本報告書は、2016年11月に飯舘村の北部、南部、中心部の7軒の民家で実施した放射能汚染レベルの調査結果をまとめ、生涯(70年)被ばく量を推計した「No Return to Normal」の日本語版です。

全村避難となった福島県飯舘村は、2017年3月31日に避難指示が解除され、その1年後には賠償の打ち切りが予定されています(帰還困難区域除く)。飯舘村住民は、村へ帰還をするかどうかの難しい決断を迫られています。

住民が避難指示解除時から帰還した場合、生涯にわたる被ばくリスクがどのくらいあるのかを推定するため、グリーンピースは、2016年11月23日から26日にかけて飯舘村にある7軒の民家で放射線調査を行いました。

<調査結果概要>

  • 生涯(70年間)の推定被ばく量の範囲は39から183ミリシーベルト。この数値には、吸入や食品などからの内部被ばくや、いまだ除染が完了していない山林などからの再汚染は含まれていないため、推定以上に被ばくする可能性は避けられない。
  • 空間放射線量(地上1メートル高)が、1軒当たり数千カ所にのぼる測定地点の79%から100%(うち4軒は100%)で、政府の長期除染目標である毎時0.23マイクロシーベルトよりもはるかに高い。
  • ホットスポットも数多く存在し、最高値は、南部の民家で測定した1メートル高さで毎時3.3マイクロシーベルト。
  • いま帰還すれば、胸部X線の検査を毎週受けるのと同程度の線量を屋内で計測した民家もある。

このレポートは、公式に除染が完了したとされる飯舘村においても、帰還による被ばくリスクが非常に高く、今後も不確実で未知数であること、福島第一原発事故から6年経ったいまもなお、事故以前の”日常”にはほど遠い現実を明らかにしました。

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被ばくや避難生活を強いるような原発事故が二度と起きないよう、
起こさないようにするために、政府や原発を使う電力会社が
目を向けない現実を、国内外に伝え続けていくことが必要です。

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