東電福島第一原発の敷地内には、放射能で汚染された水(汚染水)がたまり続けています。多核種除去設備(ALPS)で処理した水など合計で100万トンを超えています。

ALPSでは、トリチウムは取り除けませんが、62種類もの放射性核種を基準値以下にできるとされていました。しかし、2018年9月、東電は、ALPSで処理した水のうち、84%が基準を満たしていなことを明らかにしました。

汚染水を今後どうするかについて、専門家が参加する経済産業省の小委員会で検討されてきました。そして2020年2月10日、小委員会は「前例のある水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢である」とした報告書を発表しました。

コロナ禍中にテレビ会議で「ご意見を伺う場」を開催

その直後から新型コロナウイルスが拡大し始めましたが、国は汚染水をどうするかを決めるために、地元自治体の首長や農林水産業者、小売業などの関係者を対象にした「ご意見を伺う場」を4月6日から6月30日にかけて4回開いています。

福島県漁連、森林組合連合会は、放出に反対を表明

その中で、福島県漁業協同組合連合会は、去年は震災前漁獲量の約14%にとどまったが、今年の2月には出荷制限が解除され、これから増産に向けて舵を切ろうとしているところであり、海洋放出に反対だと訴え、福島県森林組合連合会は原木椎茸生産に不可欠な、しいたけ原木の生産が困難な状況が続いており、販売が皆無であること、野生きのこ・山菜等の出荷制限も多くの市町村で継続されている窮状を訴え、大気放出に反対を表明しました。

国連の人権専門家も政府の判断延期を求める

また、一般からの意見募集も4月6日から始まりました。当初、締切は5月15日とされていましたが、「より丁寧にご意見を伺う観点から」という理由で、その後3回にわたって延長されるという異例の経緯をたどっています。これは、新型コロナウイルス蔓延に伴って「ご意見を伺う場」が一般公開されていないことに加え、業界団体だけでなく住民の声も聴いてほしいという強い要望、国連の人権専門家が新型コロナウイルスによる危機が終わり、適切な国際間の協議が行われるまで、政府判断を延期するよう求めた(6月9日)ことなども影響しているかもしれません。

結局、一般からの意見募集の締切は7月31日になりました。

たとえば、原発の再稼働をめぐる意見募集の場合は、意見締切の1カ月以上後にゴーサインが出たりします。

国はもうすぐ汚染水の海洋放出を決めてしまうのでしょうか。

わたしは、まだまだ、とめることができると思っています。

40以上の福島の市町村議会が反対ないし慎重な決定を求めている

今年、3月17日に福島県浪江町議会が出した意見書を皮切りにこれまで40以上の市町村の議会が、政府に対し、反対ないし慎重な決定を求めています。

今回、「これ以上海を汚すな!市民会議」のご協力で、そのうちの20の意見書を入手することができましたので、こちらに掲載します。(宛先を略したものもあります)

福島の声を聴いてください。

3月11日

石川町

福島県の漁業と漁業関係者の生活を守るために東京電力第一原発敷地内に保管されているトリチウム汚染水の海洋放出に反対する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含む汚染水の処分方法などを議論する政府小委員会は , 1月 31日 「海洋放出」と「大気放出」を現実的な選択肢としながらも「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放出を輸調する提出案を了承しました。

 トリチウム汚染水の海洋放出は、前例もあり、現実的、監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、風評被害対策の徹底も必要だとしていますが、公聴会での意見や「長期保管」は一顧だにせず、被災県民の心情や被災県員の実情を無視 したものと言わざるを得ません。

 公聴会では、漁業従事者から「試験操業を繰り返し、やっと本操業が見えてきたのにトリチウム汚染水が放出されたら、今までの苦労が水の泡 になってしまう。後継者を育てないと技術 の継承 もできず 、福島の漁業は壊滅してしま う。」と切実に訴えられました。海洋放出は、海洋環境を汚染し、漁業従事者 にも大きな打撃を与えます。原発事故 によ り甚大な被 害を被っている被災者に汚染水の海洋放出によって追い打 ちをかけるよ うな ことがあってはなりません。これまで福島県産の農畜水産物などの安全性の確保や風評被害の克服に取り組んできた生産者の努力と将来への展望を根底から覆すことになります。

 トリチウム汚染水の海洋放出は、一般公衆の被ばく線量限度1㎜ SV/年を超える可能性もあ り、低 レベル放射性廃液の海洋投葉を原則的に禁止する「ロンドン条約」にも違反するものです。

 私たちは、廃炉処理終了に至る過程において、長期保管と併せてトリチウムの分離処理を含む処理方法の研究開発を強く望むものであり、トリチウムを含む汚染処理水の海洋放出には反対です。

 福島県民は、東電の原発事故以来、今日まで長期の避難生活や放射線による健康不安、農畜水産物の風評被害など、多大の苦しみを経験してきました。

 これ以上の原発事故の犠牲を押し付けてはなりません。県民の安全と健康と生活を守るために、トリチ ウム汚染水の海洋放出に反対いたします。

 よって、地方 自治法第 99条 の規定により、県及び国 ・関係省庁 ・政府の小委員会 東京電力に対し、下記の事項 について要請するため、意見書を提出する。

  1. トリチウム汚染水は海洋放出ではなく、長期保管とし、廃炉終了時までに分離 ・回収技術を研究開発し実用化すること。
  2. タンク内には、トリチウム以外の基準値を上回る放射性物質が含まれており、徹底した除去を行うこ と。
  3. 法律で決められている 「一般公衆の被ばく線量限度 1㎜SV/年 」を厳守すること。
  4. 福島県産の農畜水産物に対する風評被害の解消に全力を挙げること。
  5. 原発再稼働や核燃料サイクル政策を止め、再生可能エネルギーに政策転換すること。
  6. 原発事故の被害者は福島県民である。彼災県民が何よりも優先されなければならない。被害者である県民の意見を聞く公聴会を開催すること。

