きのう、CSRビジネス誌「オルタナ」主催の公開座談会「農水省がおかしい――農業の未来を考える」がひらかれました。すこし刺激的なタイトルですと、司会のオルタナ編集長の森さんが話したように、次々と輸入の認可がされる遺伝子組み換え作物(GMO)、欧州で規制が始まったのにも関わらず、残留基準値は大幅緩和を打ち出すネオニコチノイド系農薬など、問題の多い農水省について、熱い語り合いが行われました。

「農水省がおかしい――農業の未来を考える」公開座談会 主催:オルタナ
登壇者:
浅川芳裕氏(農業ジャーナリスト・農業総合専門サイト「農業ビジネス」編集長)
印鑰智哉氏(オルター・トレード・ジャパン政策室室長)
横田一氏(ジャーナリスト)
司会: 森 摂(オルタナ編集長)

――農水省はある意味、世界の“最先端”。米国追従型の政策
GMO作物の輸入をどんどん認可しているが、その事実については多くの消費者は知りません。それは、行政の在り方に問題があると話すのは印鑰さん。たとえば、枯葉剤耐性のあるGMO の認可がアメリカで論争になっているのに、日本の農林水産省では、なんと2012年12月に承認済み。そんなこと市民は全然知らされていません(怒)。

「アメリカではGMOへの反対が多きなうねりになっていて、量的変化が質的変化(反対が大きくなり、政策が変わる)を起こす時期を迎えつつある 」そうです。



――ペリーが日本にこなかったら、アメリカに大豆はなかった?

これは知らなかったのですが、ペリーが日本の大豆食をアメリカに持ち帰って、アメリカに伝えたそうです。それを自動車王のヘンリー・フォード(彼はベジタリアンだった)が支援して生産が飛躍的に伸びた。だから今日のアメリカの大豆の元をたどれば日本の食文化の由来と浅川さんが話してくれました。


――あれ、中国に抜かれちゃった。 日本、農薬使用国2位へ落ちる
日本は世界一の農薬使用国。だったのですが、つい最近中国に抜かれて世界2位に落ちたそうです。落ちたと言ってもたくさん使っている事には変わりはありません。農協に頼る農業だと、農薬・肥料にも頼らなければならなくなります。しかし、100年後をみたとき、生態系と調和した農業が残っているはず。また、斑点米を防ぐための、カメムシ防除の目的で、農協の指導でネオニコ チノイド系農薬がたくさん使われるようになっています。でも、本当は斑点米は、選別機で簡単に取り除けるんですと、横田さん。


――有機農業の割合を増やすにはソーシャルビジネスが希望の光
日本の有機農業の割合は0.2%程度で、アメリカにも中国にも負けています。けれども、この数字は有機JAS認証の率。生産者と消費者がお互い会えるソーシャルビジネスが成りたてば、それでもいいのではないかと浅川さん。

――ネオニコの規制緩和の行方は?
多くの反対のパブリックコメントがきっかけとなり、再審議となっている食品中におけるネオニコチノイド系農薬クロアチアニジンの残留基準の規制緩和。横田さんは「政治状況によると思う。でも、多くの反対のパブコメが集まり、署名もたくさん集まっています。そう簡単に規制緩和されないと楽観的に見ている」そうです。

もっと聞きたかったのですが、内容の濃い座談会はあっという間に終わり、この内容はオルタナ6月号でも特集されるそうです。


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