オーストラリアの山火事で犠牲になった動物は、10億匹まで膨れ上がっています

コアラの3匹に1匹が犠牲になったというニュースは、いまだに信じられません。

動物だけではありません。火は、人々の暮らしと命も奪いました。9月から、1,500軒の家が焼け、少なくとも23人が犠牲になりました。(2020年1月5日時点)そのうち3人は、ボランティアの消防士の方だったそうです。そして、6人が、いまだ行方不明となっています。

山火事で家を失ったミリンダさん © Natasha Ferguson / Greenpeace

「空一面がオレンジ色の炎でつつまれ、あたりは煙が充満していました。世界の終わりがきたと思いました。我が家を炎が一掃した時、祖母は40年分の思い出も失ってしまったのです」

山火事は関東地方の2倍の面積を焼き、その煙は、太平洋を越えてチリまで届いています。

オーストラリアの山火事は毎年のこと?

オーストラリアで山火事は珍しいことではありません。

しかし、雨が例年の半分と記録的に少なく、大地と草木がカラカラに乾いていることが、山火事がこのような大惨事になった原因です。 

被害を受けた場所の多くは、1月から8月の合計の降雨量が例年の50%に満たず、中には同時期の観測史上最も乾燥していたという地域もありました。

また、クイーンズランド州南部やニューサウスウェールズ州中部と南部、ビクトリア州で山火事が始まる時期が早くなるなど、地域によっては山火事の時期が長くなる傾向がはっきりと認められています。

12年前に予測されていた山火事

実は、12年前の2008年には、2020年ごろにこうした被害が出ることを気候変動研究が予測していました。

この研究では、「山火事の季節はより早く始まり、より遅く終わるようになる、そして一般的にいってより激しくなる」と予測しています。そして、「その影響は時とともに増え、2020年には直接観測可能なものになるだろう」とも。

オーストラリア国立大学気候変動研究所の専門家は、今年の大惨事は、「気候変動が山火事をさらに深刻に、さらに頻繁にしているという証拠だ」と話しています。

大量のCO2を排出する石炭火力発電やプラスチックや紙の使い捨てなどに依存し続けることで気候変動が加速し、私たちと動物たちの命と暮らしが脅かされています。

今すぐできること

気候変動が私たちの暮らしにダイレクトに影響するようになっているというのに、なぜいまだに気候変動を止めるための抜本的な動きができていないのでしょう?

石炭火力発電は、気候変動のもっとも大きな原因の一つですが、オーストラリアも日本も、大量のCO2を発生させる石炭火力発電に依存しています。

世界中に脱石炭が進んでいるのにも関わらず、日本政府は、2019年12月に開かれたCOP(気候変動枠組み条約締結国会議)のスピーチで石炭火力発電廃止を打ち出せなかったことで、批判されています。

政府が気候変動対策に消極的ななかで、私たちが、今できることはなんでしょうか?

  • 石炭から自然エネルギーへシフトすることを政府に求める

去年の台風によって、私たちは防災だけでは暮らしを守れないことという危機感を持ちました。気候変動の最悪の事態を避け、異常気象の激化を抑えることが、今必要な防災です。私たちの声を届ける署名に、参加してください

  • 自宅や事務所の電気を、自然エネルギー100%の電気に変える

石炭火力ではなく自然エネルギー100%の電力を扱う電力会社と契約することができます。私たちの電気代が、自然エネルギーへの投資になります。自然エネルギー100%をめざす電力会社一覧を見る

  • 使い捨てごみを減らす

石油や植物から作られるプラスチックや紙の使い捨てを減らして、容器や袋のリユースを進めれば、それだけCO2を減らし、炭素を蓄える森を守ることになります。詳しく読む

  • 肉ではなく野菜中心の食事を増やす

畜産は、飛行機・鉄道・車など交通機関と同じくらいのCO2を排出しています。肉を減らすことは、個人の暮らしでCO2を減らす最も有効な方法の1つです。詳しく読む

  • グリーンピースなどのNGOに寄付する

みずほ、三菱UFJ、三井住友は、世界で石炭火力発電所に投資している銀行トップ3を独占しています。国内外からの働きかけによって、銀行は投融資方針を見直す動きを見せていますが、まだ十分ではありません。グリーンピースは、今年も銀行に、石炭ではなく自然エネルギーへ投資をシフトするように働きかけるキャンペーンを続けます。寄付サポーターとして、一緒にキャンペーンを進めていただけませんか?寄付について詳しく読む