みなさんこんにちは、食と農業担当の関根です。
新たなネオニコ系農薬スルホキサフロルの残留基準値が決められようとしている今、日本政府の決め方は「科学的ではなかった」ことが明らかになりました。
3月8日、国会の衆議院農林水産委員会で、“日本の残留基準がゆるい”という問題が取り上げられました。質疑を行ったのは岡本充功議員(民進党)(動画のリンクは下記[注1]をご覧ください)
 
 
スルホキサフロルの残留基準値案を取り上げ、日本の基準値案が国際基準よりも高い、なぜそのような差が生じてくるのか、と問いただしました。

日本の残留基準値はどうやって決めているの?

❏「科学的ではない」方法で決めていることが明らかに

残留基準値案は、まず試験用の農地で作物を栽培し、規定の使用方法にもとづいて農薬を使った後、残留農薬を測ります。この測定値を元に、残留基準値を決めていきます。
(以前は、こうした測定値は公的機関が出していましたが、現在は農薬メーカーが栽培して残留農薬を測った数値を、基準値を決める元の値として提出できるようになっています。つまり、さらに透明性が低くなっています。)
ここからが問題です。
OECD諸国では、残留基準値を決める共通の計算プログラムがあって、客観的に残留基準値を算出することになっています。
ところが、日本では違うというのです。
日本では、測定した数値から残留基準値を導きだすために、多くの場合、数式などによる計算ではなく、「経験則」で決めている、という事実が、この日の質疑で明らかにされました。「ここが最も科学的ではない」と議員は指摘しています。
ちなみに経験則とは、三省堂大辞林によると「法則としての因果的必然性がまだ明らかになっておらず,経験上そう言えるというだけの規則」。
グリーンピースで厚生労働省に聞いてみたところ、たとえばサンプルの農産物を測定した数値が0.005ppmなど低めだったときはそれに4とか5を掛け算しているそうです。
農水委員会録画170308.png 

❏データ数も足りていなかった…

岡本議員は厚生労働省に対して、日本の特殊な決め方について質問を続けます。
議員がこの日の討論で確認したところによると、「OECDが定める残留基準値の算出方法」というのは一つの農薬について同じ作物の試験データ数が8つ以上必要なのだそうです。
しかし、日本でのスルホキサフロルの試験データ数は1つか2つだけ(お米だけ4つ)。
圧倒的に足りません。OECDが定める8検体を満たした作物は一つもないのです。それで、国際的に採用されているOECDの算出方法を使わず、「経験則」で決めているというのです。
しかも、他の農薬でも同じようにデータ不足で、多くの場合「経験則」によって決めているそうです。
「これが(日本の)残留基準の国際基準との差になっている」と岡本議員議員は指摘します。

 
この差が引き起こす問題点は重要です。
「実際の試験結果と経験則で設定した基準との差が大きいと、その幅のなかで農薬の使用方法が不適正でもゆるされる可能性がでてきてしまう。本来、農薬取締法で定めている使用の方法と違う使い方をしても、残留基準値が高く設定されていればセーフになって[流通できて]しまう、それでは消費者も不安になってくる」(議員)。
「日本のやり方では国際基準をみたすような検査ができず、基準値案も結果としてゆるめにでてくる、ゆるいから消費者が不安になる、この連鎖はよくない」(議員)と改善を求めました。
農林水産省の今城食品・安全局長も、決め方が「科学的でない」ことを認識して、次のように言っています。
「農薬登録の残留農薬の際の試験数は重要な課題であり、科学的根拠に基づいた検討の必要ありと思う」
検討の必要があると政府が自ら認めているような方法で残留基準値を安易にきめようとするのは、食の安全や健康をまもる行政機関として厚生労働省も農林水産省もあまりに無責任です。
スルホキサフロルの残留基準値案も、いったん白紙に戻し、適切な決め方を検討しなおすべきです。

みなさん、パブコメを出してください(3/30締切)

厚生労働省はこれまで、「科学的な情報や意見は取り上げます」といって、そうでない意見には耳を貸さないような言い方をしてきました。
残留基準値案がこんなに科学的でない方法で決められているのに、それに対する意見は科学的なコメントしか受け付けない、というのはあまりに国民意見をないがしろにした姿勢です。
全ての意見を受け止め、審査委員会のテーブルに載せてしっかり検討するべきです。
ぜひ、皆さんの意見を書いて厚生労働省に送ってください。
送り方は以下を御覧ください。また、スルホキサフロルの問題点についてはブログ
いますぐ新ネオニコ系農薬の解禁をとめたい、5つの理由
緊急!新しいネオニコ系農薬、解禁間近。パブコメ・署名で止めよう!

農薬メーカー優先:ミツバチへの害は「秘密」のまま承認される農薬

脱ネオニコに向かう欧州ネオニコ系農薬3種を全面禁止へ

にもまとめていますので、ご参考にどうぞ。

❏送り方

 ❏ スルホキサフロルのパブリックコメント募集サイトはこちら
 ❏ 厚生労働省によるスルホキサフロルの残留基準値と対象農作物の案はこちら
 ❏ 注意:意見は日本語で書き、個人は住所・氏名・職業・連絡先(電話番号又はメールアドレス)を、法人は法人名・所在地・連絡先(電話番号又はメールアドレス)を書いてください。

提出先:

 ❏インターネットを使う方はこちらのページの下にある「意見提出フォームへ」というボタンをクリックし、専用フォームから提出します。
 ❏郵送の方はこちらへ→〒100-8916 東京都千代田区霞が関 1-2-2 注意!3/30必着です
宛先:厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課 残留農薬等基準審査室宛て (封筒に赤で「スルホキサフロルの残留基準設定について」と書く)
  ❏FAXの方はこちらへ→FAX番号:03-3595-2432
宛先:厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課 残留農薬等基準審査室宛て (* 表題に「スルホキサフロルの残留基準設定について」と明記する)
 
 

署名にも参加してください

上記のパブコメ意見を厚生労働省送ることに加えて、農林水産省や環境省など、責任のある省庁にも市民の意見を伝えるため、市民団体で協力して、緊急オンライン署名を立ち上げました。こちら↓の署名にもぜひ参加してください。

緊急署名:新たなネオニコ系農薬を承認しないよう求めます

あなたのパブコメと署名で、一緒にネオニコの解禁を止めてください!
食の恵みを支えてくれるミツバチ、そして子どもたちの未来をまもりましょう。

 

[注1]衆議院のビデオライブラリでの視聴方法:3月8日の農林水産委員会録画から 岡本充功(民進党・無所属クラブ)というリンクをクリックすると動画にとべます。該当する質疑は1:15:30〜1:34:05です。 

 

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