 令和2年3月11日                 

 提出先

 衆議院議長  大島理森殿

 参議院議長  山東昭子殿

 内閣総理大臣 安倍晋三殿

 経済産業大臣  梶山弘志殿

 復興大臣  田中和徳殿

 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会委員長  山本一良殿

 東京電カホールディングス代表取締役社長  小早川智明殿

 福島県知事  内堀雅雄殿

福島県石川郡石川町議会議長 草野伝明

3月19日

湯川村

福島第一原発の放射能汚染水の取り扱い及び新たな風評が生じないよう徹底した対策を求める意見書

 東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力という。)は、作年8月9日に開催された多核種除去設施等処理水の取り扱いに関する小委員会において、東京電力福島第 一原子力発電所の敷地内貯蔵タンクに保管される放射性物質トリチウムを含んだ水(以下 「トリチウム水」という。)が、早ければ今和4年6月に、現在の計画で保管可能な容量である137万トンに達すると試算を報告した。

 また、東京電力は、今後の廃炉作業を進めるに当たり、使用済み核燃料を一時保管する施設等を整備するための用地を確保する必要があることから、更なる貯蔵タンクの増設は困難との見解を示している。 

 国は、トリチウム水の処分方法として、海洋放出を含めた5つの方法を公表し、海洋放出と大気放出の2案を「現実的な選択波」とする報告書を大筋で了承したが、東日本大震災 が発生し9年が経過しているが、いまだ風評被害が払拭されていない現状から、貯蔵タン クでの長期保管を求める声も多い。海洋放出されれば、回りまわって私たちの暮らしに様々な影響を及ぼすのは避けられない。トリチウム水の処分については、住民の理解なくして進めることはできず、今後の対応いかんによっては、本村を含む福島県全体に対する更なる風評被害を助長することも考えられることから、今後の計画及び対応に万全を期す必要がある。

 よって、国においては、社会的な影響を考慮した上で、あらゆる知見を総動員してトリチウム水を適切に取り扱うとともに、新たな風評が生じないよう徹底した対策を講ずることを強く要望する。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 令和2年3月19日                      

 衆議院議長       大島理森 殿

 参議院議長       山東昭子 殿

 内閣総理大臣      安倍晋三 殿

 経済産業大臣      梶山弘志 殿 

 復興大臣        田中和德 殿

 原子力規制委員会委員長 更田豊志 殿

福島県湯川村議会

6月5日

三春町

多核種除去設備等処理水の水蒸気放出及び海洋放出に反対する意見書 

 東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下「原発事故」という。)により発生し、 現在も増え続ける多核種除去設備等処理水(以下「処理水」という。)の処分方法について、本年2月に経済産業省「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下「小委員会」という。)は、水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢であり、海洋放出がより実施しやすいとの報告書を公表した。 

 経済産業省は、小委員会の報告を踏まえ、今後、政府として処理水の取扱い方針を決定するため、4月6日、13日、5月11日の3回にわたり地元自治体や農林水産業者を始めとした関係者からの意見聴取を実施した。出席者のうち、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会及び福島県農業協同組合中央会は明確に反対を表明した。その他の関係機関や自治体首長からは、風評被害に対する具体策の提示や正確な情報発信の徹底が挙げられた。また、福島県の有権者を対象に実施した朝日新聞社と福島放送の共同による世論調査では、57%が「処理水を薄めて海に流すこと」に反対している。 

 現在タンクに貯蔵されている処理水の約7割で、トリチウム以外の62種類の放射性物質が告示濃度限度を上回っており、海洋放出が実施されることとなれば、ふるさとの復興・風評被害からの脱却に向けて取り組んできた福島県民の努力が振り出しに戻ってしまう。漁業関係者を始め、農業、林業、観光業はもちろん、私たちの暮らしそのものに影響が及ぶことは避けられない。 

 よって、処理水の水蒸気放出及び海洋放出をすることは、原発事故によって大きな被害を受けた福島県民が新たな被害を受けるものであり容認できないため、処理水の陸上保管を求めるとともに、水蒸気放出及び海洋放出に強く反対するものである。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 

 令和2年6月5日                  

 内閣総理大臣     安倍晋三 殿

 衆議院議長      大島理森 殿

 参議院議長      山東昭子 殿

 経済産業大臣     梶山弘志 殿 

 復興大臣       田中和德 殿

 環境大臣      小泉進次郎 殿 

福島県田村郡三春町議会議長 佐 藤 弘

6月10日

川俣町

東京電力福島第一原発汚染水の海洋放出に関する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含む汚染水の処分方法などを議論する政府小委員会は2月10日、「海洋放出」と「大気放出」を現実的な選択肢としながらも、「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放出を強調する報告書を提出した。トリチウム汚染水の海洋放出は、前例もあり、現実的な監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、これまで開催した公聴会では圧倒的な反対の意見が出されている。

 また、多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の意見を聞く場においても、地元自治体や農林水産業者を初めとした、幅広い関係団体から海洋放出に対する異論が出されるなど、一層、風評被害対策が強く求められている。

 海洋放出は、海洋環境を汚染し漁業従事者にも大きな打撃を与えることになる。原発事故により、甚大な被害を被っている被災者に海洋放出による追い打ちをかけるようなことがあってはならない。これまで福島県産の農畜水産物などの安全性の確保や風評被害の克服に取り組んできた、県漁連を始めとする生産者の努力と将来への希望を根底から覆すことになる。

さらには、トリチウム汚染水の海洋放出は一般公衆の被ばく線量限度1mSV/年を超える可能性もあり、低レベル放射性廃液の海洋投棄を原則的に禁止する「ロンドン条約」にも違反するおそれがある。

 このことから、川俣町議会は、廃炉作業完了に至る過程において、トリチウムを含む汚染処理水の海洋放出の判断には慎重を期し、長期地上保管を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年6月10日                     

 内閣総理大臣  安倍 晋三 様

 経済産業大臣  梶山 弘志 様

 復興大臣    田中 和德 様

 原子力規制委員会委員長  更田 豊志 様

福島県伊達郡川俣町議会

6月12日

会津坂下町

福島県の漁業と漁業関係者の生活を守るために東京電力福島第一原発敷地内に保管されているトリチウムを含む処理水の海洋放出に反対する意見書 

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含む処理水の処分方法など を議論する政府の「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」は、現実的な選択肢として「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放出の優位 性を強調した報告書をまとめました。トリチウムを含む処理水の海洋放出は、 前例もあり、現実的、監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、風評被害対策の徹底も必要だとしています。 

