国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、6月11日、小泉進次郎環境大臣および環境省の担当者あてに要望書(注1)を送付し、6月16〜17日に開催されるOECD会議で、「バーゼル条約」の汚れたプラスチックごみ(廃プラ)の新規制と同等のルールをOECD加盟国間でも合意するべく、日本政府がリーダーシップをとるよう求めました。

【背景】
2021年1月から施行される本規制により、汚れた廃プラなどの輸出手続きにおいて、OECDの輸出国は事前に相手国側の同意が新たに必要になり、規制が強化されます。ただし、この規制が実効性を持てるかどうかは、廃プラ輸出国が多数を占めるOECD加盟国の対応が鍵となるため、OECD加盟国間でも同様の効果的な合意形成が図られるか、OECD会議の行方が注目されます。

日本政府は、この新規制が合意された2019年5月のバーゼル条約第14回締約国会議(COP14)で、「汚れた廃プラ」を規制対象にすることをノルウェーと共同提案するなど、重要な役割を果たしました。汚れた廃プラの国際取引は、受入国での環境汚染や健康被害を引き起こしており、グリーンピースがマレーシアで行った最新の調査(注2)でも、現地での環境汚染が確認されています。


グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大舘弘昌
「2018年の中国の禁輸措置後、廃プラの輸出が東南アジアやトルコなどに拡散しています。受け入れ国側で起きている深刻な環境・健康被害を前に、早急な対応が輸出国側に求められています。廃プラ輸出大国である日本が、OECD加盟国間でもバーゼル条約の新たな廃プラ規制を遵守すべきとの立場を明確に示し、来年1月からの新規制の実効性を確実にすることが非常に重要です。

規制が進む中で、廃プラの『出口』がますます狭まりつつある今を、ごみの総量を減らす転機とすべきです。脱使い捨てを実現するために、社会全体でリユース・システムの導入に踏み切るリーダーシップが求められています。今こそ、本当の意味でのイノベーションを生み出すべき時ではないでしょうか」



【バーゼル条約とは】
1980年代に、先進国からの廃棄物が途上国に輸出・放置され環境汚染が引き起こされる問題が頻発したことを受け、有害な廃棄物の移動を制限するため、1989年に国連環境計画(UNEP)によってバーゼル条約が策定されました。日本は1993年に加盟。現在、187カ国が加盟しています。


参考資料:
注1)バーゼル条約における廃プラスチック新規制に関する要望書FoEジャパンも同様の要望書を提出
注2)「The Recycling Myth 2.0: The Toxic After-Effects of Imported Plastic Waste in Malaysia」(英語版)(2020年6月2日発表)


関連画像:
マレーシアのプラごみの山で調査を行うグリーンピース、ほか