こんにちは、Ocean Lovers沖縄チームリーダーの石井です。

いま、辺野古で起きていること。

「どうやら基地がつくられようとしている」

「住民や沖縄の人が反対している」

「知事が国にうったえられているらしい…」

まだまだ報道が少ないなか、このようなざっくりしたイメージの方も多いのではないでしょうか。

現在続行中の国と翁長知事の裁判の内容も振り返りながら、「そもそも何が起きているのか?」見ていきましょう。

そもそも何が行われているのか?

沖縄県名護市辺野古は、沖縄本島のちょうど真ん中あたり。その東に広がる大浦湾を埋め立てて滑走路をつくる計画が、強行されています。

計画では、サッカー場でいうと112個分に当たる160ヘクタールを土砂で埋め立て、1,200メートルの長さの滑走路を2本建設することになっています。

この写真が、埋め立て予定地の実際の海。建設予定地を示す赤いブイは、工事が中断されているいまは撤去されていますが、その広大さがわかります。

大浦湾は、ジュゴンやウミガメをはじめ、5300種のさまざまな命が暮らしています。サンゴ礁や大規模なアオサンゴ群集が、この豊かな生態系を支えています。

歌手・Coccoさんが歌う『ジュゴンの見える丘』で知られる丘からは、雄大な大浦湾を見下ろすことができます。30分ほど細い山道を歩くと視界が開け、目の前に大浦湾が広がるのですが、まさに、息を飲む美しさです。

大浦湾は、海の生きものはもちろん、私たち人間にとっても楽園です。

「環境悪化を考慮したとしても」

現在、国と沖縄県が、大浦湾の埋め立て承認取り消しをめぐって、法廷で争っています。

この裁判は、国が、翁長知事の辺野古大浦湾の埋め立て承認取り消しは違法だ、と訴えた裁判。9月16日の判決では、国が勝訴していますが、翁長知事が最高裁に上告する予定のため、最高裁の判決が出るまでは、工事が中断されたままです。

16日の那覇地裁による判決骨子の結論では、こう記されています。

「本件埋立事業の必要性(普天間飛行場の危険性の除去)が極めて高く、それに伴う環境悪化等の不利益を考慮したとしても、第1号要件該当性を肯定できるとする判断が不合理と認めることはできない」

貴重な海を壊してまで、どうしても辺野古が唯一の道である、という主張です。

辺野古が「唯一の道」なのか?

「辺野古移設に反対している人は、普天間で暮らす人々を苦しめ続けていいと思っているの?

という人がいます。

写真:宜野湾市普天間の住宅地。奥に見える芝生のあたりは普天間飛行場。

でも、それは違うんじゃないか、と私はと思います。

そういった意見を聞くたびに感じるのが、問題がすり替えられてしまっているということです。

辺野古は軍事力増強のための「新基地」

辺野古への基地建設は、「普天間の移設」と言われることが多いですが、米軍の軍事力増強のための「新基地建設」であるという専門家の見解があることをご存知でしょうか?

辺野古の基地には、滑走路が建設されるだけではないと指摘があります。

米軍関連資料からは、護岸強化という名目で、オスプレイの離発着ができる巨大な軍艦(強襲揚陸艦)が停泊できる軍港をつくろうとしているのではないか、と考えられる資料が見つかっています。

もともと辺野古にあるキャンプ・シュワブは、海兵隊が駐留し、弾薬庫がありましたが、この指摘の通りであれば、滑走路だけでなく、さらに軍港の機能が追加されます。つまり、辺野古1つで陸・海・空の出撃体制が整う、ということになります。

この見解について、2015年3月17日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)「辺野古移設の裏で…米軍強化の巨大構想に迫る」特集で詳しく説明されました。

自然豊かな暮らしを守りたいだけ

日本政府はこのような指摘を認めず、「辺野古”移設”が、普天間問題の唯一の解決策」と強調します。

みんなが、安全で、自然豊かな沖縄での暮らしを守りたいだけなのに、「普天間か、辺野古か」と対立しなければいけないことほど、悲しいことはありません。

辺野古・大浦湾は、美しい海です。

ジュゴンやウミガメ、5300種のさまざまな生き物のすみかで、子どもたちや釣り人の遊び場で、訪れる人々の癒しで、辺野古の人々の日常です。

一度埋め立ててしまえば、大浦湾の美しい海は、二度と戻ってきません。

辺野古では、12年以上、反対活動を続けています。基地建設反対の座り込みは、もう800日を超えました。

この海を、軍事基地で埋め立てたくはない。辺野古の人々はみんな、その一心で、今日も声を上げているんじゃないでしょうか。

少なくとも、私が辺野古で出会ったみなさんは、そうおっしゃいました。


1960年代、キャンプ・シュワブに駐留していた経験を持つ元軍人で、米国の平和団体「平和を求める退役軍人の会」(VFP)のメンバーでもあるKennethさんはこう言っています。

「キャンプ・シュワブから、大浦湾の海が見えます。本当に美しいのです。この海を埋めてて米軍基地ができると知って、ぞっとしました」

美しい海を、守りたい。

しがらみもあると思います。立場もあると思います。でも、「美しい海を守りたい」。そこだけは、きっとみんな同じ思いなんじゃないかと思います。

だから、私は、別の道に希望を託して、「辺野古・大浦湾を守って」と言います。

たくさんの人の希望から、別の道が見えてくると信じています。あなたも、一緒に別の道をつくってください

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