 しかし、公聴会では漁業従事者から「試験操業を繰り返し、やっと本操業が 見えてきたのにトリチウムを含む処理水が放出されたら、今までの苦労が水の泡になってしまう。後継者を育てないと技術の継承もできず、福島の漁業は壊 滅してしまう」と切実に訴えられました。 

 このような公聴会での意見や「長期保管」をすべきなどの意見には一顧だに せず、被災県民の心情や実情を無視したものと言わざるを得ません。 

処理水の海洋放出は海洋環境を汚染し、農業従事者にも大きな打撃を与えます。これまで福島県産の農畜水産物などの、安全性の確保や風評被害の克服に取り組んできた生産者の努力と将来への展望を根底から覆すことになります。 

 福島県民は原発事故以来、今日までの長期の避難生活や放射線による健康不 安、農畜水産物の風評被害など、多大の苦しみを余儀なくされてきました。 

 これ以上、原発事故の犠牲を押し付けてはなりません。県民の安全と健康と 生活を守るため、トリチウムを含む処理水の海洋放出には反対です。 

 よって、国会・政府関係機関及び県に対し、下記事項について誠実に対応さ れるよう強く求めるものです。 

  1. トリチウムを含む処理水は、海洋放出ではなく、地上タンクでの長期保管とし、トリチウムの分離、回収技術を研究開発し実用化すること。
  2. タンク内には、トリチウム以外の基準値を上回る放射性物質が含まれており、徹底した除去を行うこと。 
  3. 福島県産の農畜水産物に対する風評被害の解消に全力を挙げること。 
  4. 何よりも優先して被災県民の意見を聞く公聴会を開催し政策に反映させること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。 

 令和2年6月12日

 衆議院議長      大島理森 殿

 参議院議長      山東昭子 殿

 内閣総理大臣     安倍晋三 殿

 経済産業大臣     梶山弘志 殿 

 復興大臣       田中和德 殿

 福島県知事      内堀雅雄 殿 

 福島県河沼郡会津坂下町議会 

6月16日

金山町

福島県の漁業と漁業関係者の生活を守るために東京電力福島第 ~~原発敷地内に保管されているトリチウムを含み処理水の海洋 放出に反対する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含対処理水の処分方法 などを議論する政府の「多核種除去設施等処理水の取り扱いに関する小委員会」は、現実的な択肢として「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放 出の優位性を強調した報告書をまとめた。トリチウムを含む処理水の海洋放時 は、前例もあり、現実的、監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害はさ けられず、評被害対策の徹底も必要だとしています。 

 しかし、公聴会では漁業従事者から「試験操業を繰返し、やっと本操業が見 えてきたのにトリチウムを含む処理水が放出されたら、今までの苦労が水の泡になってします。後継者を育てないと技術の継承りできず,福島の漁業は崩壊 してしまいます」と切実に訴えられました。 

処理水の海洋放出は海洋環境を汚染し、機業従事者にも大きな打撃を与えます。これまで福島県産の農水畜産物などの、安全性の確保や風評被害の克服に 取り組んできた生産者の努力と将来への展望を根底から覆すことになります。 

 福島県民は原発事故以来、今日までの長期の避難生活や放射線による健康不 安、農水畜産物の風評被密など、多大の苦しみを余儀なくされてきました。 

 これ以上、原発訴故の物性を押し付けてはなりません。県民の安全と健康と 生活を守るため、トリザーウムを含む処理水の海洋流出には反対です。国会・政 府関係機関及び県に対し、下記事項について誠実に対応されるよう強く求める ものです。 

 よって、下記の事項の実現について、強く要望します。 

  1. トリチウムを含む処理水は、海洋放的ではなく、地上タンクでの長期保存とし、トリチウムの分離、回収技術を研究開発し実用化すること。 
  2. タンク内には、トリチウム以外の基準値を上回る放射性物質が含まれており、徹底した除去を行うこと。 
  3. 福島県産の農水畜廃物に対する風評被害の解消に全力を挙げること
  4. 何よりも優先して被災県民の意見を聞く公聴会を調催し政策に反映させること

6月16日

二本松市

トリチウム水の処分方法については、幅広い関係者から丁寧に意見を聴取するとともに、新たな風評を助長しないよう風評対策の拡充・強化と併せて示すことを求める意見書

 去る1月31日に開催された多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(以下「小委員会」という。)は 、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内貯蔵タンクに保管されている放射性物質トリチウムを含んだ水 (以下「トリチウム水」という。)の処分方法について、国内外で処分実績がある海洋放出と大気への水蒸気放出が現実的な選択肢であるとの提言案を取りまとめ、平成28年11月から17回にわたる議論を終結した。

 提言案では、海洋放出の方が水蒸気放出よりも希釈拡散の状況が予測しやすく、放射性物質の監視体制の構築の検討が容易であると評価するなど、約3年の議論を経て、東京電力福島第一原子力発電所の構内に保管されているトリチ ウム水の処分方法が決定されようとしている。トリチ ウム水の処分によって生じる新たな風評影響への対応を含め、最終判断は国に委ねることとしているが、県内では、農林水産業を中心に風評拡大への懸念が広がっている。特に、漁業従事者は、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、安全性を確保するため、福島県が実施する放射性物質モニタリングとは別に、出荷する漁獲物を自主的に検査するなど、厳格な検査体制を継続しながら、本格操業に向け、試験的な操業を続けており、これらの努力が、新たな風評によって、水泡に帰すようなことはあってはならない。東京電力福島第一原子力発電所の事故から9年が経過し、福島県の様々な産業の復興 ・再生が着実に歩みを進めている中、国の責任による適切な対応が求められている。

 よって、国においては、トリチ ウム水の処分方法については、幅広い関係者から丁寧に意見を聴取するとともに、新たな風評を助長しないよう風評対策の拡充 ・強化と併せて示すよう強く要望する。

