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皆さん、こんにちは。海洋生態系担当の岡田です。
スギ花粉がほぼ日本全国で飛散し始めたようですが、皆さま花粉症は大丈夫でしょうか??

 

スーパーの目玉商品チリ産サーモン

皆さんは、ノルウェー産よりもお手頃価格で、スーパーで一切れ100円くらいで売ってるいるチリ産の養殖サーモン、見たことありますよね。

実は、「日本が一番のお客様」だということを知っていましたか?
2015年のチリ産サーモンの輸出先は、1位日本(25%)、2位アメリカ(24%)、3位ブラジル(16%)でした

そんな日本の食卓に身近なチリ産サーモン。だからといって、チリがどんなところか、サーモンの養殖がどんな影響を与えているか知っている人は少ないのではないでしょうか[1]。

 

自然豊かで漁業の盛んな国、チリ

チリは南米大陸に位置し、日本から遠く直線距離にして約1.7万kmも離れた地球の裏側にある、南北に細長い形をした国です。西側は全て太平洋に面しているという地形から、古くから漁業が活発で、その環境はたくさんの海洋ほ乳類の生態系を支えています。

サーモンの養殖が盛んとなり、現在はノルウェーに次ぐ、世界第2位のサーモン養殖産業を誇ります。

しかし近年、このサーモン養殖業によるさまざまな影響が明るみにでてきました。養殖場からの汚染物質が周りの環境に与える影響に対する不安から、地元の人たちの間で論争となっています。

 

広がる海洋汚染

2016年春、大量のイワシや海のいきものがチリのチロエ島の岸に打ち上げられました。このニュース、日本でもメディアで大きく取り上げられていたので知っている人も多いのではないでしょうか[2]

2500万匹(これは2016年のチリの人口約1813万人を上回る数![3])の養殖サーモンが死んで腐敗し、その約7割が政府の許可の元、チロエ島近くの海に廃棄されました[2]。

そのすぐ後赤潮が発生し、無数の腐敗したサーモンと一緒にイワシや他の魚介類、鳥、海洋生物の死骸が打ち上げられ、海岸を埋め尽くしたのです[2]。(その他の写真はこちらのニュースをご覧ください。) 

 

養殖で使用される化学薬品が海を汚染

サーモンの養殖には、狭い網の中で繁殖する病原菌や寄生虫といったものに対応するため、抗生物質などの化学物質が使われています。

チリのサーモン養殖網の真下にある、海底堆積物のリン含有量は、養殖場がない地域と比較し、非常に高いという科学的結果があります[4]。

また1996年から2006年の10年間で、海底堆積物の組織構成が変化し、海底における生物多様性の低下が別の研究でも確認されました[5]
また、一般的な養殖を仮定した実験室内の研究では、養殖で用いられる餌に含まれるビタミン剤と魚のフンからの栄養素の相乗効果で、赤潮を引き起こしているという結果も得られています[6]
 

地元漁業者の生活に大打撃。怒りと不安

サーモン養殖場での化学物質の使用が赤潮を引き起こし、それが原因で大量の生物が死んだのか、その直接的な因果関係は科学的にはっきりとは証明されていません。

でも現在、すでに事実として証明されている海底堆積物における変化やラボ内での赤潮と化学物質の因果関係を考慮するとその関連性を完全否定することはできません。

少なくとも、周辺地域の住人に地元で獲れたものは魚介類だけでなく海外沿いで採れたフルーツなども怖くて食べれないという恐怖を与え、また地元漁業者の資源であるお魚の大量死による経済的打撃と酷い社会的・経済的影響をあたえたことは紛れもない事実です[3]。

 

養殖ブームで、海洋哺乳類のパラダイスが危ない!

サーモン養殖ブームにより、養殖場建設は拡大の一途にあります。
現在、300以上のサーモン養殖場の建設が政府に申請されていて、特に懸念されているのが、国定海洋保護区内にも申請範囲が広がっていること。
その申請には、日本企業の三菱商事の100%子会社であるノルウェー・セルマック社も関わっています。

【シロナガスクジラ】

現在申請がなされている海洋保護区には、チリ海域にしか生息していない珍しいハラジロイルカや、世界最大の動物であるシロナガスクジラ、イワシクジラなどの絶滅危惧種が生息している海域なのです。

ある研究は、チリのサーモン養殖場で使用されている抗生物質がハラジロイルカに影響を与えていると報告しています[7]

 【イワシクジラの親子】

サーモン養殖場の新設が許可されるのか、非常に気になりますよね?

チロエ島で起こったことがもう一度起こらないとも限りません。しかも新設予定の養殖場は300以上に及びます。養殖場で使用されている化学物質が、イルカやクジラたちがすむ周辺の海に与える悪影響も、半端なものではないかもしれません。

消費者のひとり一人が、私たちに何か出来ることはないのか、ご家族やお友達とこの話をシェアして考える機会にしてほしいな、と思います。


より海にも人にも優しいサステナブル・シーフードを

スーパーで売られている魚には、環境や地元の人々に与えている影響については書かれていません。価格に、それらのコストが反映されているともいえません。

グリーンピースは、日本のお魚の主な購入場所である、スーパーや生協の調達方針が環境や人権に配慮した、サステナブルなものかどうかを調査しています。

あなたの身近なスーパー・生協がどのような取り組みをしているのか、ぜひ確認してみてください。http://act-greenpeace.jp/ocean/ranking6/

 
グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む環境破壊や生態系への影響を明らかにしています。寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?

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【引用文献】

1. SalmonChile  http://www.salmonchile.cl/es/exportaciones.php

2. National Geographic 日本版 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/052000037/
3. United Nation Data http://data.un.org/CountryProfile.aspx?crName=CHILE
4. MONGABAY (environmental science and conservation news and information site) https://news.mongabay.com/2016/10/the-salmon-crisis-in-chiles-chiloe-island/
5. Soto, D., and Norambuena, F. (2004) Evaluation of salmon farming effects on marine systems in the inner seas of southern Chile: a large-scale mensurative experiment, Journal of Applied Ichthyology 20 (6): 493-501 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1439-0426.2004.00602.x/full
6. Buschmann, A.H., Riquelme, V.A., Hernandez-Gonzalez, M.C., Varela, D., Jimenez, J.E., Henriquez, L.A., Vergara, P.A., Guinez, R., and Filun, L. (2006) A review of the impacts of salmonid farming on marine coastal ecosystems in the southeast Pacific, ICES J Mar Sci 63 (7): 1338-1345. https://doi.org/10.1016/j.icesjms.2006.04.021
7. Wu, R.S.S. (1995) The environmental impact of marine fish culture: Towards a sustainable future, Marine Pollution Bulletin 31:159-166
8. Fuente: Skin disorders of coastal dolphins at Añihué Reserve. / Sanino G P, Van Bressem M F, Van Waerebeek K, Pozo, N. / 2014. Boletín del Museo Nacional de Historia Natural, Chile, 63: 127-157

 

ライターについて

グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

グリーンピース・ジャパン

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