「私の部屋にランタンがいるの」
「私のチョコレートを投げつけて、シャンプーをにらみつけてる」
オランウータンのランタンはチョコレートもシャンプーも嫌いみたいです。それはどうしてでしょう…?
こんにちは、ボランティアメンバーの石田です。
この動画を見るまで、「オランウータンの絶滅危機」や「インドネシアの森林破壊」なんて、もはや海の向こうの遠い世界の話で、私にもどうしようもないやって思っていました。
でも、今回、私が大好きな「チョコレート」を通してこの問題を見てみると…。
そこには、すべてのチョコ好きにとって、いや、きっとすべての消費者にとって、無視できない関係がありました。
「25秒毎にサッカー場1つ分」の森が消えている!
インドネシアでは「パーム油」のプランテーションを開発するために、広大な熱帯雨林が伐採され続けています。その規模は、「25秒毎にサッカー場1つ分」に相当します!
これによって、オランウータンなど熱帯雨林に生息する多くの動物たちが住処を奪われており、絶滅の危機にある種もいます。
プランテーション開発に伴う熱帯雨林の伐採や森林火災などが続けば、大量の温室効果ガスも排出され続け、このままでは地球全体に悪影響を与える気候変動が益々進んでしまいます。
この聞きなれない「パーム油」とは、いったい何者でしょうか?どうしてパーム油のために、豊かな熱帯雨林が破壊されているのでしょうか?
実は、パーム油の行き先は、私たちの家庭です。比較的酸化や熱に強くコストも低いことから、身近な食品や日用品の原料として大量に消費されています。その需要に応えるため、広大な熱帯雨林を伐採した土地に、大規模なプランテーションが開発されているのです。
チョコレートなどのお菓子にも、パーム油が使われていることは多いそうです。
チョコレート菓子の原材料を大調査
「え、チョコレートにも?」
日常的にたくさんのチョコレートを食べている私としては、にわかには信じたくない話です。
実際にはどんな商品に使われているのでしょうか?
気になったので、数人のボランティアメンバーで、スーパーやコンビニ、大学の生協へ実地調査に行ってみました。
調査では、チョコレート菓子のパッケージに記載されている「原材料表示」を一つ一つ確認していきました。
実は、パッケージに「パーム油」という言葉で書かれていることはほとんどありません。パーム油の他に菜種油や大豆油などを含む「植物油脂」という総称で表示されることが多いです。
その内訳までは公表していないメーカーが多いため、実際にはどの商品にどの程度パーム油が使用されているのかまではわかりません。
しかし、植物油全体に占めるパーム油の流通量から推察すると、「植物油脂」と書かれている場合にパーム油が使われている可能性は高いと言われています。
ということで、今回は「植物油脂」という記載がある商品を探してみました。
ほとんど全部の商品に「植物油脂」
私の大好きなこのお菓子にも!
ついでにあのクッキーもみてみましたが、やはりそこにも!
結果は、使われていない商品を見つけることが困難なほど、本当にほとんどのチョコレート菓子で「植物油脂」が使われていることがわかりました。数グループに分かれて、それぞれのグループがランダムにチョコレート菓子を選んで調べてみたところ、だいたい10個中9個のお菓子で「植物油脂」の表記がありました。
買わなければ解決?
私のお菓子をつくるためにパーム油が必要とされ、そのためにインドネシアの熱帯雨林が伐採されているかもしれない。今回の調査で、私は胸をつかれる思いがしました。
しかし、かといって、チョコレートを食べるのをやめたらいいのでしょうか?それは正直つらいです。
「植物油脂」という記載がない、わずかな商品だけを楽しめばいいのでしょうか?色々なお菓子も食べたいのが本音です。
わがままかもしれないけど、「パーム油」や「熱帯雨林」のことなんて気にする必要なく、ただ好きなチョコレートを食べられたらいいのに。熱帯雨林を伐採しなくても、パーム油を生産できたらいいのに。そう思いました。
でも、それってどうすればいいんだろう…?
インドネシアの熱帯雨林と、スーパーのチョコレートと、私。
私個人の力では、すぐに答えが見つかりそうもありません。
でも、ほんの1週間前まで、はるか遠くの風景でしかなかったインドネシアの熱帯雨林が、今は私と同じ一本の線の上にあるかのように感じられます。
パーム油は、チョコレートに限らず、スナック菓子やカレールーなどの食品、シャンプーなどの日用品にも使われています。チョコレート好きじゃなくたって、日本に暮らす誰もが、この問題の当事者だと言えるのではないでしょうか。
小さな一歩を、大きな変化に
熱帯雨林を伐採して作られるパーム油ではなく、持続可能なパーム油を実現するために私たちにもできる事がきっとあります。一人ひとりがこの問題について知り、「声をあげること」も、その一つです。