 以上、地方自治法第 99条の規定により意見書を提出する。

 令和 2年 6月 16日

 内 閣 総 理 大 臣 安倍晋三様

 経 済 産 業 大 臣 梶山 弘志様

 復 興 大 臣 田中和徳様

 原子力規制委員会委員長 更田豊志様

福島県二本松市議会議長 本多勝実

6月16日

飯舘村

トリチウム汚染水の処分方法についての意見書

 政府は、「海洋放水が最も現実的」との結論を出した経産省の多核種除去設備等処理水の取 り扱いに関する小委員会の報告に基づき、トリチウム処理水の処分方法について、国内外で処分実績がある海洋放水と、大気ヘの水蒸気放出が現実的な選択肢であるとしている。

 トリチウム水の処分よって生じる新たな影響への対応を含め、最終判断は国に委ねることとしているが、県内では、農林水産業を中心に風評被害拡大への懸念が広がっている。特に、漁業関係者は、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、安全性を確保するため、県が実施する放射性物質モニタリングとは別に、出荷する漁獲物を自主的に検査するなど、厳格な検査体制を継続 しながら本格操業に向け、試験的な操業を続けており、これらの努力が新たな風評によって、水泡に帰するようなことがあってはならない。

 よって、国においては、 トリチウム水の処分方法については、幅広い関係者から丁寧に意見を聴取するとともに、新たな風評を助長しないよう風評対策の拡充 ・強化と併せて示すよう強く要望する。

 以上、地方 自治法第 99条の規定によ り意見書を提出する。

 令和2年6月16日

 衆 議 院 議 長

 参 議 院 議 長

 内 閣 総 理 大 臣

 経 済 産 業 大 臣

 原子力規制委員会委員長

福島県相馬郡飯舘村舗会議長 菅野新 一

6月17日

新地町

東京電力福島第一原子力発電所におけるトリチウム水の海洋放出を行わないことを求める意見書(案) 

 本年2月10日、国の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」は東京電力福島第一原子力発電所の敷地内に保管されている放射性物質トリチウムを含んだ水(以下「トリチウム水」という。)の処分方法について、基準を満たした形で海洋に放出する方法、若しくは大気中に水蒸気放出する方法が現実的な選択肢でありそのうち国内外で実績等がある海洋放出が水蒸気放出より確実に実施できると報告している。 

 また、報告書では広く関係者の意見を聞き、責任をもってトリチウム水処分に係る方針を決定することを国に求めている。 

 東日本大震災以降、多くの関係者、特に漁業従事者は、本格的な操業再開や風評被害払拭に懸命な努力を続けてきた。そのような状況において、トリチウム水を海洋放出することは、漁業従事者に大きな打撃を与えるだけでなく、これまで福島県産の農畜水産 物などの安全性の確保や、風評被害の克服に取り組んできた関係者の努力と将来への展望を根底から覆すことになる。

トリチウム 水の処分については、関係者のみならず国民の理解なくして進めることはできず、幅広い関係者から丁寧に意見を聞いた上で、国の責任による適切な対応が求められている。 

よって、国においては、町民や関係者の理解を得られていないトリチウム水の海洋放出を行わないようにするとともに、その処分方法については、多くの関係者に影響を与 えることがないよう十分に検討するよう強く求める。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 

 令和2年6月17日

 衆議院議長 

 参議院議長 

 内閣総理大臣

 経済産業大臣 

 復興大臣   

福島県相馬郡新地町議会議長 遠藤満 

6月18日

いわき市

多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書

 本年2月、経済産業省の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会では、東京電力福島第一原子力発電所の事故により発生している多核種除去設備等処理水の処分について、水蒸気放出と海洋放出の2つの方法が現実的な選択肢であり、その中でも海洋放出がより実施しやすいとの提案をまとめた。2018年8月 に福島県と東京都で開催された多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会では、意見公述人から陸上保管を求める多くの声があった。

 本年3月、 提言を受けて東京電力ホールディングス株式会社は、多核種除去設 備等処理水の処分素案を発表し、安倍内閣総理大臣も7月までには処分方法を決 定したいと発言した。経済産業省は、4月6日、13日及び5月11日に多核種除去 設備等処理水の取扱いに係る関係者の御意見を伺う場において、各種関係団体や 地方公共団体の首長からの意見聴取を行った。この中で、福島県漁業協同組合連 合会、福島県森林組合連合会及び福島県農業協同組合中央会は、海洋放出には反 対を表明しており、その他の関係機関や地方公共団体の首長からは、もっと多く の県民に説明をして意見を聞くべき、必ず起きる新たな風評被害に対する具体策 を提示するべきとの発言が大半を占めた。また、株式会社朝日新聞社及び株式会 社福島放送が、本年2月に福島県の有権者を対象に共同で行った世論調査によれば、多核種除去設備等処理水を薄めて海に流すことに対して57%が反対としている。 

 多核種除去設備等処理水には、トリチウム以外にも除去できていない基準値を超える多核種が保管量の7割に残留しており、それらに関する説明や周知が必要である。 

 よって、政府においては、多核種除去設備等処理水を慎重に取り扱い、管理、 収束に向けた努力を尽くすべきであり、次の事項について取り組むことを強く要望する。 

  1. 多核種除去設備等処理水の処分方法の最終判断を行うに当たっては、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告のみを判断の根拠にするの ではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業 関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け、多核種除去設備等処理水の安全に関わる情報発信 を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国 民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは多核種除去設備等処理水の陸上保管を継続すること。 

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。 

 令和 2年 6月 18日

 内 閣 総 理 大 臣 安倍晋三様

 経 済 産 業 大 臣 梶山 弘志様

いわき市議会議長 菅波 健 

6月18日

喜多方市

福島の漁業と漁業関係者の生活を守るために東京電力第一原発敷地内に保管されているトリチウム汚染水の海洋放出に反対する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含む汚染水の処分 方法などを議論する政府小委員会は1月31日、「海洋放出」と「大気放出」を現実的な選択肢としながらも、「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放出を強調する提出案を了承した。 – 公聴会では、漁業従事者から「試験操業を繰り返し、やっと本操業が見えてきたのにトリチウム汚染水が放出されたら、今までの苦労が水の泡になってしまう。後継者を育てないと技術の継承もできず、福 島の漁業は壊滅してしまう」と切実な訴えがあった。 

 海洋放出は、海洋環境を汚染し、漁業従事者にも大打撃を与える。 原発事故により甚大な被害を被っている被災者に汚染水の海洋放出に よって追い打ちをかけるようなことがあってはならない。これまで福 島県産の農畜水産物などの安全性の確保や風評被害の克服に取り組ん できた生産者の努力と将来への展望を根底から覆すことになる。 

