こんにちは。核/エネルギー担当の鈴木かずえです。
原発事故子ども被災者支援法(1)基本方針(2)が8月25日に改定され 、ますますひどくなってしまいました><.
新基本方針は「線量は大きく下がっている」として「新たに避難する状況にはない」としています。 
とくに自主避難者への支援を縮小し、今後は「帰還」と「定住」への支援に重点を置くという内容で、その本質は「原発事故被災者への賠償、支援の打ち切り」の拡大・加速と読めます。
基本方針改定に先立ち、改定案に対してのパブリックコメントがあり、1515件寄せられました。その多くは改定案を批判するものでした。(グリーンピースも出しました)
 
(復興庁資料より)
パブリックコメントで寄せられた意見(こちらの資料より)
—「支援対象地域(3)」は縮小ではなく、むしろ拡大すべき
—土壌汚染も考慮すべき
—被ばく量を過少評価している(4)
—生涯被ばく線量も考慮すべき
—帰還推奨政策にかたよらないでほしい
—住宅支援を継続すべき
—甲状腺ガン以外の疾病についても幅広く検査すべき
—福島県外でも検診や医療費の減免を行うべき
—被災当事者の意見を反映させるべき
これらに対し述べられた「政府の見解」は、政府のとりまとめなどを引用しながらの「反論」や、直接の回答を避けた「言い訳」でした。
たとえば「当事者の意見を反映させるべき」に対応する「見解」として「被災者の意見を聞いている」とするなどです。
 
避難するかしないかは自分が決める
 
 
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(写真:集会で発言する宇野朗子さん 2015年7月27日)
 
結局、これらの批判は反映されることはありませんでした。
 
「避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく」
という表現を
「避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況はなく」
に変えるという、言い回しの変更はありました。
これを福島県から京都に避難した宇野朗子さんは、「避難の権利ゾーンが実質なくなったという宣言」と言います。

「これは、汚染と向き合いながら暮らす人々に対する大変な侵害だと思います」

「わたしが避難するか、しないか、それは政府が決めることではありません。自分で決めます」
避難指示を解除するか、どうか。それは政府が決めることかもしれません。でも、避難指示がない地域で、避難の必要があるか、ないか。
それは個人個人の事情やおかれた状況によって個人が判断することだと私も思います。
避難指示が解除されたところ、そして、もともと避難指示がでなかったところでも、放射線の高いところがあります。性別、年齢、体質、そして個人個人の暮らし方、考え方により、避難を選ぶことがあっていいはずです。
「選択する権利」こそ、「子ども被災者支援法」の要でした。
 
 現地調査、続けます!
 
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政府による放射線量の過少評価を正していくためには、実態調査が欠かせません。

 グリーンピースは、6月7月に行った放射線調査で、政府が、放射能汚染の実態を無視して帰還政策を進めていることを明らかにしました。
現在避難区域である飯館村の調査ですが、住民の方からの聞き取りで、いかに政府が住民の声や汚染実態を無視しているかがわかりました。
原発事故被災者へ支援(もちろん賠償も)を打ち切らせないために、今後も、現地調査を通じて、実態を広め、声をあげていきます。
 

あなたへの呼びかけ

グリーンピースも賛同団体として参加している「原発事故被害者の救済を求める全国運動」には、団体としても個人として賛同できます。

ぜひ、あなたも加わって、いっしょに声をあげてください。
 
このような活動をすることができるのも、個人のみなさんのご寄附のおかげです。1日も早く100%自然エネルギーの日本に変え ていくために、一人でも多くの方のお力が必要です。

ぜひご寄附でも、この活動を応援してください。


 
注1 参考資料「子ども被災者支援法 基本方針『改定』の問題点—支援対象地域の問題を中心に」青木一政氏の資料(FoE Japanのホームページより)
 
だいじなP.S.
このブログを読んで、「パブリックコメントって出しても、ムダだった」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
わたしは、ムダではないと思います。
パブリックコメントは公開が原則なので、どれだけの人がどんな意見を送ったのか、「みえる化」になりますし、提出された意見に対して、政府の考え方が示されます(これも、「原則」)。
反映されなくても、問題点を復興庁に知ってもらうことになります。
また、反映されない事実を、メディアや国会がとりあげることもあります。
もちろん、パブリックコメントをきちんと政策に反映させない政府自体を、変えていかなくちゃですけどね。

 

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(1)子ども・被災者支援法
原発事故で汚染された地域から、避難する・残る・戻る、など、当事者がどう決めても、適切な支援を受けることができると定めた法律。国会議員と市民がともに協力して作られた。条文
 
(2)子ども・被災者支援法 基本方針
具体的な支援策や支援対象地域については定めるもの。本文
 
(3)支援対象地域
 一定以上の放射線量の地域で、国が住民や子どもに支援をすることとなっている。(本文地図参照)

 

(4) 支援対象地域の被ばく量を過少評価
「子ども被災者支援法 基本方針『改定』の問題点—支援対象地域の問題を中心に」青木一政氏の資料(FoE Japanのホームページより)を参照してください。
 
関連ブログ
国が原発事故被災者への支援打ち切り?! パブコメ送ろう!グリーンピースも、またまた出しました

 

 

 

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グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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