国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は9月29日、同日行われた自由民主党総裁選挙で、岸田文雄️氏が新総裁に選出されたことを受け、以下の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン プログラム部長、高田久代

新たに自民党総裁となった岸田氏には、菅義偉首相が打ち出した2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ目標の着実な達成を期待します。ただ、地球の平均気温上昇を1.5度までに抑えるという目標を考えると、現状の政策は十分ではありません。

9月に示されたエネルギー基本計画(案)における2030年度の電源構成では、前計画と比べ再生可能エネルギーの比率が増加し、「36〜38%程度」となりました。しかし、石炭火力発電の廃止には踏み込まず、「2030年代に電力分野で脱炭素化を目指す」という国際的な約束に矛盾するような数値は、気候危機に取り組むための国際協力を進める上での障害となっています。また、岸田氏は原発再稼働に積極的な姿勢を示していますが、古い危険な原発の再稼働を含めた原子力発電の維持には、安全管理の問題や核廃棄物の最終処分などの問題があります。

日本のエネルギー計画は、例えば化石燃料由来の水素やCCUSといった、実現可能性やコスト、気候変動への効果が不確かな、実績のない技術に頼りすぎているのが実情です。エネルギー効率化計画に投資し、持続可能な自然エネルギーを2030年までに少なくとも50%導入し、2050年までに100%自然エネルギーの社会を目指すべきです。次のG20とCOP26で、岸田氏が、気候危機に対する日本政府の意欲と具体的な行動を示すことを期待します。

以上