トリチウム汚染水の海洋放出は前例もあり、実現可能性や監視体制 の構築の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、風評被害 対策の徹底も必要だとしているが、公聴会での意見などにあるように、 被災県民の心情や実情を無視したものと言わざるを得ない。 

福島県民は、東京電力の原発事故以来、今日まで長期の避難生活や 放射線による健康不安、農畜水産物の風評被害など、多大な苦しみを 経験してきた。 

 これ以上原発事故の犠牲を県民に押し付けてはならない。県民の安 全と健康と生活を守るために、トリチウム汚染水の海洋放出には反対である。 

 よって、本市議会は、政府関係機関に対し、下記事項について強く要 望する

 記

  1. トリチウム汚染水は海洋放出ではなく、長期保管とし、廃炉終了時までに分離・回収技術を研究開発し、実用化すること。
  2. タンク内には、トリチウム以外の基準値を上回る放射性物質が含 まれており、徹底した除去を行うこと。
  3. 法律で決められている「一般公衆の被ばく線量限度 1ミリSV / 年」を厳守すること。
  4. 福島県産の農畜水産物に対する風評被害の解消に全力を挙げること。
  5. 原発再稼働や核燃料サイクル政策を止め、再生可能エネルギー政策に転換すること。 
  6. 原発事故の被害者は福島県民であり、被災県民の救済が何よりも 優先されなければならない。そのため、被害者である県民の意見を聞くための公聴会を開催すること。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年6月18日                      

 衆議院議長  大島理森 殿

 参議院議長  山東昭子 殿

 内閣総理大臣 安倍晋三 殿

 内閣官房長 菅義偉 殿

 農林水産大臣 江藤拓 殿

 経済産業大臣  梶山弘志 殿

 環境大臣 小泉進次郎 殿 

 復興大臣  田中和徳 殿

 福島県知事  内堀雅雄 殿

喜多方市議会議長 齋藤 勘一郎 

6月18日

西郷村

多核種除去設備等処理水の陸上保管を求める意見書

 東京電力福島第一原子力発電所の事故により発生し、タンク貯留ALPS処 理汚染水の処 分について、今年 2月 に経産省「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関す る小委員会」は、 水蒸気放出、海洋放出が現実的であ り、海洋放出がより実施しやすいとの提案をまとめま し た。2018年 8月 に福島県 と東京都で行われた汚染水処分に関する「説明・公聴会」で意見公 述人の大多数が提案 した 「陸上保管」は選択肢から外 されま した。 

 今年 3月 、提言を受けて東電は「処理水の処分素案」を発表 し、安倍首相も 7月 までには 処分方法を決定 したいと発言 しました。経産省はコロナ禍の終息を待たず、4月 6日 、13日 、 5月 11日 に、各種関係団体や自治体の首長などからの「意見聴取会」を強行 しました。この 中で、福島県漁業共同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会は 2 案に対 して明確に反対を表明 し、その他の関係機関や 自治体首長からは、もっと多 くの県民 に説明をして意見を聞くべき、必ず起きる新たな風評被害に対する具体策を提示するべきとの発言が大半を占めま した。また、メディアの世論調査でも福島県の有権者の 57%が「薄めて海に流す」ことに反対 しています。

  処理水には トリチウムだけではなく、除去できない基準値を超える多核種が保管量の7割に残留 しています。二次処理 して希釈するとはいえ持続的に放出すれば近海の海産物に取り込まれます。その上トリチウムは計測が難しく市民が簡単に測れないので大きな不安材料となります。 

 汚染水の環境への放出は、原発事故で大 きな打撃を受けた福島県の一次産業従事者をはじ めとする被害者に、更なる苦しみを与えることになります。特に海を生業の場とする漁業者 にとっては、海への放出は福島の漁業の壊滅を意味します。内陸部でも海水の蒸発による農業への影響、海産物の根取による内部被曝の懸念、海水浴などのレジャーの際の外部被曝の危険もあります。

 この問題は、漁業者だけの問題ではな く、原発事故で甚大な困難を背負わされた福島県民全体の問題です。事故により汚染水を発生 せた東京電力は環境に放出せず、大型タンクでの保管やモルタル固化など具体的で実績のある代替案を選択肢に入れて、厳重に管理・保管 をすることが当然の義務と言えます。 

 このような理由から、下記の事項の実現について、地方自治法第 99条 に基づき、意見書を提出します。

1.「多核種除去装置等処理水」を大気や海洋へ放出することに反対します。同水は、陸上において厳重に管理・保管することを求めます。

令和2年6月18日

環境大臣様                                                                                                                                                   

経済産業大臣様

 福島県西郷村議会

6月19日

会津若松市

東京電力福島第一原子力発電所のALSP処理水の処理に係る関係者からの意見聴取の実施等について

 東日本大震災及びこれに伴う原発事故から10年目に入り、今なおの避難生活を余儀なくされる県民も多い中、浜通りを中心 とした被災地において農業、漁業などの再開に向けた取組が進んでいます。 

 東京電力福島第一原子力発電所敷地内において保管されているトリチウム等を含むALPS処理水(以下「処理水」という。)について、本年2月、国の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会は、大気への水蒸気放出と海洋放出が現実的とする報告書を政府に提出しました。 

 これを受け政府は、3月から福島県の関係自治体への説明や意見県内聴取などを行っていますが、福島県内においては、漁業の全面再開を目前にしている地域、農林産物の風評被害払拭に全力を挙げている地域など、放射能汚染対策を継続して実施している状況であり、聴を 

取目な前 – る こ んか 地のでこの段階において処理水の海洋放出は、これまで福島県民が取り組きた生活再建、風評被害状の努力をないがしろにするばかりたな風評被害等をもたらすものです。 

 よって政府は、下記事項について措置されるよう、強く要請いたします。

1 東京電力福島第一原子力発電所のトリチウム等を含むALPS処理水の処理について、福島県の関係者から丁寧に意見を聴取し、新たな風評被害を助長しないよう適切な判断をすること。

