国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、菅義偉総理大臣が同日開会の臨時国会で、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする方針を示したことについて、以下の声明を発表しました。

サム・アネスリー、グリーンピース・ジャパン事務局長

菅義偉総理大臣が、今臨時国会の所信表明演説で明らかにした、日本が2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする方針を、グリーンピースは歓迎します。日本そして世界が気候危機による甚大な影響を避けるためには、まさにこのような公約が不可欠です。

一方、この方針には具体的な行動を伴うことが不可欠であり、本日の所信表明を実現するための政策こそが強く求められます。2021年に改定が予定されている「エネルギー基本計画」や、2030年までの中間目標の検討にあたっては、2050年までに実質ゼロを実現するという方針を反映させなけばなりません。東京電力福島第一原発事故から約10年を経て、未だに事故による放射能汚染などの苦難が続く現実をみれば、真に安全でサステナブルな未来には、原子力発電の存在余地はなく、もはや負の遺産でしかありません。すなわち、2050年までの実質ゼロを実現するためには、日本は自然エネルギーの割合を大幅に増やし、2030年までに発電量の50%を自然エネルギーで供給することを目標とすべきです。50%以下の目標では、実質ゼロの実現には至らず、パリ協定が掲げる1.5度目標を超えて、さらに危険なレベルの気温上昇を招く恐れがあります。

エネルギー基本計画は日本をより良い未来へ導くロードマップであり、サステナブルで公平な、循環経済の概念に基づいた未来を実現するためには、具体的な中期目標・計画が欠かせません。2050年までに二酸化炭素排出を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」は、経済・環境・倫理などのあらゆる側面から必要とされており、菅政権はこの機会を逃さないものと強く期待しています。


ジェニファー・モーガン、グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長

「カーボンニュートラル」は既に遠い夢ではなく、パリ協定における必然的な一歩となっており、その点から菅義偉首相の声明を歓迎します。これは中国の習近平国家主席の2060年までの実質ゼロの声明に続くもので、カーボンニュートラルに向けたアジアの根本的な方針転換だと言えます。この新たな公約は、日本にとってパリ協定のNDC(自国が決定する貢献)を見直す機会でもあります。またこれにより、韓国は東アジアの経済大国の中、唯一実質ゼロを公約していない国となりました。

カーボンニュートラルな未来に向けて、日本などアジアの発展の推進力となってきた石油や石炭などの炭素依存型産業から脱却することをはじめ、この先多くの機会、課題、そして挑戦が待っているでしょう。2050年までに実質ゼロを目指すということは、国内の新規石炭火力発電所の建設や石炭火力技術の輸出などができなくなることを意味し、計画中や建設中案件も中止されなければなりません。自動車、鉄鋼、重工業などの産業にとってカーボンニュートラルな未来は、極めて大きな課題ですが、それを化石燃料由来の水素に置き換えるようなことはあってはなりません。梶山弘志経済産業大臣が先日の「ビヨンド・ゼロ・ウィーク」国際会議で発言されたように、カーボンニュートラルは日本とアジアの企業にとって、グリーンな未来に向けてイノベーションを起こす貴重な機会です。特に、風力や太陽光発電の大規模な成長が見込まれるのです。この機会を活かしながら、アジアが目指す実質ゼロの未来のもと、これらの象徴的な企業がリーダーシップをとり、イノベーションを起こし、技術開発を推進し、成長していくことを期待しています。


以上