国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、全国の小売店でレジ袋有料化が義務づけられてから明日で一年になるのを前に、本日以下の声明を発表しました。有料化よりもさらに踏み込んだ、日本初のレジ袋禁止条例を制定した京都府亀岡市のアドバイザーも務めた大阪商業大学の原田禎夫准教授にもコメントを寄せていただきました。

大阪商業大学 原田禎夫准教授
「レジ袋の有料化は、さまざまな問題を抱えつつも、プラごみ問題解決に向けた大きな一歩となりました。脱プラスチックに向けて国民や企業の関心も高まる中、政府はこれを機に、改めて、いつまでに何をどうするのかという具体的なゴールを分かりやすく示すべきです。さらに、国には地方自治体の先進的な取り組みを応援するようなメッセージや支援が求められます。

亀岡市は、2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロを実現させるという目標の下、今年1月からレジ袋の禁止条例を施行しました。プラごみや廃棄物をめぐる問題は、国全体にとっての問題であると同時に、廃棄物処理を担う地方自治体の問題でもあります。条例などの仕組みづくりができる地方自治体の役割や影響力は非常に大きいです。世界各国で進むプラごみ対策も、元々は地方自治体の取り組みから始まり、国レベルへと広がりを見せてきました。

亀岡市のレジ袋禁止には、当初は商業者などからの反対もありましたが、今では『やってよかった』という声も多く聞かれます。共通の目標に地域の皆さんとともに向かうことで、プラごみ問題を軸として、議員、企業、子どもたちなどさまざまなアクター間の協働や連携が生まれ、地域の活性化にもつながっています。政府にも、他の自治体にも、まずは『ぶれないゴール』を掲げて、取り組みを進めてほしいと思います」

グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大舘弘昌
「プラスチックの海洋汚染、気候変動問題を解決するには、使い捨てプラスチック全般への規制を迅速に進めないと間に合わない状況にあります。レジ袋有料化からのこの一年の間に、プラスチック新法も可決されましたが、内容は実質的にリサイクルや代替品の推進に偏重しており、最優先されるべきプラごみのリデュース(削減)・リユース(再使用)に対する取り組みが不十分です。

一方、自治体、市民、企業からは、少しずつ魅力的な取り組みが生まれてきています。その一つが、企業が『脱使い捨て』を可能にする容器包装のリユースビジネスで、サーキュラー・エコノミーの視点でも世界的に注目される分野です。政府にはこうした取り組みやリデュースを進める自治体を後押しする政策への転換を求めます」