 ここに、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出いたします。

 令和2年6月19日                      

 内閣総理大臣

 経済産業大臣   

 復興大臣  

 原子力規制委員会委員長

 その他関係筋

会津若松市議会議長 清川雅史

6月19日

南会津町

福島県の漁業と漁業関係者の生活を守るために東京電力福島第一原発敷地内に 保管されているトリチウム汚染水の海洋放出に反対する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含 汚染水の処分方法などを議論する政府小委員会は1月31日、「海洋放 出」と「大気放出」を現実的な選択肢としながらも、「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放出を強調する提出案を了承しました。 

 トリチウム汚染水の海洋放出は、前例もあり、現実的、監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、風評 被害対策の徹底も必要だとしていますが、公聴会での意見や「長期保管」は一顧だにせず、被災県民の心情や被災県民の実情を 無視したものと言わざるを得ません。 

 公聴会では、漁業従事者から「試験操業を繰り返し、やっと本操業が見えてきたのにトリチウム汚染水が放出されたら、今 までの苦労が水の泡になってしまう。後継者を育てないと技術の継承もできず、福島の漁業は壊滅してしまう」と切実に訴えら れました。海洋放出は、海洋環境を汚染し、漁業従事者にも大きな打撃を与えます。原発事故により甚大な被害を被っている被災者に汚染水の海洋放出によって追い打ちをかけるようなことがあってはなりません。これまで福島県産の農畜水産物などの安 全性の確保や風評被害の克服に取り組んできた生産者の努力と将来への展望を根底から覆すことになります。 

 トリチウム汚染水の海洋放出は、一般公衆の被ばく線量限度13,SV/年を超える可能性もあり、低レベル放射性廃液の海洋 投棄を原則的に禁止する「ロンドン条約」にも違反するものです。 

 私たちは、廃炉処理終了に至る過程において、長期保管と併せてトリチウムの分離処理を含む処理方法の研究開発を強く望 むものであり、トリチウムを含む汚染処理水の海洋放出には反対です。 

 福島県民は、東電の原発事故以来、今日まで長期の避難生活や放射線による健康不安、農畜水産物の風評被害など、多大の 苦しみを経験し、当町においても風評被害による苦しみが続いています。 

 これ以上の原発事故の犠牲を押し付けてはなりません。県民の安全と健康と生活を守るために、トリチウム汚染水の海洋放 出に反対するとともに、下記の事項について強く要望します。 

  1. トリチウム汚染水は海洋放出ではなく、長期保管とし、廃炉終了時までに分離・回収技術を研究開発し実用化すること。
  2. タンク内には、トリチウム以外の基準値を上回る放射性物質が含まれており、徹底した除去 を行うこと。
  3.  法律で決められている「一般公衆の被ばく線量限度1SV/年」を厳守すること。
  4.  福島県産の農畜水産物に対する風評被害の解消に全力を挙げること。
  5.  原発再稼働や核燃料サイクル政策を止め、再生可能エネルギーに政策転換すること。
  6.  原発事故の被害者は福島県民である、被災県民が何よりも優先されなければならない、被害者である県民の意見を聞く公聴 会を開催すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 令和2年6月19日                                                                       

 内閣総理大臣

 経済産業大臣 

 復興大臣

 衆議院議長 

 参議院議長       

 福島県南会津町議会

6月19日

浪江町議会

浪江町

トリチウム水の処分方法が新たな風評被害を生まないように対策強化を求める意見書

 国は多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会が取りまとめた、東京電力福島第一原子力発電所敷地内の貯蔵タンクに保管されている、放射性物質トリチ ウムを含んだ処理水の処分方法について、当町議会に、「十分な希釈を行い海洋放出と、大気への水蒸気放出が現実的な選択肢である」との2案を中間報告として示した。

提言案では海洋放出の方が希釈拡散の状況が把握しやすいので、監視体制構築の検討が容易であると評価するなど具体的な監視体制案も示されているが、放流・放出先 も含めて最終的に国が判断するとしている。

 希釈するトリチウム水の海洋放出への安全性 については、町民を含めて国の説明を理解 している人はまだまだ少ないと認識している。国は福島県のみの問題とせずに全国的に説明会を開催 し、トリチウム水の処分方法について幅広く意見を聴取すべきである。

福島県内、浜通り地域は農林水産物の風評被害が続いており、農林水産業者の安全意識が高まらず住民の帰還も進まない状況にある。

特に漁業者は公的に行う放射性物質モニタリングとは別に、出荷する漁獲物を独 自に検査するなど厳格な検査体制を継続 し、本格操業に向けて安全を求めながら試験操業を続けている。この努力に水を差すことがあってはならない。

東京電力福島第一原子力発電所の事故から9年が経過し地域の様々な産業・再生が着実に歩み始めている中、国の責任 による適切な対応が求められている。

よって、国においては トリチ ウム水の処分方法について、地域の意見を十分に取り入れて幅広い関係者からの意見を聴取するとともに、新たな風評を助長しないように風評対策の拡充・強化を示すよう強く要望する。

 以上、地方 自治法第 99条の規定によ り意見書を提出す る。

 令和 2年 6月 19 日 

                     福島県双葉郡浪江町議会 

6月22日

桑折町

東京電力福島第一原発汚染水の海洋放出に関する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるトリチウムを含む汚染水の処分方法等を議論する政府小委員会は2月10日、「海洋放出」と「大気放出」を現実的な選 択肢としながらも、「海洋放出の方が確実に実施できる」と海洋放出を強調する報告書を提出した。トリチウム汚染水の海洋放出は、前例もあり、現実的な監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、これまで開催した公聴会では圧倒的な反対の意見が出されている。 

 また、多核種除去設備等処理水の取扱いに係る関係者の意見を聞く場においても、地元自治体や農林水産業者を始めとした、幅広い関係団体から海洋放出に対する異論が出されるなど、一層、風評被害対策が強く求められている。 

 海洋放出は、海洋環境を汚染し漁業従事者にも大きな打撃を与えることになる。原発事故により、甚大な被害を被っている被災者に海洋放出による追い打ち をかけるようなことがあってはならない。これまで福島県産の農畜水産物等の 安全性の確保や風評被害の克服に取り組んできた、生産者の努力と将来への希望を根底から覆すことになる。 

