土砂崩れや土石流が住宅街に流れ込み被害が拡大した広島市安芸区矢野東(2018年8月30日)

「観測史上初めて」。最近、ニュースなどでよく耳にする言葉だと思いませんか?予測できない集中豪雨、大型台風による水害や土砂災害、各地で熱中症被害が相次ぐ猛暑などが毎年のように繰り返されています。ただ、これらの異常気象は日本だけの問題ではありません。こうした異常気象は世界各地で相次いでいます

多発する異常気象の背景には、地球温暖化による気候変動が深く関係していることが明らかになってきています。私たちの暮らしのすぐそばに迫る気候変動問題。大切な命を守るために、いま私たちにできることから始めてみませんか?

– 異常気象の深刻化で何が起きている?

今年、欧州南部やインドでは記録的な熱波に見舞われ、フランスでは観測史上最高の45度を超える気温を記録、熱中症などによる死者も出ています。スペインやシベリアでは高気温による山火事も発生。米国やバングラデシュでは大規模な洪水が起きました。一方で、メキシコでは季節外れの雹(ひょう)が降り、驚きが広がっています。日本でも近年、夏場の台風被害に加え、集中豪雨や異常な高気温など、これまでにない気象災害が相次いでおり、今年もいくつかの地域で激しい雨が観測されています。気象庁は「自らの命は自らで守らなければならない」といった、これまでにない表現を使うようになりました。

– 異常気象の被害は、なぜ増えているの?

こうした異常気象ひとつひとつの発生は不規則です。ただ、長期的にみると、地球のどこかで豪雨災害や猛暑などが起きる頻度は確実に高まっています。こうした傾向は、人間の活動による地球の温暖化と深く関わっています。

気温が上昇することで、河川や海から蒸発する水蒸気量が増え、雨や雪の量が増加します。また、海水温の上昇によって、台風もより大きく強く発達するようになります。昨夏の猛暑や2018年7月豪雨などは、異常気象が温暖化によって底上げされ記録的なレベルになってしまったことがあきらかにされています。気温上昇が続く限り、極端な豪雨や高温が起こる可能性は、これからも高まっていきます

– 気候変動を止めるにはどうすればいい?

気候変動に歯止めをかけるためにはどうすればいいのでしょうか。それは、日本を含む各国が、温暖化を招く二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料の使用を早急にやめることです。2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で合意されたパリ協定では、世界の気温上昇を、産業革命以前に比べ2度より低く保ち1.5度に抑える努力をすること、温室効果ガス排出量を抑制することが、それぞれ盛り込まれました。

昨年10月に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた1.5度特別報告書によると、気温上昇を1.5度に抑えるためには、2030年までにCO2の排出量を現在から半減させなくてはなりませんが、世界の排出総量は減り始めてすらいません。2030年までの10年間に何ができるかが、人類の将来を大きく左右するのです。

– 日本は今、どんな対応をしているの?

日本はこうした気候変動にどのように取り組んでいるのか。日本でもCO2削減の機運は年々高まっていますが、まだまだパリ協定の目標達成には遠いというのが実情です。脱化石燃料を目指すためにも、現在の発電の仕組みを変えていく必要があります。2011年の東日本大震災以降、日本では54基あった原子力発電所が一斉に停止しました。その穴を埋めるために増やされたのが化石燃料を使う石炭火力発電でしたが、石炭火力は、天然ガス火力に比べて約2倍のCO2を排出します。

1.5度の目標を達成するためには、石炭火力発電を2030年までに約7割削減(日本のような先進国は2030年までに全廃)し、自然エネルギーを主な電源にするようシフトする必要があります。ただ、CO2削減に向けて世界的に石炭火力への逆風が吹く中で、日本は新たな石炭火力発電所を計画しています。パリ協定に沿うのであれば、先進国では新設の電源はCO2を出さないものにしなければ間に合わない勢いで気候変動は進んでいます。今新たな石炭火力発電所を建てることは、あまりにも危機意識が欠如しているといわざるを得ません。

– グリーンピース・ジャパンの活動

グリーンピースは、危機感を抱く市民の皆さんや他のNGOとともに、一刻も早く気候変動問題に取り組むよう、世界各国の政府や企業、社会に訴えてきました。日本でも、地元の方と共に袖ケ浦火力発電所(千葉県袖ケ浦市)などへの反対を訴え署名を集めて計画を進める企業に働きかけ、石炭火力の計画は中止になりました。現在は、建設計画が進む横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)の中止を求めたり、石炭火力発電事業に投資を続ける金融機関に投資を中止するよう申し入れるなど、精力的に活動を繰り広げています。6月に行われたG20大阪サミットでは、各国首脳に一刻も早く決議を行動に移すよう求める声明を発表しました

こうした中で、少しずつ変化も生まれ始めています。5月、三菱UFJフィナンシャル・グループが新設の石炭火力発電事業に対して原則融資を行わない方針を発表するなど、国内の金融機関が石炭火力発電事業への投融資を絞り始めています。また、市民の間でも、気候変動対策を訴え、スウェーデンの学生が始めた運動「Fridays for Furure(未来のための金曜日)」に続き、今年になり日本でも若者たちが各地で気候変動対策に声を上げ始めました。東京、京都、大阪などで、若者たちがFridays for Futureを行いました。グリーンピースは、気候変動対策を求める皆さんや団体とともに、問題解決に向かって取り組みを続けていきます。

– 私たちにできること


私たち一人ひとりにもできることはたくさんあります。例えば、自然エネルギー由来の電力を供給している電力会社を選ぶ、なるべくごみを減らし、焼却されることで出るCO2を減らす、CO2をたくさん排出する交通機関をなるべく使わない、などの方法があります。

しかし、気温上昇を1.5度までに抑えるには、こうした個人の努力だけでは足りません。グリーンピースは現在、私たちの暮らしを異常気象から守る真の防災として、安倍晋三首相に気候変動に本気で取り組むよう求める署名を集めています。私たちの未来を守るために、まずは一緒に声を上げてみませんか?

今、あなたのちからが必要です。

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