残り時間はあと9年

11月13日に閉幕したCOP26。
COPとは、気候変動枠組条約の加盟国が、気候変動対策のための約束事や取り組みなどを決める最高意思決定機関である締約国会議です。
世界中ほとんどの国・地域が参加する、国際会議としては最も大規模な会議のひとつで、1995年から基本的に毎年開催されています。

2015年のCOP21で採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を、産業革命前に比べて2度より低く保ち、1.5度に抑える努力をすることを目標としています。

ところがその後の調査によって、2度まで上昇してしまうと、豪雨や巨大台風や干ばつや熱波などの異常気象に加え、生態系の破壊、永久凍土の融解による未知の病原体やメタンガス(二酸化炭素の25倍以上の温室効果がある)の放出*1、森林火災の拡大による大気汚染、水不足・食糧難による紛争といった二次被害のリスクがより高まることがわかってきました。

2021年8月にアメリカ・カリフォルニア州で発生した森林火災

そしてそれはもう始まっています。
気候変動はこれからの問題などではなく、すでに後戻りできない段階まで進んでいるとさえいわれています。
いまわたしたちが目にしているこの地球を、子どもたちの未来を、生きものたちの命をまもるためにできることは、これ以上の気候変動の悪化をくいとめることしかありません

それを実現するには、2030年までに世界中の二酸化炭素排出量を半分まで減らす必要があります。
残り時間は、あと9年です。

住む場所を奪う海面上昇

COP26で、海抜1メートル前後の国土のほとんどが今世紀末までに水没するといわれているツバルのサイモン・コフェ外相が、膝まで海に浸かりながら気候変動対策を訴えるスピーチが報道されました。*2
ツバルは南太平洋の島国ですが、海面上昇は、日本に住むわたしたちにとっても、遠い外国の話ではありません。

最近、地殻変動によって日本が沈没するというテレビドラマが巷間で話題を集めていますが、実際に日本の国土は、「沈没」ではなく「水没」の危機にさらされています。
気候変動の悪化と同時進行で、海面上昇も始まっているからです。

インド、ガンジス川の河口、ベンガル湾に位置するゴラマラ島の住民。
島は気候変動による海面上昇や水害によって、過去25年で9平方kmから4.7平方kmに縮小した。

気候変動とは、人間の経済活動によって大量に排出されている二酸化炭素などの温室効果ガスが、大気の温度を上昇させ、気候パターンを変化させている現象です。
このために起こった異常気象や乱開発で、かつてないほど大規模な火災に見舞われている世界中の森林や泥炭地からも、膨大な二酸化炭素が放出されています。
海中の堆積物や土壌中に炭素を溜め、食物連鎖で炭素をとりこむ海の生きものたちの環境も破壊されつつある中、あたたかくなった大気の熱を吸収した海水が膨張しているのです。

このままでは、今世紀末には、日本の複数地点で海面が1メートル以上上昇することがわかっています*3。海面上昇がさらに進めば、従来なら防げる高波や高潮が防げなくなるだけでなく、津波被害にも大きな影響が出る可能性さえあるのです。*4

もともと干潟だった海岸や川沿いの砂州を埋め立てて田畑として開発した海抜の低い地域の多くが、現在は商業地や住宅地などに姿を変えています。
原発を含む多くの発電所や工業地帯も、海沿いに建てられています。

あなたは、いま住んでいる家や、学校、職場といった生活圏の海抜を知っていますか。
たとえ内陸であっても、川に近い海抜の低い地域は、海面が上昇すれば浸水する危険性があります。

海面上昇シミュレーションマップをチェック

海面上昇の鍵は南極

南極でも気候変動は起こっています。
南極の温暖化は地球全体の平均の3倍のスピードで進行していて*56、この30年ほどの間に3兆トンもの氷床が融解しています。*7

南極、ウェッデル海を漂う巨大な海氷(2018年)