 このことから、桑折町議会は、廃炉作業完了に至る過程において、トリチウム を含む汚染処理水の海洋放出の判断には慎重を期し、長期地上保管の検討も含めるとともに、併せて全国民への安全性の科学的根拠を示し、風評被害への万全の対策を講じることを強く求めるものである。 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 

 令和2年6月22日 

 内閣総理大臣 安倍晋三 様 

 経済産業大臣 梶山弘志 様 

 復興大臣 田中 和德樣

 原子力規制委員会委員長 更田豊志 様

福島県伊達郡桑折町議会

6月24日

相馬市

東京電力福島第一原子力発電所におけるトリチウム水の海洋放出を行わないことを求める意見書

 本年二月十日、国の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」は東京電力福島第一原子力発電所の敷地内に保管されている、放射性物質のトリチウムを含む多核種除去設備等処理水(以下「トリチウム水」という。)の処分方法について基準を満たした形で海洋に放出する方法、若しくは、大気中に水蒸気放出する方法が現実的な選択肢であり、そのうち国内外で実績等がある海洋放出が水蒸気放出より確実に実施できると報告している。

 また、報告書では、広く関係者の意見を聞き、責任を持ってトリチウム水処分に係る方針を決定することを国に求めている。東日本大震災以降、多くの関係者、特に漁業従事者は、本格的な操業再開や風評被害払拭に懸命な努力を続けており、そのような状況において、トリチウム水を海洋放出する事は、関係者のこれまでの努力を裏切るもので、本件の水産業はもとより様々な産業に与える影響は計り知れないものがある。今なお、増え続けるトリチウム水については、早期の処分方針の決定が求められているとは言え、国は、一方的に進めるのではなく、広く関係者から意見を聞き、理解を得られた中で、適切な対応をとることが必要不可欠である。よって、国においては、関係者の理解を得られていないトリチウム水の海洋放出を行う上ないようにするとともに、その処分方法については、多くの関係者に影響与えることがないよう十分に検討し、新たな風評を助長しないよう風評対策も拡充強化するよう強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年6月24日

福島県相馬市議会議長菊池清次

6月25日 

南相馬市

トリチウム汚染水を海洋放出しないよう求める意見書

 東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける、放射性物質トリチウムを含んだ処理水を検討する経済産業省の小委員会は、2020年2月10日に処分方法について、海洋放出と大気の水蒸気放出が現実的な選択肢とした上で、技術面から「海洋放出の方が確実に実施できる」と政府に提言しています。また「風評被害に伴う経済的影響が極めて高い」ことを指摘し、その対策を政府に要請しています。一方、政府は地元自治体や農林水産業者など、幅広い関係者の意見を聞き処分方法を決めるとしています。原子力規制委員長の「トリチウムを含む核種」についても薄めて流せば問題ないとする発言は、低レベル放射性廃液の海洋投棄を原則的に禁止したロンドン条約の締結国としての、「わが国は海洋投棄を選択しとしない」とする、原子力委員会決定(1993年11月2日)に違反することになります。

 東京電力福島第一原子力発電所事故による廃炉作業は、世界に類を見ない廃炉工程と長期の年月を費やすことであり、新たな放射能被害を認めるわけには参りません。その時に私たちの子や孫に何を残すのかが問われています。少なくとも安全・安心な生活が送れる環境の確保に向けた取り組みではないかと思います。

 小委員会の提言は、これまで安全性の確保に取り組んできた漁業、農畜産業、林業等々の生産者の努力と将来への展望を根底からすものであり、風評被害を払拭する意味でも関係者は基より、私たちを含め、県民の多くは汚染水の「海洋放出」には反対しています。

つきましては、「トリチウム汚染水の処分」にあたり、関係者の意見を聞くだけではなく、意見反映はもとより誠実に実行することを踏まえ、南相馬市議会は下記の事項について要望します。

 記

1. トリチウム及び放射性核種を含む「ALPS処理水」を海洋放出しないこと。

2. トリチウム及び放射性核種を含む「ALPS処理水」の処分について、

  1. トリチウムの分離技術の開発を進めること
  2. 放射性核種が残存しないよう徹底除去すること。

3. 公聴会が実施されているが、より多くの会場を設定し、広く国民的議論を行うよう住民説明会の開催をすること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

6月29日

郡山市

東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した処理水の海洋放出に反対する意見書 

 東京電力福島第一原子力発電所敷地内で、増え続けるトリチウムを含む汚染水の処分方法などを議論する「多核種除去設備等処 理水の取扱いに関する小委員会」が 2016年11月に設置され、17 回にわたる議論を経て本年2月、報告書を取りまとめた。 

報告書によると、「処理水の処分方法は地層注入・水素放出・地下埋設・水蒸気放出・海洋放出の5つの処分方法が検討された。 このうち水蒸気放出及び海洋放出が現実的とし、中でも海洋放出が確実に実施できると考えられる。」とされており、報告をうけた 国においては、本年7月にも処分方法を決定したいとしている。 

 福島県は現在、9年前の東日本大震災と、大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故による被害からの復興に、県民上げ て取り組んでいる途上にあり、加えて新型コロナウイルス感染症は、あらゆる職業に影響を及ぼし、3重の苦しみを克服しようと 懸命に努力している。 

このような中、今回の報告書にあるような処理水の海洋放出が実施されたとき、国内外の風評被害を招き、4重の苦しみを背負 わされることになる。 

 このために県内の多くの市町村や議会、農林漁業関係者が反対の意向を示し、全国漁業協同組合連合会は本年6月 23 日の通常総 会で、我が国漁業の将来にとって壊滅的な影響を与えかねない重大な問題として「福島第一原子力発電所事故に伴う汚染水の海洋 放出に断固反対する決議」を採択した。 

 現在、敷地内に保管されているタンク内の処理水の約7割には、トリチウム以外の放射性物質が環境中へ放出する際の基準を超 えて含まれていることは、報告書の中にも記載されている。 よって、国においては、下記の事項について実現されるよう強く要望する。

