国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、大手電機メーカーの東芝が石炭火力発電所の受注を打ち切り、今後自然エネルギー分野への投資を5倍に増やすとの報道について、以下の声明を発表しました。


グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、ダニエル・リード

「国連のグテーレス事務総長は、産業革命以後の地球温暖化を1.5度未満に抑えるためには、今すぐ石炭から脱却しなければならないと繰り返し指摘してきました。先日、菅政権が2050年までの温室効果ガス実質ゼロを目指すと発表したことに続き、東芝がこれらの警告を真摯に受け止め、石炭火力発電所の受注を取りやめたことは喜ばしいことです。先日、国際エネルギー機関(IEA)が発表した「World Energy Outlook 2020」では、石炭産業の構造的な衰退が強調されていますが、東芝は石炭火力発電から撤退することで、近い将来の座礁資産を回避することにもなりました。

経済産業省が今年10月に開催した、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の会議では、イングランド銀行のマーク・カーニー総裁が、持続可能性と気候変動への配慮を今後の財務判断の中心に据えなければならないと発言しました。東芝にとって、新規石炭事業を止めることははじめの一歩に過ぎず、同社は現在も東南アジアを中心に世界中の石炭事業に深く関わっています。新規・既存の石炭事業から完全に撤退し、自然エネルギーに全面的に移行することが、財政的にも環境的にも、長期的に意味のある唯一の選択肢です。

石炭を廃止することは、原子力が実行可能な代替手段になることを意味しません。パリ協定と、2050年までの温室効果ガス実質ゼロを実現するためには、石炭や原子力に頼らない自然エネルギーの未来しかありません。石炭から脱却し、再生可能で持続可能な未来に向けて、東芝にも他の企業にも石炭にも原発にも頼らない取り組みを求めます」


以上