© Christian Åslund/Greenpeace

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、本日23日、東京電力福島第一原発の汚染水処理をめぐり、経済産業省の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(ALPS小委員会)」事務局が同日、100万トン以上の放射能汚染水(処理水)の海洋放出、水蒸気放出、海洋放出と水蒸気放出の3つの取りまとめ案を示したことに対し、より安全な代替案が十分検討されておらず、誤った判断として撤回すべきだと指摘しました。

東電福島原発事故が発生した2011年以降、政府は地下水の放射能汚染防止措置や多核種除去設備(ALPS)技術に次々と失敗してきました。現在保管されているタンク内の水の約8割に放出が可能な告示濃度を上回る放射能が含まれています。グリーンピースの分析は、汚染水の問題は、意思決定の不備、誤った技術の選択、コスト重視の結果であることを示しています(注1)。また、ALPS小委員会事務局案は、新たなタンク設置場所が確保可能であると東電に確認したにも関わらず、詳細を検討せずにタンク増設は課題が多いとして「貯蔵継続」という選択肢を排除しています。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー問題担当、鈴木かずえは「原発事故の発生当初から、放射能汚染水の危機管理は次々に失敗してきました。今日のとりまとめ案もその一つとなりました。福島県漁業協同組合連合会を含め、福島県の多くの人々は環境中への排出、とくに海洋放出に反対しています(注2)。日本政府は、環境、地域社会、太平洋およびその他の海の広範な汚染を犠牲にしてコストの最も低い選択肢を選ぶのではなく、放射能汚染水について、より安全で持続可能な代替案を慎重に検討するべきです」と述べています。

グリーンピース・ドイツ 核問題スペシャリスト、ショーン・バーニーは「海洋環境や大気をこれ以上意図的に放射能で汚染することは正当化できません。本件は国際的に注目されています。 日本政府は国際社会に対し、汚染水をなぜ海や大気に放出する必要があるのか、他の解決策を提示できないのかについて、早急な説明を行わなければなりません」としています。


グリーンピースは12月24日、汚染水処理対策委員会宛に、汚染水を意図的に放出せず、並行してトリチウム分離技術の開発・適用を求める署名4万1521筆を提出します。


(注1) Watar Crisis 日本語版(抄訳)
(注2)「東電福島第一原発の汚染水に関する意識調査結果」