本日8月12日、グリーンピースは “Tip of the Iceberg”「氷山の一角」と題する報告書を発表した。
残留性有機汚染物質(POPs)は長距離を移動し、広がり、地球規模の問題を引き起こしているが、本報告書では、POPsの汚染が発生源からはるかに離れた地域、北極や深い海にさえ及んでいることを明らかにしている。

すでに優先対策物質として上げられている12物質のPOPsに加えて、現在専門グループで12種類以外のPOPsについての検討が進められている。
本報告書では、そうしたPOPs類、即ち臭素化難燃剤、有機スズ化合物、短鎖塩素化パラフィン等を取り上げている。


臭素化難燃剤

パソコンその他の電化製品の火災事故を押さえる目的で使用される。

スウェーデンでは母乳中の臭素化難燃剤レベルが、5年で倍増している。また、フェロー諸島で1994-96年の間にゴンドウクジラに関してとったデータでも、若いオスの個体で3.16ppm(脂肪当たり)、成長したメスの個体で0.843ppm(同)が記録されている。
これらは、哺乳を通してこれらの物質の相当な量が次世代へ移行していることを説明づけている。


有機スズ

船の塗装添加物のトリブチルスズ(TBT)も、魚やカラスガイ、その他の海の生物から検出されている。この物質が長期にわたって継続的に広範に使用されてきたため、これらの汚染は殊に港や沿岸の水域で見られる。
魚介類の消費の多い国も含め、ほとんどの国では、有機スズの魚介食料中レベルのデータが得られていない。

DDTなどすでに禁止されたPOPsであっても、生物に蓄積されたものは非常に緩慢にしか減ってゆかない。一方で、類似した有害性をもつ多くの化学物質が引き続き生産され毎日のように環境に放出されている。
これらPOPsによって、環境いはすでに激しい負荷がかかっている。
これに加えて、母乳中に見られる多くのその他のPOPsがこれまで十分な研究がなされていないことは、事態を一層深刻なものにしている。

1998年、北東大西洋地域の15の国々と欧州委員会は、2020年までにすべての有害物質の海洋環境への排出、放出、喪失をとめることを公約している。
1999年7月、オスロ・パリ委員会の閣僚会議でのこの決定は、有害物質汚染なき未来へ向けての先駆的な一歩ではあったが、2020年までという目標を、国及び欧州連合の法及び実際の政策に反映することはこれまで遅々としていた。

究極的には、残留性有機汚染物質を地球規模でなくしていく必要がある。その方向へ向け、来る重要な機会は9月6日からスイスのジュネーブで開催されるUNEP(国連環境計画)の、POPs規制の国際条約の第3回政府間交渉会議である。


調査ツアー開始

グリーンピースは本日、極北の手付かずの自然環境にも残留性有機汚染物質が及んでいることに焦点をあてて北欧、北極海方面へ調査のために船「グリーンピース号」を送り、各国政府にこれ以上の汚染を止めるよう求めてゆくキャンペーンをスタートさせた。