南極大陸は平均2,450メートル*8という厚い氷床に覆われていますが、近年、海に迫り出した巨大な棚氷が温暖化によって分離し、流出する現象が毎年のように発生しています。
高さ数百メートル、重さにして数千億トンにも及ぶ氷が大陸を離れることによって、南極の地盤が不安定になり*9、別の分離を引き起こす要因にもなります。

海を漂う海氷は風雨や波に洗われて砕けて徐々に融け、水に還っていきます。

もし、このまま、地球上の氷の90%を占めるという南極の氷床がすべて融けてしまえば、海面は地球全体で57メートル上昇することになります。*10
氷床の融解が最終的な局面まで進むとしたら、南極で暮らしている生きものたちはどうなるのでしょうか。
少なくとも、生態系が大きく損なわれることが予測されます。

日本だけでなく世界中で、数億人単位の“気候難民”が住む場所を失います。
多くの農地が塩害にさらされ、深刻な食料不足が起こることも考えられます。
現に、ベトナムのメコン川流域の稲作地帯では、海面上昇による塩害で耕作不能に陥っているのです。

それは決して遠い未来の話ではありません。
こうした南極の環境の変化が、いつまでも今のままという保証はないからです。いつ何がきっかけで加速するかもわかっていないのです。

南極、ホープ湾のアデリーペンギン

いま、できること

グリーンピースは気候危機をくいとめ、南極の環境を守るため、全力で行動しています。

  • 南極を含む世界の海の30%を保護区にする活動に取り組む
  • COP26のような気候変動対策を話しあう重要な国際会議に参加し、国際社会、および各国政府、地方自治体に実効的かつ迅速な気候変動対策を促す
  • エネルギーの効率化、省エネを促進する
  • 自動車メーカーやメガバンクなどにはたらきかけ、化石燃料に依存する事業をより持続可能な事業に改善させる
  • 森林破壊由来の原材料の使用をやめるよう企業に調達方針の変更を求め、各国政府に森林保護のための法規制を強化するようはたらきかける

一人ひとりにできることもたくさんあります。

  • なるべく自家用車を使わず、公共交通機関や自転車、徒歩で出かける
  • 自然エネルギーを積極的に導入している電力会社に乗り換える(こちらのウェブサイトで全国の電力会社の情報がチェックできます)
  • 食生活を植物由来の食材中心へと見直す
  • 森林破壊由来の原材料を使用した製品を買わない
  • グリーンピースが発信している情報を、SNSなどを通じて周りの人たちとシェアする

二酸化炭素などの温室効果ガス排出実質ゼロ=ゼロエミッションを実現するために、市民が自ら自治体や企業に対策をはたらきかけることも重要です。
グリーンピースは、地域の人たちとつながっていっしょに活動するための「ゼロエミッションを実現する会」を運営しています。

どんなことでも、とにかく今日できることから、グリーンピースといっしょに始めてみませんか。
南極の生きものたちのためだけではなく、あらゆる命の未来のために。

Radioheadのトム・ヨークがグリーンピースの南極キャンペーンに提供した楽曲「Hands off the Antarctic」のMV。
映像はグリーンピースの砕氷船アークティック・サンライズ号のクルーが撮影した。

関連ブログ

*!: https://www.afpbb.com/articles/-/3207024
*2: https://www.huffingtonpost.jp/entry/tuvalu-minister-knee-deep-ocean_jp_6189c8c2e4b06de3eb79909b
*3: https://www.yomiuri.co.jp/science/20210818-OYT1T50245/
*4: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211115/k10013349011000.html
*5: https://www.cnn.co.jp/fringe/35156114.html
*6: https://www.natureasia.com/ja-jp/nclimate/pr-highlights/13368
*7: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/051100228/
*8: https://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/nankyoku_kids/hakase/kagaku/toketara.html
*9: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/051100228/
*10: https://www.greenpeace.org/japan/nature/story/2021/06/10/51764/

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