しく発電所をつくろうという企業には、その環境への影響を調査することが義務付けられています。でも、こうした調査は非常に限定的なことが多く、公開討論もこれまで一部でしか行われてきていません。 

大気汚染シミュレーション

そこでグリーンピースは、ハーバード大学と一緒に研究論文を発表しました。そして、NPOの気候ネットワークと協力して、建設予定の石炭火力発電所による大気汚染について調査を重ね、この研究結果をもとに、新しく石炭火力発電所ができると、日本各地のどこに、どれくらい汚染物質が広がるのか、簡単に見られるようにシミュレーションマップをつくりました。

お住いの地域で、PM2.5や硫黄酸化物、窒素酸化物がどれくらい拡散するのか見ることができます。こうしたシミュレーションマップの作成は全国初の取り組みです。 

シミュレーションを作成するために、まずは発電所を計画する企業の公式文書で、使用予定の燃料や、煙突のフィルターなど、発電所のスペックについて詳細な情報を把握し、どれくらいの汚染物質が排出されるかを計算しました。

そして全国の気象モデルと、全国216カ所の気候観測所のデータ、さらに58カ所の観測所での大気情報を利用して、大気汚染シミュレーションに最も広く利用されている米国環境保護庁開発のモデルを用いて、各発電所から拡散する汚染レベルの月ごとの平均値を視覚化しました。

マップを見ると、地域によって汚染の拡散状況が大きく違うことに気がつくと思います。それは発電所のタイプや使用予定のフィルターの種類、気象パターンや地形(例えば山が拡散をさえぎるなど)が影響してくるからです。

最も大きな影響を受ける東京、神奈川、千葉エリアのPM2.5の拡散シミュレーション

このシミュレーションから、新たな石炭火力発電所によって最も大きな影響を受けるのは、東京、神奈川、千葉、愛知、大阪のあたりであることがわかります。それは、そのあたりに建設予定の発電所の多くが非常に大規模なものであることが影響しています。特に東京への影響は突出しています。ちょうど人口密集地でもあるため、多くの人たちが健康被害を受ける恐れがあります。

40基以上の石炭火力発電がすべて稼働すると、ハーバード大とグリーンピースの研究を元にした推定(日本語版作成は気候ネットワーク)では、東京・千葉エリアで年間に260人が早期死亡*し、30人の赤ちゃんが低出生体重児として生まれると推定されます。全国では、1年間に1,595人が死亡、40年間稼働し続ければ、6万人の命が奪われることになります。

幸いなことに、これはまだ「シミュレーション」です。これらの発電所はまだ建設されていません。石炭火力発電でなく自然エネルギーへの投資に切り替えることで、私たちや未来の子どもたちの健康被害を避けることができます。

大気汚染シミュレーションマップで、お住いの地域がどのくらい影響を受ける可能性があるのかチェックしてください。そして、まわりのお友達にもこのマップをシェアしてください。

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