こんにちは。グリーンピースのFacebookページやこのブログを、スマホから見てくださっている方も多いと思います。家族や友達、同僚とメッセージをやりとりしたり、電話したり、写真をとって加工・投稿したり、音楽を聞いたり、はたまた銀行口座の振り込みをしたり。スマホは、わたしたちの生活をより便利にしてきました。
一方で、スマホの製造や利用によって、環境に影響を与えてきたのも確かです。

2020年、スマホの契約数が人口の7割に!

電車に乗れば、スマホ率がほぼ100%という状況も珍しくないこの頃。世界全体では、18~35歳のおよそ3人に2人がスマートフォンを持っています。2007年にiPhoneが発売されてから10年で、70億台を超えるスマートフォンが生産されました。2020年には、スマホの契約数は世界人口のなんと7割に達すると予想されています(*1)。

大量生産による環境や社会への影響

スマホのメーカー、携帯電話会社のビジネスモデルは、しょっちゅうスマホを買い換えることを前提にしていて、これまで70億台をこえるスマホの生産・廃棄による長期的な影響が、十分に考慮されてきたとは言えません。

スマホ製造の真実。
スマホは主に、レアアースを含む金属の組み合わせと、ガラス、プラスチックからできています。スマホ製造、廃棄は、社会・環境に大きな影響を与えています。

1. 紛争鉱物:

スマホに使われる貴金属類は、人里離れた土地の鉱山労働者が命をかけて採鉱しています。これらの貴金属類は、コンゴ民主共和国などの国々における武力紛争の資金になっていて、さらに紛争に火を注ぐことになってしまいます。後には、紛争のために破壊された土地が残されます。

2. 有限な資源の枯渇:

スマホにはアルミやコバルトなど、様々な材料が使われます。1台当たりの必要量は少なく見えますが、これまで作られた70億台、そしてさらに増え続けているスマホのことを考えると、有限な資源を採鉱・加工することによる影響はとても大きくなります。ますます増え続ける必要な量を確保するために、さらに地球を傷つけ、そして有限な資源の枯渇につながる可能性もあります。例えばインジウムは、現在のペースでの採掘に基づけば、わずか14年分の供給量しか残っていないと推定されています(*2)。

3. 労働者の健康を脅かす:

電子機器工場の労働者は、知らないうちに健康に害をもたらす危険な化学薬品にさらされています。

 

4. 気候変動の要因となる二酸化炭素排出の増加:

スマホなどの機器が複雑になるほど、一台の生産に必要なエネルギーは増加する傾向にあります。実際に、生産をしているのは中国をはじめアジア各地。今も、石炭火力発電の多いところです。スマホの生産が増えると、CO2をたくさん排出する、環境への負担の大きいエネルギー需要が増えることにつながってしまいます。


5. ゴミが増える:

増え続けるスマホのゴミも問題。ゴミを減らすためには、できるだけ長く使う(不要な買い換えも必要なくなります)、修理しながら使う、そして使える部品や原材料を再利用する、ということが必要です。でも、スマホの回収、部品の再利用は十分に進んでいないんです。日本でのスマホの回収は、あまり普及せず17.4%となっています(*3)。

電子・電気機器のゴミはe-ウェイストと呼ばれ、世界中で急速に増加しています。2014年、正規部門でリサイクルされた世界のe-ウェイスト16%未満だったと推定されており、今後取り組みが必要です(*4)。

問題を解く糸口は?

たくさんの問題がありますが、どうやってアプローチしたらよいのでしょう・・?
解決の糸口の1つが、長く使えるスマホを作ること。そのためには、スマホは「修理しやすい」必要があると、グリーンンピースは考えています。なぜなら、修理しやすければ、1つのスマホをより長く使うことができるし、「修理しやすい=分解しやすい」ので、分解してまだまだ使える部品を再利用したりすることが可能になります。

グリーンピースの最新の調査では、私たちが使うスマホやIT製品の多くは、一定期間で交換が必要なのにバッテリーが機器に強く接着されて交換が難しかったり、修理しにくい(=分解しにくい)ことが分かりました。
実は、オランダに本社を置くFairphone(フェアフォン)がつくるスマホは、分解・修理しやすいように設計され、使用する鉱物資源なども労働者の人権に配慮したフェアトレード製品を選択しています(*5)。残念ながら、現在フェアフォンが使えるのはヨーロッパのみですが、フェアフォンの取り組みは、地球にも社会にも負担の少ないスマホをつくることが可能だと示しています。

【参考資料】

*1: Gartner Newsroom, March 11 2009, “Gartner Says Worldwide Smartphone Sales Reached Its Lowest Growth Rate With 3.7 Per Cent Increase in Fourth Quarter of 2008” http://www.gartner.com/newsroom/id/910112

*2: Geological Survey of Queensland, September 2014, “Indium opportunities in Queensland” https://www.dnrm.qld.gov.au/__data/assets/pdf_ file/0019/238105/indium.pdf
*3: 情報通信ネットワーク産業協会、「平成28年度 携帯電話・PHSにおけるリサイクルの取り組み状況について」、http://www.ciaj.or.jp/news/press_releases/pressreleases_past_issue/pressrelease2017/2539.html
*4: Baldé, C.P., Wang, F., Kuehr, R., Huisman, J., United Nations University, 2015, “The Global E-waste Monitor – 2014” https://i.unu.edu/media/unu. edu/news/52624/UNU-1stGlobal-E-Waste-Monitor-2014-small.pdf
*5: https://www.mylohas.net/2016/02/052228fairphone.html

 

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