パンデミックが始まってから、世界中で多くのレストランやお店が、感染を広めないための緊急対応をしてきました。

日本でも、非常事態宣言の対象が全都道府県となったことで、すでに休業しているお店が全国的に増えてきています。営業しているお店でも、特に海外ではリユース容器の持ち込みを中止したり、店内用のマグカップを使い捨てカップに切り替えるなどの対応をしているところもあります。

危機の中でも頑張るお店を応援したい気持ちの一方で、どうしても考えてしまうことがあります。使い捨ての容器は本当に安全でしょうか?逆に言えば、リスース容器を使っても安全でしょうか?

最近の研究が示しているのは、ウイルスが様々な素材の表面で生存するということです。生存時間は、素材によって違います。例えば銅では4時間、段ボールでは24時間、ステンレスでは48時間、そしてプラスチックでは最大で72時間、ウイルスが生存すると指摘されています。

つまり、リユースであるか、使い捨て容器であるかに関わらず、ウイルスはどんな材質の表面にも付着している可能性があるということです。一番守らなければいけないことは、ウイルスを除去し、清潔に保つことです。

手洗いに加え、リユース容器、コップ、ボトル、マイバックなどは使用後、洗剤を使って、お湯で洗浄することが必要です。

事実としていえることは、衛生面で完全な代替品はないということです。使い捨てプラスチック製品、または使い捨ての容器包装だからといって、単純にウイルス感染を起こりにくくするということではありません。

にも関わらず、アメリカではこの危機に乗じて、化石燃料業界やプラスチック産業による、脱プラを阻害するためのロビー活動が行われています。一部の研究を悪用することで、自分たちがお金を出している研究機関などを通じてメディアに誤った情報を流し、人々のコロナに対する恐怖心につけ込んでいるのです。でも、この危機の中で私たちが家族のためにできる行動は、医療専門家の助言に耳を傾けることであり、化石燃料業界やプラスチック産業に雇われたロビイストの言葉に従うことではありません。

私たちにもプラスチック汚染に対して、できることがあります。リユース可能なプラスチックに関して、たくさんの嘘の情報があふれていますが、本当のことを知るためのヒントを紹介します。

リスース容器を使うことは安全ですか?

はい。洗剤とお湯で洗浄することで、コロナウイルスや細菌を効果的に除去できます。家庭や業務用の食洗機も同様に効果的です。テキサス大学医学部の細菌学教授のVineet Menachery氏は、「ウイルスが食洗機を生き延びるとは考えにくい」と言及しています。

使い捨て包装の方が安全なのですか?

いいえ、しっかりと洗浄されたリユース容器と比べて安全とは言えません。一回きりの使い捨て製品も、ウイルスや細菌などのすみかとなる可能性があります。生産、輸送、保管、そして最終的に使用するまでの間に付着する全ての病原体が対象になります。

ゼロウェイスト専門家のベア・ジョンソン氏は「使い捨て製品では、自分の手元に来るまでに誰が触ったのか全く分かりません。自分のリユース容器なら、誰が触れたのか、きちんと洗浄されているかが容易に分かります!」とまとめています。

大手コーヒーチェーンの中には、マイタンブラーやマイカップの持ち込みを禁止しているお店もあります。こういった対応はずっと続くのでしょうか?

持ち込みを禁止している企業は、現在の措置は一時的なものとしています。

コロナウイルス危機は、それが使い捨てであろうとリユース製品であろうと、テイクアウトの衛生対応をしっかり行う必要があることを示しました。今後は、持続可能な方法で感染を抑える知恵や技術とライフスタイルが求められています。リユースや量り売りの買い物が安全で衛生的に利用できるようにする必要があります。

すべての消費財メーカーや関連企業は、使い捨て容器包装のごみの山をつくる代わりに、衛生面と環境保護の目標に見合ったリユースモデルを確立することが求められています。

今回のような衛生危機に対して、ゼロウェイストの取り組みと両立させながら、将来的にどのような対応ができるのでしょうか?

実は、すでに世界中のレストランやカフェで、清潔なリユース容器のための様々な施策が生まれています。例えば、使用後のタンブラーなどのリユース容器が回収ボックスや指定された場所で集められ、洗浄業者によって洗浄・消毒されてサービスに戻ってくるといったものです。

例えば、おしゃれにデザインされたステンレスタンブラーの回収・洗浄・配送などを行っているアメリカのVessel Works社は、もともと保健所とも協力して厳しい衛生基準に則った洗浄サービスなどを展開していました。

それが功を奏して、同社のサービス申し込み数は、新型コロナ対応で飲食業への規制が始まる直前までの短期間、過去最高となりました。新型コロナにより衛生への不安が高まる中、徹底した衛生管理が注目されたのです。(現在は回収ポイントである店舗がクローズしているので、サービスは休止中)

また、カフェチェーンのブルーボトル・コーヒーは、素材に関わらず使い捨てカップを無くすための試みを実験店舗でスタートすると発表しています。タンブラーなどの持ち込みを推奨するだけではなく、自分の容器を持っていない来店客には、上記のようなリユースできるタンブラーをデポジットを支払ってもらった上で渡し、使用後に回収・洗浄するとのこと。

コロナ問題が落ち着き、クローズしているお店などが再開した場合は、このような衛生的にも安心で安全なリユースサービスが、世界中で広がっていくことが期待できます。そうなれば、安心して脱使い捨てを進めていくことができますね。

プラスチック危機に対し、特に大企業には、安全で高い衛生基準を備えた、ごみを減らすための新しい仕組みを確立させる力があります。

確かなことは、このパンデミックが今後私たちの生活の多くを変えていくこと。そして、私たちの大事にしている価値観、健康で公正でサステナブルな社会に向けての歩みを止めることはできない、ということです。

海外で広がりつつある使い捨て文化脱却の取り組みが、日本でも生まれる必要があります。リユース (再使用)・リフィル(詰め替え)が当たり前の社会を目指して、ぜひまずはリユース・レボリューションキャンペーンに参加してください。