- 発送分離や規制緩和をはじめとする電力システム改革
- 東京電力福島第一原発事故を受けての原発の評価の低下
- グローバルな潮流となっている自然エネルギー革命
いずれも、ほとんど競争のない管轄エリアの中で守られてきた電力会社にとって、ビジネス環境の大きな変化となります。
この変化を巧みに利用し、自然エネルギー中心の新たなビジネスチャンスを戦略として取り組むことができるか否か、それがこの先の明暗をわけるでしょう。
この報告書では、3大課題の分析、欧州の電力会社の経験の評価、有用な事例紹介をとおして、日本の電力会社が今後取るべき戦略についての提言を行っています。
著者について:
ギョルギー・ダロス
グリーンピース・インターナショナル エネルギー投資シニアアドバイザー
ハンガリーのIBMやシティバンクで勤務後、米国のコンサルティング会社ボストン・コンサルティング・グループで国際エネルギー事業(電機、天然ガ ス、石油)の業務を担当。エコノミスト。国連食糧計画(WFP)のシニアエコノミストとして3年間の勤務を経て2011年より現職。投資家向けの報告書(既訳)「原発-―21世紀の不良資産」 「日本生命と原子力産業」などでも原子力の経済リスクや、自然エネルギー市場の可能性の高さを指摘してきた。
推薦の言葉
水口剛 高崎経済大学教授
「統合思考」とはこういうことを言う、というお手本のようなレポートだ。
今、欧米では株主や投資家向けの年次報告書に環境や社会の要素を含めた統合報告(integrated reporting)という考え方が提唱され、注目を集めている。ところが日本では、これは単に今までの年次報告書とCSR報告書を合体したものだと誤解されやすい。
本当はそうではなく、統合報告の前提には、戦略やビジョンの中に持続可能性への配慮を組み込んだ「統合的な思考(integrated thinking)」がなければならない。
電力会社がいつまでも原発に固執するのでなく、自然エネルギーに戦略をシフトし、好立地を確保し、電力ポートフォリオを改善し、社会との関係を改善せよというこのレポートの提案は、統合思考そのものである。
それは、社会的リスクを軽減し、世の中にとって望ましいと同時に、経営上も合理的な判断だからである。
どの電力会社が最初にこの方向に舵を切るか。
年金や生保などプロの投資家は、このような視点で投資先企業を評価すべきだろう。
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