こんにちは。ライターのやなぎさわまどかです。

子どもの頃は100円玉を握りしめて缶入りのジュースを買っていましたが、いつの頃からかペットボトルに変わりましたね。この20年くらいでしょうか。私の記憶が正しければ、360ml以下のペットボトルが始めの頃、「小さいサイズまでプラスチックにしたらプラスチックごみが増えてしまうじゃないか」という声も聞こえていたように思います。プラスチック汚染が世界的課題となった最近、あの頃から懸念を声にしていた方々はどんなお気持ちでこの20年を過ごされてきたのだろう?と考えることがあります。

先日、こんなニュース *を見ました。上の写真は、自動車メーカーのヒュンダイが、スペインのリゾートに作った駐車場の精算機で、なんとこれ、お金の代わりにペットボトルで精算できる、その名も「エコパーキング」という代物。同社のCSR活動として行われたキャンペーンですが、ペットボトルを回収する行動が現金の代わりとなり駐車場料金を精算できるという、実に素晴らしく画期的なアイディアです。

結果としてこのエコパーキングを設置期間中、連日にわたり約25人分の年間消費量にあたる量のペットボトルが回収できたそうです。スペインの政治家たちはこのキャンペーンを国内各地で続けようと動き出しているそうで、ぜひ世界に先駆けた前例を作ってもらいたいと思いました。

こうした分かりやすい実践やPRは予算や知名度の高い企業や団体にどんどんお願いしたいことでもあります。

と同時に一方で、実はわたし個人的には「リサイクルはやめよう!」という心の叫びを抑えきれずにいます。今日は少し、私の叫びを聞いていただけますでしょうか。

ペットボトルはプラスチックゴミの中でも回収率が高い、という話を聞いたとがある人もいるかもしれません。もしも次にどこかでそう聞いたら、どうぞもっと具体的な詳細を質問してください。(その結果を私にも教えてもらえると嬉しいです)

というのも、ときに”約9割が回収されている”とまでいわれる日本のペットボトルですが、それらはただ中国に送られていただけで本来の意味のリサイクルはされていなかったことをご存知でしょうか。しかも2018年、中国が国外からのプラスチックゴミの受け入れを禁止したため、日本のペットボトルの一部は行方を失ってしまい、国内での処理が追いついていません。環境省自体がこの問題をすでに報告しており報道 *もされています。

そもそも”9割が回収されている”、が本当にきちんと回収されていたとしても、それはつまり「1割は回収されていない」事実が残ります。たった1割、かもしれませんが、回収されていないということは自然界に流出してる可能性が非常に高く、たった1割、と思われがちな量も、飲料ペットボトルに換算すると実に約23億本になります。

23億本のペットボトル…想像できますか??

この本数、”たった”23億本だから自然界に流れ出てもオッケー…なわけがありませんね。

私が叫びたい「リサイクルをやめよう」の本意はここにあります。リサイクルが無意味と言っているのではなく、実施されていない現実を知り、そもそものペットボトル生産量を減らそうよ、と叫びたいのです。

環境省はずいぶん前からゴミの「3Rキャンペーン」を呼びかけていますが、プラスチックゴミにおける3Rでいちばん大切なのはRの順番だと思うのです。ここを間違えると、エコのつもりで取った行動がまったく真逆の効果を生んでる結果につながる可能性もあるので少しご説明します。

まずは何よりも1番に「リデュース  Reduce=削減」です。

3Rのなかでこの削減のRがずっとずっと上にある優先順位です。そもそもの生産量を減らし、ゴミとして出てしまう量を減らさなければ本質的な解決策には全くならないのですから。少しでも無駄なプラスチックゴミを減らすためにはそもそも買わない、これに勝る解決策はありません。

続いて、消費という観点にも関わる2番目が「リユース  Reuse = 再利用」

これは私たちの暮らしから「使い捨て」という概念を変えることです。たとえ世界中のストローが全てリサイクル素材や代替素材に変わったとしても、本来の解決策にはなっていないのです。私たちがみんなで、1回使ったら捨てるという行動パターンを変えなくては、プラスチックゴミも減ることはありません。

すでにここまでの説明でお分かりいただける方も多いと思うのですが、このふたつのRで対策できる量と、プラスチック生産量のバランスが取れていれば、これほどまでにプラスチック汚染が社会問題になってなかったのです。このふたつの対策では追いつかないほど作ってあふれ出てしまった分がプラスチックゴミとして海に流れてでてるのが現状なのですから、今の時点で3つ目のR(リサイクル)だけでは解決策にはなりません。どんなに頑張ろうともどうしてもリデュース(削減)やリユース(再利用)ができない場合の最終手段の受け皿がリサイクル。でも、そもそも素材が再び生かされるわけではない名ばかりのリサイクルなのであれば「リサクルはやめよう」と叫びたくもなるのです。

と、ここまで書いて気づきましたが、私が本当に叫びたいことは「リサイクルをやめよう」ではなく、こうでした。

「プラスチックごみを減らすためには、まずペットボトルを買う回数を減らそうーー!」

あー、すっきり(笑)

今日はわたしの叫びにお付き合いくださり、ありがとうございました。こんなにひとの叫びを聞いたらもっと詳しいことを知りたくなるじゃないか!というお叱りは、グリーンピースジャパンの過去記事プラスチックフリーに関するアクションをチェックしてお収めいただけると幸いです。

やなぎさわ まどか

食・農・暮らしに関するライター/ 編集/ 翻訳。藤沢出身。土と社会の多様性をテーマに、人と人がまぁるく繋がる世界を目指して文章を綴る。秘かな趣味は、名前の由来を聞くこと。