スーパーに行けばお魚が並んでいる、それは当たり前の風景ですよね。でも、海は、いつまでも”当たり前”を支え続けてくれるでしょうか?
私たちは、世界で年間9,300万トンもの魚介類を獲っています。[1] 数字だけだとイメージしづらいですが、どれくらいのインパクトなのかというと、8割の魚たちを、自然に回復できるギリギリまで、またはそれ以上に獲ってしまっているという状態なのです。[2]
私たちのあまり知らないところで、海の生きものを犠牲にする”工業型”の漁業で魚が獲られています。それは私たちの想像以上に、ありえない規模で進んでいます。”工業型”ってどういうこと? 数字で見ていきましょう。
1.大型トロール漁船の網はジェット機13機分の大きさ
トロールと呼ばれる袋状の網を引く漁船。大きさは様々ですが、超大型のトロール漁船では、ジェット機が13機入るほどの巨大な網を搭載しています。[3] ハイテク機器で群を見つけて魚を狙います。
2.はえ縄漁の縄の長さは、東京-静岡間と同じながさ
釣り針をつけた縄を用いて魚を釣る「はえ縄漁」は、規模が大きいものでは、縄の全長が150キロメートルを超えることもあります。釣り針の数は、なんと3,000個以上にも。[4] 東京と静岡を結ぶほどの長さです。
3.サメ類の3分の1が絶滅危惧種
公海の64種のサメのうち、32%が絶滅の危機に瀕していることがわかりました。その最大の理由が乱獲です。[5]
4. マグロもウナギも絶滅危惧種
当たり前のようにスーパーに並んでいるので「本当?」と疑いたくなりますが、マグロもウナギも絶滅危惧種。たとえば、太平洋マグロは、もともといたとされるの数の2.6%まで獲り尽くされてしまいました。[6]それでもまだ、お腹に卵を抱えたお母さんマグロや成熟していない小さなマグロまで獲られ続け、スーパーの棚や居酒屋のメニューに並んでいます。
5.ウミガメ30万匹、ウミドリ16万羽を犠牲にする”混獲”
狙った魚以外の生きものも獲ってしまう「混獲」が、動物たちに本来必要のない傷を負わせ、命を奪っています。たとえば、一年間で混獲されるウミガメは30万匹にものぼるとされ、何万匹もが命を落としています。[7]
また、ウミドリも混獲の犠牲になりやすく、はえ縄の釣り針についたエサを食べようとするなどして、少なくとも年間16万羽が命を落としているとされています。[8]
6. 年間30万頭のクジラ・イルカも犠牲に
30万頭のクジラやイルカが、混獲されたり、海に捨てられた漁網に絡まったりして命を落としています。[9]
27%が食べられず無駄になっている
このようにして私たちの元に届けられる魚介類ですが、国連によれば、獲られた魚介類のうち27%が、消費されずに無駄になったり捨てられたりしているそうです。[10]
海を搾取するような”工業型”の漁業から、海の恵みを大切にいただきながら、海と共存する獲り方や食べ方に切り替えることが必要です。
そのために、私たちにできること、むしろ私たちにしかできないことがあるのです。しかも毎日。駅前のスーパーでできます。
サステナブル・シーフードという解決策
“サステナブル・シーフード”という言葉を聞いたことがありますか?欧米では広がりつつある海の生きものや環境に配慮した方法で獲ったシーフードのことです。オーガニックの野菜や果物は、以前に比べて身近になりましたよね。それは、農家さんや生活者の「オーガニックを作りたい・買いたい」という声に応えて、取り扱いを増やすためにお店が努力してきたから。サステナブル・シーフードだって、同じように広がっていくことができるはずです。
私たちにできること
「サステナブル・シーフードだけを売ってください!」お店の人に言ってみる
いつもお買い物をするお店に、海の生きものや環境に配慮して獲られたお魚しか食べたくないと伝えてみましょう。サステナブル・シーフードを買うことで、 サステナブルな魚介類の調達をしている お店や調達してくれた人たちに感謝の気持ちを伝えましょう。
サステナブル・シーフードがないときは、魚介類を避ける
マグロやウナギなどの、絶滅危惧種は特に避けたい魚です。今、魚介類の消費量を少し減らすことは、 海への負担を減らして、未来へ魚を残すことに繋がります。サステナブル・シーフードが手に入らない時に選べる行動のひとつです。
みなさんが普段お買い物をするスーパーが、サステナブルなお魚を取り扱っているかどうか、国内大手15社のスーパーマーケットを調査した、2018年最新の『お魚スーパーマーケットランキング7』でチェックしてください!
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