記 

 処理水の処分にあたっては、風評被害対策の拡充・強化、情報の公開、丁寧な意見聴取と合意を重ねることであり、それまでは処 理水の海洋放出はしないことを求める。 

以上、地方自治法第 99 条の規定により、意見書を提出する。 

令和2年度6月定例会・原案可決・全会一致 

7月2日

只見町

福島県の漁業と漁業関係者の生活を守るために東京電力福島第一原発敷地内に保管されているとリチウムを含む処理水の海洋放出に反対する意見書

 東京電力福島第一原発で増え続けるとリチウムを含む処理水の処分方法などを議論する政府の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」は、現実的な選択肢として海洋放出の方が確実に実施できると海洋放出の優位性を強調した報告書をまとめた。

トリチウムを含む処理水の海洋放出は、前例もあり、現実的、監視体制の容易さを評価する一方で、風評被害は避けられず、風評被害対策の徹底も必要だとしています。

 しかし、公聴会では漁業従事者から「試験操業を繰り返し、やっと本操業が見えてきたのにトリチウムを含む処理水が放出されたら今、までの苦労が水の泡になってしまう。後継者を育てないと技術の継承もできず、福島の漁業は崩壊してしまいます」と切実に訴えられました。

 処理水の海洋放出は海洋環境を汚染し、漁業従事者にも大きな打撃を与えます。これまで福島県産の農水畜産物などの、安全性の確保や風評被害の克服に取り組んできた生産者の努力と将来への展望を根底から覆すことになります。

 福島県民は原発事故以来、今日までの長期の避難生活や放射線による健康不安、農水畜産物の風評被害など、多大の苦しみを余儀なくされてきました。

 これ以上原発事故の犠牲を押し付けてはなりません。県民の安全と健康と生活を守るため、トリチウムを含む処理水の海洋放出には反対です。

 よって下記の事項の実現について、強く要望します

  1. トリチウムを含む処理水は、海洋放出ではなく、地上タンクでの長期保存とし、トリチウムの分離、回収技術を研究開発し実用化すること。
  2. タンク内には、トリチウム以外の基準値を上回る放射性物質が含まれており、徹底した除去を行うこと。
  3. 福島県産の農水畜産物に対する風評被害の解消に全力を挙げること。
  4. 何よりも優先して被災県民の意見を聞く公聴会を開催し政策に反映させること。

以上地方自治法第99条に基づき意見書を提出します

令和2年7月2日

衆議院議長  大島理森 殿

参議院議長  山東昭子 殿

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

経済産業大臣  梶 山弘志 殿

復興大臣  田中和徳 殿 

環境大臣 小泉進次郎 殿 

福島県南会津郡只見町議会

議長 大塚純一郎 

さいごに

実は、福島県以外でも、汚染水について意見書があがっています。

東京都の小金井市議会です。

汚染水の処分は、福島県だけの問題ではありません。

日本だけの問題でもありません。

みんなで考えていきたいと思います。

…………….

小金井市

福島第一原発事故によるタンク貯蔵汚染水の陸上保管を求める意見書

 福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)により発生しているトリチウム等タンク貯蔵汚染水の処理について、本年3月、東京電力は「検討素案」として処分方法を公表し、トリチウム以外の放射性物質の量を可能な限り低減(二次処理の実施)、トリチウムの濃度を可能な限り低く、地下水バイパス及びサブドレンの運用基準1リットル当り1,500ベクレルを参考に検討して、福島県沖への海洋放出を年間22兆から100兆ベクレルで最長30年かけて放出する拡散シミュレーションを示した。

 タンクに貯蔵されているのはトリチウムだけでなく、東京電力によればタンク群の72%に基準値を超える放射性物質が含まれている。1月時点で総量860兆ベクレルとされるタンク貯蔵トリチウムが海洋放出されれば、こうした放射性物質も同時に放出されることになる。

原発事故後の港湾内外への放射性核種ごとの放射能の総放出量や貯蔵タンク内の核種毎の放射能総量などの情報公開もなく、放出に関する環境アセスメントと総量規制も実施しないまま液体放射性廃棄物の海洋放出をすることは許されず、タンク保管や固化保管等安全な陸上保管が現実的である。

コスト優先の海洋放出は、東日本大震災と原発事故から再生途上にある漁業者に打撃を与え、水産業を始め地域の社会経済への影響は甚大である。

本年3月、安倍首相は「意思決定まで時間をかける暇はそれほどなく、できる限り速やかに処分方針を決定したい」と発言し、本年夏までの海洋放出の政府決定に向けて走り出している。

新型コロナウイルス感染症対策で外出自粛が続く中、経済産業省はWEB会議で、傍聴者も入れずに福島県内関係自治体や15市町村議会、関係者のヒアリングを強行した。地元福島県の報道機関は「「時間切れ」許されない」という社説を出し、浪江町議会が海洋放出反対決議を行っている。

 4月6日に開催された「関係者の意見を伺う場」で、福島県漁業協同組合連合の野崎会長は、「国の廃炉に向けて進めてきた汚染水の総量を減らすため、地下水バイパス、サブドレンの排出に苦渋の想いで協力してきた。トリチウムを含んだ水については、関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない、という御回答をいただいている。それ抜きに信頼関係は成り立たない。沿岸漁業では、1魚種1検体の抽出検査を行い、試験操業を実施していきている。令和元年度の漁獲高は、震災前の14%。本年2月に出荷制限が解除され、今後、増産に向けて舵を切ろうとしている。9年で若い漁業者の参入が進んだ。今後彼らに将来を約束していくためにも、海洋放出に反対する。また、海洋に県境はない。意図的に海洋にトリチウムを放出することは、福島県の漁業者だけで判断することはできない。全漁業者の意見をきいてもらいたい。」と訴えた。これまで、福島県漁業協同組合連合会は、「海洋放出には断固反対する」、また、全国漁業組合連合会も「全国の漁業者・国民に対する裏切り行為であり、極めて遺憾である」と海洋放出を絶対に行わないよう強く求めている。

よって小金井市議会は政府に対し、全漁業者はじめ、福島県内各自治体、全国各地で公開の公聴会を開くこと及びトリチウム等タンク貯蔵汚染水の海洋放出をやめ、陸上保管による恒久的対策を確立することを求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和2年6月23日

内閣総理大臣

総務大臣

経済産業大臣 

環境大臣

復興大臣

小金井市議会議長 五十嵐京子