今年もまた昨年の記録を更新する速度でアマゾン熱帯雨林の森林破壊が進んでいます。2019年にジャイール・ボルソナロ大統領が政権を握って以来、アマゾンでの火災の数は111%増加し、犯罪グループによる違法伐採や採掘がさらに横行しています。

グリーンピース・ブラジルオフィスから届いた最新情報をお届けします。

アマゾン森林破壊は過去最悪のスピードを記録

2022年3月に登録されたCuruquetê連邦保護区の未指定公有林2,300ヘクタールの伐採
© Christian Braga / Greenpeace

7月に発表された宇宙科学研究所(Inpe)のデータによると、6月だけで1,120kの森林破壊警報が出されました。2022年、警報が出された面積は、2021年の同時期の面積と比較して、すでに10.6%増加しています。

「今回の記録は、森と人々にとって悲しい記録です。この記録は、連邦政府が環境破壊に立ち向かう能力も関心もないことを裏付けるものでしかありません」とグリーンピース・ブラジルのアマゾン・キャンペーンの報道担当であるロムロ・バティスタはコメントしています。

アマゾンの森林破壊と火災の航空写真。(2022年3月8日)

最も深刻なのはアマゾナス州で、焼失面積が1,236k㎡と同期間に伐採された森林面積全体の30.9%を占め、上半期に最も森林破壊が進んだ州としてワースト1位となりました。次いでパラー州の1,105k㎡(全体の27.7%)、マット・グロッソ州の845k㎡(21.1%)です。

ブラジルの行政は破壊を止めるために何もしないだけではなく、さらに加速させる法案を成立させようとしています。

PL2633/2020法案では、違法伐採者や公有地の不法占拠者に恩赦を与え、個人が熱帯雨林の公有地の所有権を取得することを容易にする内容が盛り込まれており*、さらにPL490/2007法案では、先住民保護区の規定を変更し、先住民の領土の法的保護を取り消すことを意図しています。*

例えば、PL490/2007法案では、憲法公布日(1988年10月5日)に土地を合法的に所有していた場合にのみ、先住民の土地に対する権利を認めるとしていますが、当時、多くの先住民が強制的に土地を奪われた状態でした。この土地改革法案をめぐり昨年6月にも、首都ブラジリアの連邦議会前で先住民によるデモが行われました。*

この二つの法律は、大規模な土地収奪者に利益をもたらすものです。ブラジル政府の国会議員たちは、アマゾンの破壊が人の未来や気候に及ぼす影響を抑えることや、森が人類にもたらす自然の恩恵を守るのではなく、森林破壊や公有地の侵略、侵略による紛争をさらに加速させるプロジェクトを承認しようとしています。

アマゾンの火災は、過去16年で最多に

ブラジルでは、2019年にジャイール・ボルソナロ大統領が政権を握って以来、アマゾンの破壊が進行しています。ボルソナロ大統領の就任以来、アマゾンでの火災の数は111%増加し、犯罪グループによる違法伐採や採掘がさらに横行しています。

Global Forest Watchの最新データによると、2021年に失われた世界の原生林の40%はブラジルの原生林でした*。頻繁な森林火災により、ブラジルの温室効果ガス排出量は10%増加し、世界で5番目に大きな炭素排出国になりました。

森林の破壊は、植物や土壌に蓄えられていた炭素の放出につながり、CO2の大量排出の原因となる(2021年7月)

貴重な生物多様性を調査するためアマゾンの森へ遠征

アマゾン、ロンドニア州、アクレ州の合流地点にあるマニコレにて、魚類学者たちが川を掘り下げ、その生態を研究する様子。© Tuane Fernandes / Greenpeace

2022年6月にアマゾンの熱帯雨林で2人の環境保護活動家が悲劇的な死を遂げたことを受け、グリーンピース・ブラジルチームは地元の生態学者とともに、マニコレ川沿いの貴重な生物多様性を探る1ヶ月間の「The Amazon We Need」調査に乗り出しました。

グリーンピースチームは、生態調査に加えて、2022年3月にようやく認められた「持続可能な保護区」設立のために、地元の先住民を支援し続けてきました

この保護区は、先住民の持つ40万ヘクタールの土地を破壊から守り、アマゾンの持続可能な未来の最良の例となる可能性を持っています。

グリーンピースの森林保護活動は続く

グリーンピースは、30年以上にわたってアマゾンの熱帯雨林を守る活動を続けており、過去には、市民の力で、大豆停止協定を無期限に延長し、巨大なダムの建設を中止させることに成功しました。

タパジョス川の建設計画があった巨大ダムは、ムンドゥルク族の人々の固有の土地を奪う可能性があった。世界中から集まった120万人の賛同の声も後押しして、2016年8月に、ブラジル政府はこのダム建設を中止した(2016年6月)

アマゾンの森林破壊は、ブラジルだけで起きていることではありません。

アマゾンを破壊してつくられた牛肉や家畜の飼料となる大豆などは、世界中に流通しています。

グリーンピースは55の国と地域にオフィスを持つグローバルなネットワークを活かして、継続的にキャンペーンを行なっています。

  • 現地調査、衛星画像、地図分析を通じて、森林破壊の現状について情報収集し、資料や証拠書類にして公開する
  • 調査報告書を発表して、森林保全のための具体的で実現可能な行動提案を行う
  • 先住民コミュニティと協力し、世界中の市民の力を借りてブラジル政府に行動を強く求める
  • 森林破壊に関わる商品の輸入を停止するよう呼びかる
  • 透明性が確保された持続可能な方法で森林を管理するようブラジル政府に要請する

調査結果に基づいて企業に働きかけるグリーンピースのキャンペーン

調査結果に基づいて企業に働きかけるグリーンピースのキャンペーングリーンピースのキャンペーンは、企業の環境インパクトを調査し、気候変動対策を評価して、明らかになった事実に基づいて企業に働きかけ、ビジネスモデルの改善を求めるものです。

現場から始まるグリーンピースの活動

環境問題が起きている現場でその現状を調査し、明らかになった事実を元に、企業や政府へ働きかけ、共に解決策を実現することを目指しています。

調査/記録

環境問題の現状や
原因を調査・記録

公表

調査に基づいて
原因や解決策を発信

アクション

問題や解決策を
目に見える形に

働きかけ

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