オーストラリアでは、まだ全土で炎と戦っている消防士やボランティアに寄付を続けています。多くの人たちが家を開放したり、負傷した野生生物の手当てをしたり、慈善団体でボランティアをしたりして、援助を続けています。

また、できる限り支援するため、立ち上がった企業もいます。最大手のスーパーマーケットのWoolworthsは350万ドルを救済にあて、同じく大手スーパーのColesも300万ドルを寄付しました。 Wesfarmers*は150万ドルを寄付し、従業員が寄付するごとに、最大100万ドルまで同額を支援するとしています。

通信会社のTelstraは、火災の影響を受ける地域の災害支援と、消防士とボランティアのために、無料のモバイルプランを提供しています。飲料会社のCoca-Cola Amatilは、最前線の救急電話対応スタッフに250,000の飲料を届けました。

*Bunnings、Kmart、Target、およびOfficeworksの親会社

しかし、企業が今答えなければならない質問は、「次にすべきことはなにか?」ということです。 山火事の季節にさらに拍車をかけている気候危機に対処するために、企業は何を約束してくれるでしょうか?
ほとんど人は、自分が日常的に利用するブランドや企業が、エネルギーを大量に消費しCO2を大量に発生させていることを、意識していないでしょう。

例えばオーストラリアの場合、最大手スーパーのWoolworthsは、全ての照明、冷蔵システム、レジに電力を使用するオーストラリアで5番目に大きい電力消費者です。 同じく大手スーパーのColesは10番目。最大の電話会社であるTelstraは11番目に位置しています。 合わせると、この3社のみでオーストラリア国内で排出されるCO2全体の2%を占めています。

では、悪化の一途をたどる気候変動を食い止めるための解決策と、これらの企業が取り組むべき課題は何でしょうか?

大企業は、「自然エネルギー100%へ移行」によって、二酸化炭素排出量ゼロへ計画を立てる必要があります。

既に、オーストラリアで事業を展開する80を超える企業が、グローバルRE100イニシアチブを通じてこの取り組みを行っています。これらの企業には、Google、Ikea、Apple、Microsoft、David Jones、L’Oreal、およびオーストラリアの4大銀行すべてが含まれます。

また、個々の企業だけでなく、部門全体での切り替えも進んでいます。 2019年末までに、オーストラリアのすべての主要ビール醸造所(Carlton & United, Lion and Asahi Australia)は、2025年までに100%の再生可能エネルギーへ移行することに同意しました。つまり、私たちの楽しみのひとつである大ジョッキビールは、もうすぐ太陽の力で造られることになります!

自然エネルギーへの切り替えは、多くの面で理にかなっています。グリーンピースのレポートでは、7つの主要産業部門の80の大手企業と機関を分析した結果、それぞれの企業は自然エネルギーへの転換を約束することで、費用の削減、エネルギー供給管理の強化が可能となり、自身が掲げた気候変動への取り組みの達成に近づけることがわかりました。

この移行は、ブランドにとっても大きな後押しとなります。 企業は自然エネルギー100%へ転換することで、よき企業市民(Good corporate citizens :企業も人と同様に地域における市民としての自覚を持つべきであるとする考え方)であることを伝えるソーシャル・ライセンスを得て、従業員のモチベーションも高まります。

Edelman Trust Barometerによると、2019年に従業員の71%が「私たちのCEO」が困難な時期に対応することが非常に重要である考えていることが判明しました。また、4人に3人の従業員が、CEOは、気候ブロッカー(気候変動対策を妨げようとする人々)によって抑制されているような政府の意向を待つのではなく、自ら先頭に立ち、変革へと導いていくべきであると考えていることもわかりました。

オーストラリアだけでなくどの国でも、最も速く、簡単に安価に二酸化炭素排出量を削減する方法は、自然エネルギー100%へ移行することです。国全体で取り組むには、企業も大きな役割を担っています。

オーストラリアの山火事のような危機の遺産を、気候変動に対する行動に変えて行かなければなりません。決して、苦悩や怒りとして残すのではなく。