【スイス・ジュネーブ、2019年8月8日】
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、深刻化する土地と気候変動の解決策の鍵は、森林の保護と回復、そして食生活を変えて世界の食料システムを緊急に改善することにあるとする特別報告書を公表しました。


報告書では、
海上と陸上の大気を考慮したところ、産業革命前と比べて、地球全体の平均気温の上昇が0.87°C上昇であるのに対し、陸上に限ってみれば既に1.53°Cも上昇していることを明らかにしました。気温上昇は食料供給に影響を与え、また、砂漠化と土地の劣化を引き起こしています。

報告書の発表に先立ち、グリーンピース・スイスの活動家はIPCCの会議の開かれているジュネーブの会議の外で‘Less Meat = Less Heat. Climate Action NOW!’  (肉消費の抑制=温暖化の抑制、今すぐ気候対策を)という横断幕を掲げて訴えました。


グリーンピース・ドイツの森林および気候キャンペーン担当者のクリストフ・ティース博士
は、「気候と生物多様性の危機に直面している今、森林を守り、回復し、また食肉消費を減らすことで食料システムを変えていければ、自然や人にとって新たな希望を見いだすことができます。シベリアの壊滅的な火災に見られるように、私たちの土地と生物多様性は、いま大きな圧力にさらされています。すでに人による土地利用は限度を超えており、我々は難しい選択を迫られています。また、気候変動を緩和し、かつ世界の食料需要を満たすために、直ちに行動が必要です。政府は現在、このIPCCの報告書に基づき、気候変動への対策目標を見直し、強化することが求められています」と述べています。


報告書では、陸上の4分の1が「
人為的要因で劣化している」と警告する一方、複数の解決策を取ることにより、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しながら、緩和と適応の両方を促進できるとしています。


IPCCは、バイオエネルギーはそれ単独で、または
バイオエネルギーと二酸化炭素回収貯留を組み合わせた技術(BECCS)による場合でも、食料供給と土地の劣化に高いリスクをもたらします。気候危機に取り組む上で「後悔しない選択肢(No regret options)」には、森林と自然の生態系の保護と回復、食肉の生産と消費の削減が重要です。


英エクセター大学にあるグリーンピース科学部門上級研究員のレイエス・ティラド博士は、「大きな課題ですが、解決策もまた多くあります。 食料の生産方法と食べるものを変えることは、気候を守り、食料供給を安定させることに繋がります。家畜飼料の生産や放牧により劣化が深刻になっていますが、植物由来の食品中心の健康な食事をとり、土壌中への炭素固定を促進し、生物多様性を豊かにする生態系農業を実践することにより、気候保護に極めて重要な土地を守ることができます。また、私たち人間が食事で肉と乳製品を減らす抜本的な取り組みは、食料システムが私たち自身の健康と地球の健康にもたらす悪影響を減らすための特効薬でもあるのです」と訴えています。


今回のIPCC報告書による新たな知見:

  • 人間の温室効果ガスの排出量の23%は森林伐採、森林火災、農業に起因しているが、土地は最悪の気候変動を緩和する強力な炭素吸収源としても機能しうる。
  • 土地利用を改善するだけでは、気候変動を止めることはできない。 化石燃料の段階的廃止が遅れたり、土地利用による緩和策に期待がかかり過ぎれば、気候への影響と食料不安のリスクが増大する。
  • 生産と消費を含む食料システム全体からの排出量は、世界の人為的な温室効効果ガス排出量全体の最大37%を占める。
  • 人類史上かつてない速度で土地が農地に転換されており、肉の消費量は、過去60年間で2倍以上になった。

  • 世界で、約20億人の成人が過体重または肥満である一方、8億2,100万人が依然として栄養不良であり、世界の食料システムの改革の必要性を明示している。

 

*グリーンピース・インターナショナル(本部)が発表したレポートはこちら(英語)

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